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134. ハイ! 喜んで!
しおりを挟む朝食を食べ終え、ダンジョン管理センターに移動する。
ダンジョン管理センターには、魔道具のモニターがたくさん置かれ、偵察魔道具ゴキアルファによって、送られてきた映像が映しだされている。
『シルバーウルフ』が映し出されているモニターを見てみると、現在30層目に到達しているようだ。
ウーン……この調子では、一生攻略できそうもないな……
不死の魔女ブリジアは、人型をしているが神獣だ。
しかし、同じ神獣でもペロとは格が違い過ぎる。
ブリジアは、元はただの狼だ。
長く生きた事で神獣になれたのだが、ペロのような生まれながらの神獣には、到底及ばない。
この世界でのケルベロスの格は、龍、ペガサス、に次いで第3位の格の高さなのだ。
純粋な攻撃力だけなら、ペガサスよりも随分と高い。
ペロの場合は、全魔法の属性を持っているので、大人に成長すれば、龍とも渡りあえるかもしれないと言われる位の実力なのだ。
実際に、『シルバーウルフ』が攻略中のダンジョンなら、ペロは難なく1匹で攻略してしまうだろう。
因みに、今回の最終ステージは、80階層に設定されており、ラスボスは、ゴキAが務めている。
そう、ゴキ男爵がダンジョンマスターになる前の、まだ、アジトがB級ダンジョンだった時のダンジョンマスターだ。
一応、ゴキAはアジトのデーモンの中では、ゴキ男爵に続き2番目の地位という事になってはいるが、メリルや、姫達付きのメイドと比べると爵位的には下になる。
ゴキAは侯爵だが、メリル達はその上の公爵だ。
「苦戦しているようだな」
「ハイ、ブリジア様1人であれば、難なく攻略できるでしょうが、部下50人を守りながらになると、難しそうです」
ゴキ男爵が、淡々と『シルバーウルフ』の状況を説明する。
『シルバーウルフ』は当初、100人で攻略を始めたのだが、今では50人まで数を減らしている。
四方八方から襲いかかってくる魔物にブリジア1人では対処できないのだ。
勿論、死んだ者は、スグにデーモン達が回収し、姫のポーションで生き返らせ、既に、ダンジョン内で働いたりしている。
どうするか……
モニターで見る限り、ブリジア達はかなり疲弊している。
無理もない。
本当なら、スグに全滅させれるのだが、敢えて全滅させないように、手心を加えているのだ。
ハッキリ言って地獄だろう。
休む暇も、考える隙も与えずに、ただひたすら、闘わされ続けているのだ。
「王の間に、行くぞ!」
ダンジョンの最奥、元ラスボス部屋に移動する。
ラスボス部屋は最近は使われていないが、何かイベントがある時は便利だ。
ゴキ男爵が、無駄に荘厳に改築しているので、厳粛な趣がある。
俺は1番奥に置かれている、黄金に光り輝く無駄に立派な椅子に座る。
俺の横には、姫、ブリトニー、アンちゃん、ペロ、ゴキ男爵、メリル率いる姫付きメイド達が左右に並ぶ。
部屋の両サイドには、爵位持ちのデーモン達がおよそ300人、綺麗に整列して並んでいる。
「ゴキ男爵! ダンジョンで徘徊しているブリジアと『シルバーウルフ』の主要メンバーを、ここに転移させろ」
「ハッ!」
目の前に魔法陣が現れ、不死の魔女ブリジアと『シルバーウルフ』の主要メンバーが現れた。
「エッ!!」
あまりに突然の事だったのか、ブリジアと、『シルバーウルフ』主要メンバー獣王トラタマ、大賢者サリサリ、精霊魔術師カサノバは固まっている。
ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
ブリジア以外の『シルバーウルフ』のメンバーが、みんな震えている。
無理もない、両サイドに整列している300人のデーモン達でさえ、『シルバーウルフ』の主要メンバーと比べたら、全員格上なのだ。
アジトのデーモン達は、冒険者ギルドのランクで言えば、全てSSS認定の魔物なのだ。
姫付きのメイドさん達とゴキAがSSSS級。
ゴキ男爵が5S級のデーモンロード。
実際には神話級の魔物に進化している。
とはいえ、不死の魔女ブリジアも神獣なので、レベル的にはゴキ男爵と同等程の力を持っている。
「クククク、成程な。
まさか、デーモンロードまで配下に置いているとは。
始まりの魔女と弟子と名乗るだけの事はある。
しかし、妾の目を誤魔化す事はできぬ!
お前の化けの皮を剥がしやるのじゃ!」
ブリジアの、シルバーの美しい髪が波立つ。
見た目、12、3歳位にしか見えないブリジアが、少しだけ大きく見える。
ブリジアの頭上に、元気〇の様な、小さな太陽のような塊が形成される。
「神級魔法メテオアタック!!」
エッ! 神級?
聞いてないよ。
サイトは周りに【聖級結界】を張っていたのだが、神級魔法が放たれると聞いて慌てる。
聖級より、神級の方が上だ。
なので、【聖級結界】が破られると思ったのだ。
ガリクソンの話では、ブリジアは、始まりの魔女の【聖級結界】を破壊する事ができなかったのではないのか?
ズドンッ!!
結果としては、不死の魔女の神級魔法は、【聖級結界】に傷を付ける事さえ叶わなかった。
「エッ? エッ? エッ?
魔女様の【聖級結界】?
【聖級結界】は魔女様だけのユニークスキルの筈なのに?!
この、見た目だらしなさそうな男が、本当に魔女様の弟子という事なの?」
ブリジアが、目を白黒させて驚いている。
フー……良かった……
神級魔法とか言うから、一瞬焦ったぞ。
やはり、ガリクソンが言ってたように、ブリジアは【聖級結界】を破れなかったようだ。
「フハッハッハッハッハッ!
見たか! 不死の魔女ブリジアよ!
始まりの魔女の本物の弟子、ゴトウ·サイトの力を!
お前は所詮、始まり魔女のペットだ!
弟子の俺とは、格が違う!
俺と同じように、始まり魔女に関わりがあったよしみだ。
特別に、お前を俺のペットにしてやっても良いぞ!
但し、ペットと言ってもオナペットだがな!」
我ながら、上手い事言えた。
ブリジアも、俺の大魔王らしい鬼畜な発言に震え上がっているだろう!
フッアッハッハッハッハッ!
「ハイ! 喜んで!」
ん?
何だって?
「今、何と言った?」
「ハイ! 喜んで!」
??
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