【R18】童貞のまま転生し悪魔になったけど、エロ女騎士を救ったら筆下ろしを手伝ってくれる契約をしてくれた。

７４. 一流の職人達

　
「アッ。それからこれらの調達お願いしますね！
　資材は支給してもらう契約でしたから！」

　ヨネンが、資材が書かれたリストを渡して来た。

　城一棟分の資材なので、物凄い量が書かれている。

　昨日の打ち合わせで、城の外装を俺の『錬金』で作ったセラミックスタイルで覆う事が決定していたので、セラミック粘土の量が半端ない。

　折角、床を真っ白なセラミックスタイルを貼ったのだから、外装と内装も真っ白にする事にしたのだ。
　感じとしては、インドのタージマハル廟のような感じだ。

　パーティーで皆の意見や要望を出し合って、ヨネンさんがその場でスラスラと簡単な完成予定図を書いてくれたのだ。

　最初のヨネンさんの絵では、三角屋根だったのだが、俺の要望で玉ねぎ屋根にしてもらい、よりタージマハルに近づけた。
　そして、中央に大きな玉ねぎ屋根、その周りに小さめな玉ねぎ屋根を4つ取り付けてもらった。

　俺の要望は、ここまでで、後はヨネンさんのセンスに任せている。

　やはりデザインは、専門家にやってもらうのが無難だ。
　それが、世界一の芸術家で建築家なら尚更である。

　ヨネンさんは、異世界の建築に興味があるようで、俺にタージマハルについて詳しく聞いてきた。

　イスラム教は偶像崇拝禁止だから、人物などの彫刻は無く、壁に模様が描かれているか、彫られていた筈だ。
　取り敢えず、分かる範囲で教えてあげる。

「なるほど、なるほど。イスラム建築ですか。
　まだこちらの世界に伝わって来ていない建築様式ですね！
　折角だから、イスラム様式で建築してしまいましょう！」ってな感じで、俺達の城は真っ白なイスラム様式になる事に決定したのだ。

「アッ！ そうそう、職人がたくさん来ちゃったので、早く素材をお願いしますよ！
　遊ばせとくのは勿体ないですので！」

　ヨネンが、酒盛りをやりだしているドワーフの職人を見ながら言う。

「分かりました。すぐに素材を取ってきます！」

　俺は直ぐに、3階住居フロアーに戻り、アナ先生達を叩き起し、土ゴーレムを倒しに行ったのだった。

「ご主人様ぁ～、どんだけ倒せばいいのぉ～」

　朝から、ノンストップで土ゴーレムを倒し続けていると、ビー子がブー垂れ始めた。

「まだまだだ！ もっと死ぬ程倒さなければならないぞ！」

「ビーちゃん、素敵なお城を建てる為に頑張るのよ！」

「素敵なお城で、アナのお股ペロペロするのぉ～」

　ビー子のモチベーションは、アナのお股をペロペロする事らしい。

　俺の股間が反応する。

　急に股間に血が集まりすぎたのか、少しクラっとした。

　たかが勃起で、貧血を起こしてしまうとは……
　というか、俺達は朝食も食べずに土ゴーレムを倒し続けていたのだった。

「休憩にするか！ 朝飯も食って無かったしな！」

「やっとごはんだ～」

　お子さまのビー子には、朝食抜きは辛かったようである。

　俺達は結界が張ってある395階層の階段フロアーに移動し、クモが出してくれたサンドイッチにむしゃぶりつく。

「エー君、これから大変よ。素材採取の他にも、今月分の支払いを稼がないといけないしね」

　そうだった。俺達は素材採取の他に、月に1000万マーブルを、ドワーフ王国に支払わないといけないのだ。

　そして今月は、お城の素材採取と、支払い用のお金を稼ぐのを同時に行わないといけない。
　既に、持ち金の全ては、建築費用の頭金として支払ってしまっているのだ。
　考えただけでも胃が痛くなる。
　ハッキリ言って、俺達には時間が全く無い。
　兎に角 今は、急いで昼食を食べる事に集中する。
　昼食を食ったら、直ぐに素材採取に戻らなければならないのだ。

「アナ先生、僕は一旦、集めた素材をセラミックスタイルに『錬金』して、ヨネンさんに納めてきます！」

「了解！ 私達は引き続き、土ゴーレムの素材を集めておけば良いのね！」

　アナ先生が返事をする。

「後それから、餓狼族も50匹程狩って置いてください！
　今回の『錬金』で、セラミックス粘土に使う魔物の骨が切れると思いますので！」

「了解よ！」

　俺達は、それぞれの作業に入り、結局、夜の9時まで狩りと『錬金』を繰り返したのだった。

　城に戻ると、もうドワーフの職人達は、モフモフに帰ったのか、朝の活気が嘘のようにシーンと静まり返っていた。

　俺が渡した、色んな形に『錬金』したセラミックスタイルには、植物や動物をモチイフにした幾何学模様が彫られている。

「凄いわね！ こんな細かい彫刻を全く同じように彫っていくなんて！
　流石、超一流なドワーフの職人ね！」

　アナ先生がセラミックスタイルを手に取り、彫りの細さに感心している。

「超一流職人の人海戦術で のみ為《な》せる技ですね！
　これは、1人の職人では絶対無理ですね」

「そうよね！ ヨネンさんが、300人もの一流の職人を寄越してくるとは思いもよらなかったわね！」

　アナ先生は、セラミックスタイルの彫刻に、ウットリしているようだ。

「コッチには、色が塗って有るのがあるよ！」

　ビー子も、違うセラミックスタイルを発見したみたいだ。

「これも凄まじいな……」

「凄いわね……」

　セラミックスタイルに、ぎっしりと彫り込まれた幾何家具模様に色が入ると、モスクのアラベスクのように見える。
　イスラム建築なので当たり前なのだが、実際に見ると凄まじい。

　普通の職人なら、この1枚のセラミックスタイルを仕上げるのに2日はかかると思うのだが、目の前には200枚位は転がっている。
　というか、俺の渡したセラミックスタイルは、既に、彫刻と色付けまで全て終わっているようだ。

　朝にチラッとヨネンさんに聞いたのだが、西の大陸のドワーフ王国本国にいる一流所と、南の大陸のモフモフにいる一流所の職人をみんな連れて来ていると言っていた。

「城の規模としては、小さいですので、ドワーフ王国の総力を上げれば1ヶ月で完成させられますよ！」って、ヨネンさんが言っていたが、このスピードなら本当に1ヶ月で完成させてしまいそうだ。

「これは、素材採取のスピードをもっと上げた方が良さそうですね……」

「そ……そうね……
　素材の調達が遅いせいで、工期が遅れたって難癖つけられて、金額が上がるとか言われかねないわ！」

　アナ先生が悲壮な顔になっている。

「うぅ……アナ、元気だすの！
　お股ペロペロしてあげるから！」

「クモも！」

　アナ先生の悲壮な顔が、少しだけ和らいだように感じた。