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16. 旅籠屋 妖精のあくび亭
しおりを挟むモフウフ冒険者ギルド会館2階売店に来ている。
2階売店には冒険に必要な道具やアイテム、武器や防具、それから簡易的な食堂や本屋さんなども入っている。
武器や防具はそれ程お値打ちな物は売っていないが、薬草、毒消し草、ポーションなどは、他の店で買うより安い値段で販売されている。
ほとんどの冒険者達は、冒険者ギルドで集合してからダンジョン探索やクエストに出発する為、買い忘れのアイテムなどがあった場合ここで購入してから出発する。
「ご主人様!ありましたニャ!」
匂い玉がランク別にで販売されていた。
半径50メートル有効3000マーブル。
半径300メートル有効6000マーブル。
半径1キロ有効3万マーブル。
半径500キロ有効10万マーブル。
よし!姫の為だ。
ここは奮発して10万マーブルの匂い玉を買おう。
「この10万マーブルの匂い玉を下さい!」
「ご主人様!本気ですか?
10万マーブルの匂い玉を買った人なんて見た事ないニャ!
現実的じゃないニャ!
これを街なんかで使ったら、モンスターで溢れ帰って街が消滅してしまうレベルニャ!」
「お客さん!本当に買うんですか?
今までこの匂い玉を買った人は、ここで商売させてもらうようになってから1人もいませんぜ!」
「でも、売ってるんだろ!」
「まあ一応、これくらいの凄い物も作れますよって事で置いてあるんですが……」
「じゃあ、売ってくれ!」
金貨10枚を店のカウンターに置いた。
「……ありがとうございます。
でもくれぐれも、これを使って悪さしないでくださいね!」
「ご主人様!こんな物を買ってどうするんですか?」
「まあ、俺に考えがあるんだ。
明日、街の外で実験してみるぞ!」
「始まりの魔女のお弟子さんのご主人様がそう言うニャら……
私どもには解らない考えがあるのですね」
「ところで、一応聞くけどブリトニーは魔法が使えるか?」
「全く使えませんニャ」
ウーン……
姫にどうやって魔法を教えるか……
多分、今まで色々やって駄目だったんだろうな……
考えていると本屋のガラス棚に高価そうな本が置いてあるのが目に付いた。
その緑色の本は、入門魔法全書と書かれており縁《ふち》が金具で装飾されている。
これだ!
「ブリトニー! あのガラス棚の中に置いてある本を知ってるか?」
「知ってますニャ! 魔法使いなら誰もが1度は読んだ事があるベストセラーなのニャ!
普通魔法を覚えるなら、魔法学校に行くか、師匠に付くかどちらかニャのですけど、中には入門魔法全書ただこれだけを読んで魔法使いになった者がいるぐらいの良書なのニャ!
発行元も魔法国家サリスの魔法学校が発行してる物なので、魔法学校で習うカリキュラムと全く同じなのニャ!
そして、それ程の良書なので価格もそれなりに高額なのですニャ!」
価格を見ると50万マーブルと書いてある。
正直まだ、この世界の物価は分からないがお金はある。
先行投資だ。
買ってしまえ!
「すみません! この本貰えますか?」
「ご主人様また買うんですか?
今日のお買い物だけで私レベルの奴隷がもう1人買えますニャ!」
なんだとブリトニーレベルがもう1人?
ヌカった!
美女との3P……
この世界は何と素晴らしいところなのだ!
いや、そんな筈はない。
ブリトニーレベルなどそう易々とは見つからない筈だ。
実際この世界は、元いた世界より美形が多い気がするが、ブリトニーや姫レベルの美少女はモフウフに来てからまだ1度も会った事がいない。
ブリトニーレベルというのは、多分攻撃力がブリトニーレベルという事だろう。
決してブリトニーレベルのエロい女ではないのだ。
そ…そうだ。 もうそろそろ宿を探さないといけないな。
今日もブリトニーと特訓しよう!
ブリトニーも確か今日特訓したいと言っていたのだ。
「ブリトニー!
そろそろ宿を探そうと思うのだが。」
「ハイ。それでは探しにいきましょうか。
ご主人様はどれくらいの予算を考えているのかニャ?」
「普通でいいが……
できれば、ベッドが大きいところがいいな。」
「フフフフ。
ご主人様それならばお勧めの宿屋がございますニャ!」
ブリトニーに連れられて冒険者ギルド会館を出た。
ほとんどの宿屋は冒険者ギルド会館から見て右下の区画で営業している。
中央に近いところにあるのが高級店で外側に行くほどリーズナブルな宿となっている。
ブリトニーは、ずんずんと歩いて行き目当ての宿屋に到着した。
「ここですニャ!」
看板に『旅籠屋 妖精のあくび亭』と書かれている。
「ここか。」
見た感じ中級の宿屋といった感じだ。
「ここの宿屋は、ベッドが大きくてカップルや、新婚さんに人気があるニャ!」
「うん。いいんじゃないのか。」
中に、入ると食事処というか、レストランのような空間が広がっている。
奥にカウンターのような場所に人がいるので近ずいて見た。
「いらっしゃいませ。本日はどのような御用ですか?」
「泊まりたいのだが。」
「お泊まりですね」
「シングルベッドが置かれてる部屋が一泊素泊まりで4000マーブル。
ダブルベッドが置かれてる部屋が6000マーブル。
キングベッドが置かれてる部屋が8000マーブルになります。
プラス1200マーブルで夕食と朝食を付ける事ができますがどうしますか?」
基本ベッドは1つなのか…
この宿屋は男2人で来た場合どうすればいいのだ……
まあいいか……
俺には関係ない事だ。
やはり3人で寝るには大きい方がいい。
特訓もするしな!
「…キングベッドの部屋でお願いできるか。
それと、ご飯も付けてくれ!」
「お客様は3名様ですか?」
「そうだ」
「部屋代8000マーブルと食事代3600マーブル、合計1万1600マーブルになります。
申し訳ございませんが、先払いで宜しくお願いいたします。」
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