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36. IHキッチン
しおりを挟むアナ先生が、あまりに使い物にならなくなったので、後半は素材集めに切り替えた。
「これだけあれば、大丈夫だな。
今日は、早めに切り上げるか!」
「賛成!」
「クモ!」
「クッ! 無念」
アナ先生は、どうやら『クッ! ~』を言いたいだけみたいだ。
手足が復活して、俺の騎士になった事により、舞い上がってしまっているのだ。
暫くは、『クッ! ~』が、続くであろう。
アナ先生が飽きるまで、ほかっておくしかない。
俺は、200階層の拠点に戻ると、すぐにバスタブに、セラミック粘土の材料をぶち込む。
折角作ったバスタブは、完璧にセラミック粘土を作る為のタライになってしまっている。
それは仕方が無い事として、クモ専用のキッチンは、対面式にする予定である。
クモは、料理をしながらも、いつも俺達を観察している。
クモは、観察好きなのだ。
8つある目で色々な事を観察して、何でも覚えてしまう。
というか、一度見ただけで、大体の事は自分のものにしてしまうのだ。
クモの事を、本物の天才というのかもしれない。
天才で、尚且つ、努力家。
クモに死角などないのだ。
実際に、目が8つもあるで、本当に死角が無かったりするのだが……
クモは手伝い好きなので、俺はクモに仕事を与える事にする。
「クモ! この『錬金入門』に描いてある、魔法陣を羊皮紙に写してくれないか?」
「任せて下さいクモ!」
クモは、喜んで俺から『錬金入門』を受け取る。
火魔法が使えないクモの為に、キッチンにコンロを付けたかったのだが、この世界には、ガスコンロも電気コンロも存在しない。
しかし、丁度良い事に、『錬金入門』に、石コンロ魔道具の【錬金】の仕方が書いてあったのだ。
『錬金入門』には、生活に必要な魔道具の【錬金】の仕方が、詳しく書いてある。
その中に、石コンロの【錬金】の仕方が書いてあったのだ。
以外と、石コンロの【錬金】は簡単だ。
材料の石と、石コンロを制御する魔法陣を用意するだけだなのだ。
その魔法陣も、『錬金入門』に見本が描いてある。
それをただ、羊皮紙か何かに、魔力を込めて描けば良いだけなのだ。
石コンロは、【錬金】じゃなくても作れるらしいが、その場合、魔力が込められる耐火塗料が必要だ。
尚且つ、魔法陣が摩擦などで消えてしまうと効果が無くなってしまうので、最初に石に魔法陣を彫ってから、溝に塗料を流し込まないといけないのだ。
【錬金】の場合は、石に直接、魔法陣をアタッチできるので、その面倒臭い作業が必要無い。
俺はクモに、魔法陣を描かしいる間に、キッチンの土台を錬金していく。
部屋も広いので、キッチンも大きくする。
真っ白なキッチンに、石コンロを3つ、広めなシンクに、蛇口を取り付ける穴を開けておく。
俺の『錬金』レベルも、かなり上がってきて、『錬金』スピードも早くなっている。
「出来たクモ!」
クモは、俺に羊皮紙に描かれた魔法陣を渡してきた。
「悪いな、あと2つ同じ魔法陣を描いてくれ!」
「命令されて、嬉しいクモ!」
クモは、何故か顔を真っ赤にしている。
クモは、顔を真っ赤にしたまま、物凄いスピードで魔法陣を描いていく。
というか、もう『錬金入門』など、見てもいない。
既に、石コンロ用の魔法陣を暗記してしまっているようだ。
クモが『錬金』スキルを持っていたら、超一流な魔道具職人になれるだろう。
『錬金』と魔法陣は、切っても切れない物なのだ。
殆どの神級魔道具は、『錬金』と魔法陣の組み合わせで造られていると言っても過言ではない。
因みに、冒険者バックも神級魔道具らしい。
本来なら、物凄く高く売られてもおかしくないのだが、滅茶苦茶は高くない。
敢えて冒険者バックの開発者が、皆に使って貰えるよう、値段を抑えて量産しているのだ。
値段を安くして、大丈夫なのかって?
勿論、大丈夫だ。
何故なら、冒険者バックを作れるのは、この世界で一人しか居ないのだ。
開発者は、冒険者バックの販売を独占しているので、冒険者バックの販売だけで、世界一の億万長者だったりする。
元手は、普通のバック。
それに、【錬金】スキルで、超絶難しい、時空間魔法の魔法陣をバックに組み込むのだ。
尚且つ、時空間魔法陣は相当特殊で、描くだけでも相当な魔力が必要らしい。
常人には、絶対に製作は無理なので、モッコリーナさんは、冒険者バックの製作を独占できるという訳だ。
そう、冒険者バックの開発者は、俺の愛読書『錬金入門』の著者、モッコリーナさんだったりする。
そうこうしているうちに、クモが嬉しそうに、石コンロ用の魔法陣を描いた羊皮紙を持ってきた。
「ご主人様、好き!」
「知ってるよ」
俺はクモに、ラブレターを貰うような感じで、魔法陣を渡される。
何故かクモは、真っ赤な顔をしてモジモジしている。
俺は元の世界のIHクッキングヒーターのように、キッチンの平な所に、クモが描いてくれた魔法陣を一枚置いた。
そして頭の中で、元いた世界のIHクッキングヒーターをイメージしながら、【錬金】を始める。
5分程すると、キッチンが光り輝く。
平らなキッチンに、石コンロ用の魔法陣が、焼き付け塗装のように描かれている。
そして、魔法陣の少し下の方には、4つのボタンの様な模様が描かれており、それでオンオフ、強弱の設定ができる仕組みになっている。
このIHヒーター魔道具は、魔法陣が平らなキッチンの上に描かれているだけなので、掃除も楽々。
ただ、雑巾か何かで拭けば、あっという間に掃除も終わるのだ。
クモは、IHクッキングヒーター魔道具を見て、興奮している。
アナ先生まで、俺のIHクッキングヒーター魔道具を見て、驚いている。
何でも、石コンロは、この世界に存在しているらしいが、備え付けになると、別であるらしい。
この世界では、どうやら錬金術師は、極稀にしか存在しないらしいのだ。
なので、中々、石コンロ備え付けのキッチンなど、一部の大金持ちしか持っていないのだそうだ。
それ以外は、日本の電気プレートのような物を、魔道具屋さんで購入し、キッチンに置くのが主流らしい。
それも、石コンロを持ってるのはお金持ちだけで、庶民は普通に薪で火を興すのが一般的なのだとか。
「ご主人様、好き!」
何故か、興奮MAXのクモが、床でM字開脚し、お股を開いて、俺を誘惑してきた。
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