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61. んちゃ砲
しおりを挟む「ブリトニーさん……剣を使った方がいいんじゃないかい?」
「大丈夫ニャ!
こいつ、あまり強そうじゃないのニャ!」
「ブリトニーさん的に強そうじゃなくても、牛魔王さんは、曲がりなりにもモフウフを治める魔王様なのだよ」
「こいつの闘気は、余り大した事ないのね!
姫様の100分の1も、禍々しさがないのニャ!」
「しかし、ブリトニーさん!
姫は漆黒の森の王家の中でも、歴代ナンバー1の魔素の持主だと言ってなかったかい。
それと比べたれたら、酷というものだよ」
「大丈夫ニャ!
こいつはドラクエルと比べても、10分の1ニャ!」
「アンちゃんの闘気のレベルは解らないけど、本当に大丈夫なのい?」
「問題ないのニャ!
1週間前の私だったら五分五分といったところだったと思うけど、今の私だったら100パーセント勝てるのね!」
「オイオイ! 黙って聞いていれば、随分舐めた口を聞いてくれるな!
本当に俺様と戦って勝てると思っているのか?」
「余裕ね! せっかく攻撃を待ってやってるのに、来ないのなら私から行くのね!」
ブリトニーがパッと消えた。
ドカッ!!
「ウッ!!」
ズザザザザザ……
ブリトニーが一瞬消えたと思った瞬間、牛魔王が左に吹き飛んだ。
「エッ……何が起こったの?」
「ブリトニーが牛魔王の懐に入って右フックをお見舞いしたのです!」
姫が説明してくれた。
「姫は今の攻撃が見えたのか?」
「普通に見えたのです。」
「アンちゃんは見えた?」
「エッ……普通に見えましたよ……」
「ペロは?」
「ワン!」
「見えたと言っているのです」
何と言う事だ……俺だけ見えないなんて……
俺は、姫達のご主人様なのに…1番最弱という事なのか……
「サイト君……
大丈夫だよ! サイト君は僕が守ってあげるから気を落とさないで!」
「マスター! マスターはとても強いのです! 私を強くしてくれたのはマスターなのです!
例えマスターが実力的に牛魔王を倒せなくても、私達が牛魔王を倒せれば、マスターが倒した事と同じなのです!」
間接的に、俺では牛魔王を倒せないと言っているようにしか聞こえないんだけど……
「クッ!! 何だお前のそのスピードは?」
牛魔王が何とか起き上がり、ブリトニーをキッと睨みつけた。
「結構思いっ切り殴ったのだけど、さすがは魔王なのね!
他の雑魚とは違うという訳なのね!」
「舐めるな!! 今度はこっちから行くぞ!!」
牛魔王を四つん這いになり闘気を練っている。
「闘牛モード!! 必殺頭突き!!」
そのまんまのネーミングだ。
牛魔王が闘牛のように、角を突き立ててブリトニー目掛けて突っ込んできた。
ブリトニーはヒラっと避ける。
エッ!! ちょっと待って!!
何で避けるんだ!
牛魔王はそのまま、俺に向って突っ込んでくる。
やばい!! 避けられない!!
俺は牛魔王の角に突き刺さされて、この異世界で生涯を終えるのか……
今までの人生が走馬灯のように蘇る。
始めて姫とブリトニーに会った時、
木陰から覗いてオナニーしてしまった事、ブリトニーとの初体験、アンちゃんの処女を騎乗位で奪った(奪われた)事……
ああ……ここで人生が終わるのか……
異世界に来て、童貞が卒業できて良かったな……
思い残しは姫とSEXできなかった事だけだな……
死にたくない……死にたくないよぉ……
姫とSEXするまで死にたくないよぉ……
コン!
何かを、軽く弾く音がした。
「ぐおぉぉぉおぉおおおぉぉ……
俺様の角があぁぁぁぁあぁぁ………」
牛魔王が地面に倒れて、のたうち回っている。
よく見ると、牛魔王の左の角がポッキリと折れていた。
これはどこかで見たネタだな……
そうだ!キン〇マンのバッファ〇ーマンだ!
「サイト君! 大丈夫だった?」
「ああ…何ともない」
アンちゃんが大盾で俺を守ってくれたようだ。
「それにしてもアンちゃん、あの牛魔王の突進をよく止めれたな!
俺は避ける事さえできなかったのに」
「盾にも闘気を纏っているから簡単だよ!
それに、見た目と比べて牛魔王の突進は、思いのほか軽かったしね!
それからスピードも、いつも見ているブリトニー姉様より大分遅かったので、簡単に防御する事ができたよ」
「そ…そうか……簡単に防御できたのか……」
ますます自信を失くしてしまう。
「だ…大丈夫だよ! サイト君だって鍛えたら簡単に防御できるようになるし、避ける事だってできるよ!
サイト君だって闘気が使える筈だからね! 明日から練習しよ!
私が教えてあげるからね!」
「マスターに闘気を教える仕事は、私がやるのです!」
「そしたら姫ちゃん、一緒にサイト君を鍛えよっか!」
「ハイなのです!」
姫が嬉しそうに体をクネクネしている。
新しい動きだ。
アンちゃんと一緒に、俺に闘気を教えるのが楽しみなのだな。
「ご主人様、ごめんなのね!
防御すると痛そうだったから、思わず避けたのね!」
「ブリトニー! 奴隷の仕事はご主人様を守る事じゃなかったのか!」
「めんごなのね! でも、ご主人様はドラクエルに守って欲しいんじゃなかったのかニャ!
あれぐらいの攻撃なら、ドラクエルにとっては、さざ波程度にしか感じないんじゃないかニャ!」
ブリトニーには全く悪気がないようだ……あいつにとって大事なのは俺の息子だけだ。
「次の攻撃からは、避けずに弾くので安心してニャ!」
「クソォォォオオォォォ………!!
お前らバカにしやがって!
絶対に生きて返さんぞ!!」
牛魔王は顔を真っ赤にして、青筋がピクピク動いている……というか血がドピュドピュと吹き出ている。
人は本当に怒ると血管が切れるのか。
始めて見たけど、実際に見ると気持ち悪いぞ。
『キレる』という言葉は比喩表現だと思っていたけど、本当だったのか。
と、どうでもいい事を考えていると、牛魔王の筋肉がドンドン盛り上がってきた。
「この技を城の中では使いたくは無かったが、こうなっては仕方がない!
お前ら全員吹き飛ばしてやる!!」
「ご主人様! どうするのニャ?
こいつスキだらけなのね!
奥の手を使おうとしてるみたいだけど、その前に倒しちゃっていいかニャ?」
ウーン……
どうしたものか……
牛魔王を俺の配下にする為には、どう足掻いたとしても敵わない相手だと思わせた方が良いのか……
ブリトニーを見てると余裕そうだし、あえて牛魔王の奥の手とかいうのを使わせて、それを防いだ上で倒した方が、従わせるには良いのかもな。
「ブリトニー! 牛魔王の奥の手ぐらい、簡単に弾けるよな?」
「今まで戦った感じなら余裕なのね!」
「そしたら、弾く感じでお願いします!」
「了解なのニャ!」
「舐め腐りおって……
目に物見せてやるやる!
俺はこの技で魔王まで上り詰めたのだ!!
『咆哮act2』!!」
あいつは、わざわざ技の名前を発しないと技を出せないのか……
しかも『咆哮act2』って、重い中二病を患っているようなネーミングセンスだ。
技の名前を言っちゃったら、大体何をしてくるか分かっちゃうだろ……
咆哮の凄いバージョンだろ。
それなら何とかなりそうだ。
牛魔王のほっぺたがドンドン膨らんでいく。
顔を真っ赤にして、先程切れてしまったおでこの血管から血が吹き出している。
牛魔王が頭を引いて、後ろに反り返えり、反動を付けてサッカーのスローインのような動きをして、口を大きく開いた!!
「ンチァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
「ま…まさか……ア〇レちゃんの、んちゃ砲だと!!
こいつは不味いぞ!!
んちゃ砲は月を破壊する程の威力なんだぞ!!」
「 ご主人様! ゴメンなのね!
コレを弾くのは流石に無理なのね!」
ブリトニーがサッと避けた。
「エッ!! ちょっと!! 待てっ…………」
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