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71. サイト君! 闘気は必須だよ!
しおりを挟む第416ダンジョンの攻略は順調に進み、一気に105階層から120階層まで下った。
今まではS級モンスターは、たまにしか出てこなかったが、120階層からは、S級しかいないので、姫の闘気が効かなくなり、いちいちモンスターと戦わなくてはならないのだが、それ程ペースは落ちない。
ブリトニーとペロだけで難なくモンスターを倒して行く。
流石にブリトニーは、魔王、剣王、拳王の3王なだけの事はある。
ペロも、3つも頭があるので、凄まじい火力だ。
そのまま一気に最下層、205階層のラスボスがいる、扉の前に来た。
「未攻略のダンジョン攻略って、こんなに簡単なのか?」
「未攻略のS級ダンジョンを、2日で攻略したなんて、聞いた事ないよ!
これも、ペロちゃんのお陰だよね。
いくら強力なパーティーでも、普通は各階層で運が良くて、3時間、運が悪くて3日位かかると思うよ。
僕達は、最短で5分しかかからないんだもん! 異常だよね」
アンちゃんが興奮気味に教えくれた。
そうなのだ……
普通のダンジョン攻略だと、マッピングしたり、トラップを注意したり、敵と遭遇したりと、とても大変なのかもしれないが、その全てをペロのお陰で気にしなくてもよいので、殆ど走る感じで最下層まで下ってきたのだ。
ペロの火力は凄まじい、発射台が3つもあり、無詠唱で連射できる。
尚且つ、姫の膨大な魔素を使っているので、尽きる事がないのだ。
例えるなら、魔法のガトリングガン。
モンスターは、ペロの存在に気付いた時には、既に魔法を撃ち抜かれている。
しかも、全属性の魔法まで使えてしまうので、相性の悪いモンスターも存在しない。
間違いなく、ケルベロス史上最強の個体に成長するのは間違いないだろう。
「少しは、闘気の練習がてら魔物と戦ってみたかったな」
「ラスボスと戦えばいいニャ!」
何気に言った言葉にブリトニーが食いついた。
「ラスボスは不味いでしょ!
このダンジョンのラスボスは、SSモンスターだろ。俺は普通のS級のモンスターとも戦った事がないのに、いきなりSSモンスターと戦うのは自殺行為だろ!」
「大丈夫ニャ! 私が見ていてあげるので、危なくなったら助けるのニャ!」
「俺が1人で戦うの?」
「そうニャ! がんばるのね!」
絶対無理矢理だ……
普通のS級モンスターでも、闘気スキルの防御ができなければ、一撃で殺られてしまうと思うのに、SS級のモンスターの攻撃など軽くかすっただけで即死してしまう。
俺の基本の能力値は、ビックリする程低いのだ。
この世界に来る前の最初の設定で、強力なスキルや、スキルスッポンソードなどの装備品はゲットしたが、能力値を全く上げなかった。
そのせいか、レベルが上がっても能力値が少しづつしか上がらないのだ。
確かに、俺のスキルは強力だが、全く使いこなせてない。
例えば【斬撃波】スキルを覚えているので使える筈なのだが、斬撃波は闘気を剣に纏い、それを剣を振る事によって飛ばす技なのだが、そもそも闘気のコントロールができない俺に、使いこなせというのは無理な話なのだ。
「ブリトニー姉さん! さすがにサイト君1人では無理ですよ!
ラスボス以外にも、取り巻きの雑魚キャラもいるんですよ!」
アンちゃん……
それだと、ラスボスだけならなんとかなるという、言い方なんだけど……
「そしたら、雑魚は私が倒すので問題ないニャ!」
「あの……ブリトニーさん……
多分俺は、一撃でもラスボスの攻撃を受けたら死んでしまうと思うよ」
「そしたら、ドラクエルに盾役をして貰えばいいのニャ!
ドラクエルを盾にしながら、ヒットアンドアウェイを繰り返せばいいのね!」
アンちゃんに盾役をやって貰えれば、無謀な戦いから、少しは光明がみえてくるかな……
「マスター! 大丈夫です!
もしマスターが危なかったら、スグに私の最大魔法でラスボスを消し炭するのです!」
「そ……そうか……
姫は頼りになるな」
「ハイなのです!」
いざとなったら姫だけが頼りだ。
姫なら俺の為に、最善を尽くしてくれる筈だ。
姫の頭を入念に撫でておく。
「アワワワワ! マスター!
どうのたのですか?いつもより、激しいのです!」
「ご主人様、それ程力まなくてもいいのニャ!
キリがないので、そろそろ扉を開けるのニャ!」
ブリトニーがドンッ!! と、ラスボスがいるフロアーの扉を開けた。
瞬間、ブリトニーはラスボス以外の敵5匹を抜刀と共に、叩き斬った。
はっ…早……
ラスボスフロアーにいた、雑魚敵は一瞬にして、ブリトニーにスライスされてしまった。
ブリトニーにとって、このダンジョンでの初めての抜刀だ。
最近は、拳ばかりで戦っていたが、やはり剣での戦いは洗練されている。
余りに早い斬撃で、剣に血糊も付いていない。
まさに剣王の名に相応しい剣筋だ。
「ご主人様、雑魚はやっつけたのね!
ラスボスは心置き無く倒してくれてOKなのニャ!」
ラスボスはでっかい蜥蜴だ。
【鑑定】で調べると、SS級フローズンリザードとある。
弱点を調べると炎とある。
やるしかないか……
アンちゃんが俺と、フローズンリザードの間に入り、すかさず【敵対心】を使う。
戦いは、いつも、ペロとブリトニーだけで終わってしまうので、アンちゃんが戦う所を見た事ないが、【敵対心】は自分に攻撃を集中させる為の盾役の基本スキルなのだろう。
フローズンリザードが、アンちゃんに向かって口から冷気を吐き出す!
「ガルァァァァァァァ!!」
アンちゃんが大盾で防御する。
一瞬、盾が凍ったように見えたが、すぐに大盾は元の状態に戻った。
「アンちゃん! 今、一瞬大盾が凍ったように見えたけど?」
「SS級の魔物が放つ氷系の魔法は、普通に盾で防御すると、盾が凍りついて粉々な砕けてしまうんだよ!
なので、大盾に予《あらかじ》め炎系の闘気を纏っていたんだよ!」
「そ……そんな攻防があったの?」
「サイト君! S級以上のモンスターとの戦いでは、闘気は必須だよ!」
そ……そんな事言われても……
俺、闘気なんか使えないんだけど。
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