122 / 286
122. 不老不死
しおりを挟む「次は、メインディッシュの豚骨ラーメンでございます!」
『犬の尻尾秘密基地』大食堂総料理長に選ばれたばかりのガリクソンが、俺と姫、ブリトニーとアンちゃんのテーブルの前に、豚骨ラーメンを、デーモンメイドと一緒になって厨房から運んできた。
「メ……メインディッシュが、豚骨ラーメンだと!
と、いう事は、オムライスが前菜だったという事か……」
驚愕の事実に、固まっていると、「左様でございます!
これが、魔女様風のコース料理になります!
魔女様は、大食いでございましたので!」と、ガリクソンが平然と答える。
「炭水化物の後に、また炭水化物だと?
大阪人の、お好み焼きをおかずにして、白飯を食べるのと同じじゃないか!
俺はラーメンライスは許せるが、お好み焼きライスには抵抗があるタイプなのだ……
し……しかし、この豚骨ラーメンは美味そうだ」
思わず、ヨダレが垂れる。
「ご……ご主人様、こ……この食べ物には、食べ方があるのかニャ?」
ブリトニーも、ヨダレを垂らしながら、豚骨ラーメンを凝視している。
オムライスにも、食べ方のルールがあったので、ラーメンにも食べ方のルールがあるかもと、ブリトニーは思ってるようだ。
「何もないな。
強いて言うなら、スープの一滴まで残さず、すする事だな」
「そうなのね! もう我慢できないのニャ!
頂きますなのニャ!」
そう言い終わるや、ブリトニーはすぐに、豚骨ラーメンをパクッと1口食べる。
「なんなのニャ! こ……この味は……
この濃厚なスープに絡みつく、縮れ麺は!
こ……この縮れ麺は、スープに絡みくように計算され尽くされて、作られた麺なのね!」
ズルズル
「ス……スープも美味いのニャ!
んっ! この黄色い木材の破片見たいなヤツは、何なのニャ?」
ブリトニーが、その物体を箸で摘み、まじまじと見つめる。
「メンマでございます!
茹でて柔らかくしたタケノコに、秘伝のダシと調味料で味を整えて煮込んだものでございます!」
ガリクソンが、すかさず自家製メンマの説明をする。
パク
「何なんのニャ!
この食感は……柔らかくも、コリコリして美味しいのニャ!
まるで、ドラクエルの乳首のようなのニャ!
メンマ美味しいニャ!
もう一度、言うニャ!
メンマ美味しいのニャ!」
ブリトニーは、メンマが余程 気に入ったのか、2回、同じ言葉を繰り返した。
姫も豚骨ラーメンを、口にする。
「…………」
姫は無言に、なってしまった……
「姫……どうしたんだ?」
姫は、ポロポロと涙を流す。
「この、豚骨ラーメンという食べ物は、私のこれまでの人生で食してきた食べ物の中で、1番の美味しさなのです!」
「そ……そうか……
良かったな」
多分、姫お気に入りの『妖精のあくび亭』のイチゴオレより、美味しかったのであろう。
取り敢えず、姫の頭をモフモフ撫でた。
「このスープは凄いですね!
あっさりしているのに、コクがあり濃厚です!
こんな複雑な味は、初めてですね!」
アンちゃんも感心しながら、豚骨スープを味わっている。
「うん! やはり、日本の豚骨ラーメン以上の味だ!
何故、始まりの魔女が、わざわざ眷族にしてまで、ガリクソンを傍に置いていたのか分かった気がするな!」
「そう言ってもらえるのが、何よりも嬉しいです!」
ガリクソンが満足そうに頷く。
こんなに美味い料理を作る、ガリクソンのステータスが気になるな。
鑑定してみるか。
フトダ·アベ·ガリクソン
料理の神lv.100 剣帝lv.8
スキル;不老不死、神級絶対味覚、神級絶対嗅覚、神級調理時間5倍速、神級料理解析、神級包丁研ぎ、闘気、斬撃波、一撃、攻撃力20パーセントアップ、防御力20パーセントアップ
流石に凄いな……
俺の一族以外で、ここまでのスキルを持ってる奴を初めて見た。
多分、始まりの魔女の苗字は、安倍、安部、阿部、阿倍のどれかだろう。
間違いなく、日本人だ。
凄腕の魔女で、アベ姓を名乗るという事は、陰陽師の安倍晴明の末裔だったりしてな。
そしたら、安倍か。
それにしても、料理人のスキルが尋常じゃない。
昔、日本でやっていたバラエティ番組の『料理の鉄人』より、かなりランクが上なのだろう。
鉄人通り越して、『料理の神』だからな。レベル100で、カンストしてるし……
やはり、気になるのは『不老不死』のスキルか、少し欲しい気もするが、スキルを得るには、ゴトウ族にするか、スキルすっぽんソードを使って『一撃』で殺すしかない。
始まりの魔女の眷族が、ゴトウ族になるとは思えないし、スキルすっぽんソードで殺せるのか?
なにせ、相手は『不老不死』なのだ。
しかし、ガリクソンを殺すのは、余りにも勿体無い。
この超絶料理が食べれなくなってしまうのだ。
いや、待てよ……
そもそもスキルすっぽんソードで殺す必要があるのか?
スキルすっぽんソードは、会心の一撃でスキルを抽出する剣だ。
攻撃力が弱い俺が、『一撃』でガリクソンを攻撃したら、殺さずに『不老不死』のスキルだけを抽出できるのではないのか?
鑑定してみる。
{ガリクソンの料理系の神級スキルは、同等の神級アーキテクチャである『スキルすっぽんソード』では、スキルを抽出できません。
『スキルすっぽんソード』でスキルを抽出できるのは、聖級のスキルまでです。
『不老不死』スキルは、レアですが、それ程凄いスキルでは無いので、ゴトウ·サイトの攻撃力なら、ガリクソンを殺さずにスキルの抽出ができます}
不老不死スキルが、凄いスキルでは無いだと!
確かにゴキ男爵みたいな、デーモンや天使、精霊は、不老不死だと言っていた。
しかし、レアスキルだ!
これは確実にゲットしない訳には、いかない!
殺るか!
いや違う。殺してはいけない。
実際、俺の攻撃力では、会心の一撃でも、剣帝であるガリクソンを殺す事はできないし……
兎に角、ヤる!
「ガリクソン! お前、もしかしてこの剣を知っているか?」
サイトは、何も無い所から、いきなり『スキルすっぽんソード』を取り出した。
「そ……それは……
魔女様のスキルすっぽんソードでは?!」
24
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる