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130. ハッピーニューイヤー
しおりを挟む現在、モフウフ中央広場の壇上の上に、『犬の尻尾』所属メンバー、俺、姫、ブリトニー、アンちゃん、ペロ。
Bチームの、心ここに在らずの牛田さん、牛神さん、ヤナトにスイセイ、クリスティーヌさん。
モフウフの城主、牛魔王。
それから、モフウフの街の町長ナンコー·サンアリと、モフウフ冒険者ギルド長のマンコー·サンアリが立っている。
「それでは今から、毎年恒例のカウントダウンパーティーと、我が街の誇り『犬の尻尾』のギルドランキング4位入りカウントダウンパーティーを始めたいと思います!
それでは、町長のサンアリさん。挨拶をお願いします!」
司会の、『犬の尻尾』専属広報になったばかりのヤンヤンが、町長のサンアリに、カウントダウンパーティーの挨拶をお願いする。
「カウントダウンパーティーの挨拶の前に、モフウフの皆さんに重要なお知らせがございます!
ご存知のように、『犬の尻尾』に所属しているガブリエル様は、漆黒の森の正統継承者であらせられます!
私は常々、漆黒の森の正統継承者ガブリエル·ツェペシ様がおられる場所が、いついかなる時も、漆黒の森の中心地だと思っております!
よって、ガブリエル様がおられる、このモフウフの街を『新・漆黒の森王都』と名乗る事を此処に宣言致します!」
突然、サンアリの宣言にモフウフの街の住人達は、一瞬固まった。しかし、次の瞬間、大歓声がこだました。
「姫様!万歳!」
「漆黒の森、万歳!」
「姫様ぁぁぁぁ!!
俺は一生、姫様に、ついていくぞ!」
「万歳! 万歳! 姫様、万歳!」
「漆黒の森統一だ!」
「北の大魔王をやっつけろ!」
「万歳! 万歳! 万歳! 万歳!
漆黒の森、姫様、万歳!」
あちゃー……
サンアリやっちゃったな……
これで完全に、北の大魔王を敵に回してしまったな。
どっち道、北の大魔王とは戦う運命だと思っていたが、まだ早すぎる。
せめて、漆黒の森の半分位を秘密裏に支配下にしてからでも、遅くはなかったのに。
もしかして俺のせい……
サンアリに、モフウフの街とアジトのダンジョンを繋げようと言ったから……
サンアリが、元々計画していたであろうモフウフ王都化計画を、俺も同じ考えだと早とちりして、計画を前倒しにしたという事か……
俺は、ただ、アジトとモフウフの街を行き来する時、検問を通らなければならない事がめんどくさいと思って、繋げてしまおうと言っただけなのに……
こんなにモフウフの街のみんなが盛り上がっていたら、今更、止《や》めるとは言い出せない。
クソー!
本当にサンアリどうしてくれるんだ!
これじゃぁ、いつまでたっても憧れの、のんびりハーレム生活がおくれないじゃないか!
「フフフフ……これで北の大魔王をボコれるニャ。
前の時は、手も足も出なかったけど、こんどはボコボコのギタギタにしてやるのね!」
何故か、ブリトニーもヤル気になっている。
そんなに北の大魔王に復讐したかったのか。
「ブリトニー、お前はそれ程までに北の大魔王にリベンジしたかったのか?」
「あのホモ野郎は、このプリティーなブリちゃんを差し置いて、姫様のお兄様だけを、自分の性奴隷にしたのね!
この屈辱は、絶対に忘れないのニャ!
必ず、私の魅力で勃起させて、チンコスライスしてやるのニャ!」
……そんな理由か。
ブリトニーらしいと言えば、ブリトニーらしいな……
肝心な姫は、どう思っているんだ。
我関せずを貫いているのだが。
北の大魔王を1番許せないと思っているのは、姫の筈。
「姫、モフウフを漆黒の森の王都にすれば、必ず、北の大魔王とぶつかると思うんだが、姫は実際どうしたいんだ?」
「あまり、興味ないのです!
私は、マスターと一緒に居られれば幸せなのです!
ですが、マスターに牙を向けてくる者には容赦しません!
体の一欠片もこの世に残さないくらい、跡形もなく消滅させるのです!」
姫さん、恐ろしい。
どこまで俺の事が大好きなのだ。
今は、【魅了】の効果がまだ効いてて、俺の事が大好きかもしれないが、大人になって、【魅了】の効果が完全に切れ、俺以外の男の事を好きになってしまった場合、姫はかなり重い女だ……
俺は、まだ姫の事を抑える事ができるが、普通の男には、姫を抑える事は無理だ……
多分だが、姫は既に最強の一角に片足を突っ込んでいる。
そんな姫を抑える事ができる男など、この世にほとんど存在しない。
サンアリが続けて、今後のモフウフの街の都市計画を人々に説明している。
アジトのダンジョンを中心にモフウフの街を一回り大きくする事や、ダンジョンの上に城を作る事。
尚且つ、城の1階、2階には、レジャー施設を作る事。
それから、他にどこにもない、新しい形式のダンジョンを運営する事。
城の周りに新しく商業区画を作るので、モフウフの住民には優先的に、土地を安く提供するなど、諸々の事を説明している。
サンアリが話している内に、いつの間にかドン爺、ガン爺、ゾイ爺が、どこからともなく現れて、何やら魔道具のセッテングをしている。
「そして、これが、かの天才建築家ドワーフの生きる伝説ドン様が設計して下さった。『新·漆黒の森王都モフウフ』の完成図です!」
サンアリが、そういった瞬間、空中に、『新·漆黒の森王都モフウフ』の3Dの映像が浮かび上がった。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!
何だこれは!」
「凄いです! 凄いです!
これが新しいモフウフの街?!」
「………」
「すげぇーぜ! モフウフカッコよすぎる!」
ドン爺さん達が設置した、魔道具によって浮かび上がる『新·漆黒の森王都モフウフ』の完成予想図の3D映像を見て、モフウフの住民達は、歓声をあげたり、驚き過ぎて声が出なかったり、色々な反応を示している。
「皆様! 盛り上がって所、申し訳ないですが、 そろそろカウントダウンを初めますよぉ!
今、新年が始まる20秒前です!
用意はいいですかぁ!
残り10秒になったらカウントを始めますよぉ!」
「オォー!」
進行役のヤンヤンが、もうすぐカウントダウンを始める事を知らせると、モフウフの住民達が更に盛り上がる。
「それでは皆さん一緒にカウントを初めます!」
10!
9!
8!
7!
6!
5!
4!
3!
2!
1!
「ハッピーニューイヤー!!」
ドン! ドン! ドン! ドン!
一斉に、モフウフの街の城塞の壁と、教会、ギルド会館の屋上から花火が上がる。
「姫様万歳!」
「モフウフ万歳!」
「『犬の尻尾』万歳!」
「漆黒の森万歳!」
モフウフの街は大いに盛り上がり、朝方まで、飲めや歌えやの、どんちゃん騒ぎが続けられた。
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