上 下
138 / 286

138. マントの中

しおりを挟む
 
「少しお待ち下さいませ!
 元漆黒の森の城主は、城主専用魔道具により、連絡をとる事ができますので!」

 サンアリは、そういうと棚の中から、見たまんま黒電話を取り出した。

 サンアリが何やらダイヤルを回す。

「サンアリ! それは電話じゃないのか?」

「よくご存知で、流石は始まりの魔女様のお弟子様であらせます。
 これは、始まりの魔女様が造られたいわれている『黒電話』という魔道具でございます!」

 これで間違いない。

 始まりの魔女は、完全に日本人だ。

 ガリクソンがオムライスとかラーメンとか、どう考えても日本食を、始まりの魔女のレシピだと言って出していたが、今回はどこからどう見ても黒電話なのだ。
 食べ物なら、たまたま似ていただけかも知れないと言い訳できるが、黒電話のような独特なフォルムを、たまたま似ているだけだというのは無理がある。

「アッ、もしもしガルムか?
 今、ゴトウ殿から許可が下りた!
 ん……何何、今から来たい?
 別に良いと思うが。
 5分程で到着する?
 フム、分かった。
 それならば、ゴトウ殿に報告しておく
 では!」

 ガチャン

「ゴトウ殿! ニャンゴンの城主ガルム·ロマンチックが今からこちらに来るようです!」

「全部、聞こえてたよ!!」

 不味い、不味いぞ……
 俺はまだ心の準備が出来ていない。
 2、3日後じゃなかったのか。

 て、言うかブリトニーの父親達は、『ミノ1番』の【聖級移転】を使ってくるという事は、この場所に来るという事だ。

 サンアリには、仕事の関係上、特別に【聖級結界】と【聖級移転】のスキルを与えている。

 しかし、自由に設置しまくられたらたまらないので、サンアリに与えているスキルは、『ミノ1番』限定スキルとして、スキルマスターで改造された【ミノ1番専用聖級結界】、【ミノ1番専用聖級移転】にカスタマイズされているのだ。

 モフウフの本店のみ、アジトに直接繋がる【聖級移転】のルートがあるのだが、『ミノ1番』の他の支店に設置されている【ミノ1番専用聖級移転】では、他の場所にある『ミノ1番』同士にしか移転出来ない仕組みになっているのだ。

 なので、ブリトニーの父親達は、アジトに直接ではなく、この場所に移転して来るという事なのだ。

 取り敢えず、問題を先送りにする為には、ここから逃げるしかない。

 トントン

「社長! ニャンゴンの城主ガルム·ロマンチック様とその御一行が、おいでになりました!」

 エッ!! 早すぎるんじゃない?
 まだ、2分も経ってないよ!
 この状態で、逃げ出すのはどうなんだ……

 大魔王としての威厳が無くなってしまうのではないのか……

 うぅ……どうしよう……

 ヌルッ

 突然、俺の影の中からバハオウが現れた。

「御館様、至急アジトに戻って下さいませ!」

「エッ!?  エエエっ!」

 無理矢理バハオウに影の中に引きずりこまれた。

「バハオウ! 突然どうしたのだ?」

 アジトに到着し、バハオウに質問する。

「御館様が、あの場所に居たくなさそうに感じましたので、恐れながら、強行して連れ出したのでございます」

「そ……そうか……
 流石はバハオウだ! 確かに俺は、あの場所から逃げ出したかった。
 男の気持ちが解る女は、やはり最高だな!」

「あ……ありがとうございます」

 バハオウは、伏し目がちに答えた。

「そうだな、今回はとても助かったので、お礼をしなくてはならないな!
 バハオウよ! 何か欲しい物はあるか?
 俺が、手に入れれる物なら何でも与えてやるぞ!
 ただし、俺の性奴隷になりたいというのは勘弁してくれ。
 俺もお前を性奴隷にしたいのだが、ブリトニーが怒るからな……
 性奴隷の件は、ブリトニーに一任してるので、何とかブリトニーに認められてくれ!」

「そ……それでは、私にいつでも御館様の影の中に居ても良い権利を下さいませ」

「影の中?」

「ハイ……影の中です」

「さっきも、お前は俺の影の中にいたのではないのか?」

「………」

 バハオウは黙ってしまった。
 多分バハオウは、ずっと俺の影の中に潜んでいたのだろう。
 そうでなければ、タイミング良く俺を助ける事など出来る筈はない。
 少し、ストーカーぽいが俺の中では許容範囲だ。
 こちらの世界に来てから今日まで、ずっと女性に囲まれてきた。
 影の中で、ずっと見られるくらいどって事ない。
 今の俺にはプライバシーなどないし、必要もないのだ。
 前の世界では人目を気にして暮していたが、この世界では、人目など気にする必要などない。
 既に、ブリトニーや姫には、最初に木陰に隠れてオナニーする所まで見られていて、変態だと認知されている。
 逆に、いつでもどこでも見られていると思うと興奮する位だ。

「許す! 存分に俺の影の中でムラムラ興奮するが良い!
 そうだな。特別に俺の息子が勃起した時に、いつでもフェラチオする栄誉をお前に与えよう!
 俺は、お出かけの時はいつでもマントを羽織っているだろう。
 お前はマントの中に隠れながら俺の息子をしゃぶるのだ!
 決して人に悟られてはならぬ!
 何故なら、お前はくノ一なのだ!
 くノ一は隠密行動のエキスパート。
 誰にも悟られずに、フェラチオしまくるのだ!」

「ハッ! 必ずや御館様を満足させてみせます!」

 バハオウは、そういうと俺のマントの中に隠れ、俺の息子を口に咥え、フェラチオしだしたのであった。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の大好きな旦那様は後悔する

小町
BL
バッドエンドです! 攻めのことが大好きな受けと政略結婚だから、と割り切り受けの愛を迷惑と感じる攻めのもだもだと、最終的に受けが死ぬことによって段々と攻めが後悔してくるお話です!拙作ですがよろしくお願いします!! 暗い話にするはずが、コメディぽくなってしまいました、、、。

私が悪役令嬢? 喜んで!!

星野日菜
恋愛
つり目縦ロールのお嬢様、伊集院彩香に転生させられた私。 神様曰く、『悪女を高校三年間続ければ『私』が死んだことを無かったことにできる』らしい。 だったら悪女を演じてやろうではありませんか! 世界一の悪女はこの私よ! ……私ですわ!

縦ロールをやめたら愛されました。

えんどう
恋愛
 縦ロールは令嬢の命!!と頑なにその髪型を守ってきた公爵令嬢のシャルロット。 「お前を愛することはない。これは政略結婚だ、余計なものを求めてくれるな」 ──そう言っていた婚約者が結婚して縦ロールをやめた途端に急に甘ったるい視線を向けて愛を囁くようになったのは何故? これは私の友人がゴスロリやめて清楚系に走った途端にモテ始めた話に基づくような基づかないような。 追記:3.21 忙しさに落ち着きが見えそうなのでゆっくり更新再開します。需要があるかわかりませんが1人でも続きを待ってくれる人がいらっしゃるかもしれないので…。

異世界ゲームへモブ転生! 俺の中身が、育てあげた主人公の初期設定だった件!

東導 号
ファンタジー
雑魚モブキャラだって負けない! 俺は絶対!前世より1億倍!幸せになる! 俺、ケン・アキヤマ25歳は、某・ダークサイド企業に勤める貧乏リーマン。 絶対的支配者のようにふるまう超ワンマン社長、コバンザメのような超ごますり部長に、 あごでこきつかわれながら、いつか幸せになりたいと夢見ていた。 社長と部長は、100倍くらい盛りに盛った昔の自分自慢語りをさく裂させ、 1日働きづめで疲れ切った俺に対して、意味のない精神論に終始していた。 そして、ふたり揃って、具体的な施策も提示せず、最後には 「全社員、足で稼げ! 知恵を絞り、営業数字を上げろ!」 と言うばかり。 社員達の先頭を切って戦いへ挑む、重い責任を背負う役職者のはずなのに、 完全に口先だけ、自分の部屋へ閉じこもり『外部の評論家』と化していた。 そんな状況で、社長、部長とも「業務成績、V字回復だ!」 「営業売上の前年比プラス150%目標だ!」とか抜かすから、 何をか言わんや…… そんな過酷な状況に生きる俺は、転職活動をしながら、 超シビアでリアルな地獄の現実から逃避しようと、 ヴァーチャル世界へ癒しを求めていた。 中でも最近は、世界で最高峰とうたわれる恋愛ファンタジーアクションRPG、 『ステディ・リインカネーション』に、はまっていた。 日々の激務の疲れから、ある日、俺は寝落ちし、 ……『寝落ち』から目が覚め、気が付いたら、何と何と!! 16歳の、ど平民少年ロイク・アルシェとなり、 中世西洋風の異世界へ転生していた…… その異世界こそが、熱中していたアクションRPG、 『ステディ・リインカネーション』の世界だった。 もう元の世界には戻れそうもない。 覚悟を決めた俺は、数多のラノベ、アニメ、ゲームで積み重ねたおたく知識。 そして『ステディ・リインカネーション』をやり込んだプレイ経験、攻略知識を使って、 絶対! 前世より1億倍! 幸せになる!  と固く決意。 素晴らしきゲーム世界で、新生活を始めたのである。 カクヨム様でも連載中です!

転移先は薬師が少ない世界でした

饕餮
ファンタジー
★この作品は書籍化及びコミカライズしています。 神様のせいでこの世界に落ちてきてしまった私は、いろいろと話し合ったりしてこの世界に馴染むような格好と知識を授かり、危ないからと神様が目的地の手前まで送ってくれた。 職業は【薬師】。私がハーブなどの知識が多少あったことと、その世界と地球の名前が一緒だったこと、もともと数が少ないことから、職業は【薬師】にしてくれたらしい。 神様にもらったものを握り締め、ドキドキしながらも国境を無事に越え、街でひと悶着あったから買い物だけしてその街を出た。 街道を歩いている途中で、魔神族が治める国の王都に帰るという魔神族の騎士と出会い、それが縁で、王都に住むようになる。 薬を作ったり、ダンジョンに潜ったり、トラブルに巻き込まれたり、冒険者と仲良くなったりしながら、秘密があってそれを話せないヒロインと、ヒロインに一目惚れした騎士の恋愛話がたまーに入る、転移(転生)したヒロインのお話。

アルネス・イヴァの事情

かとりあらた
ファンタジー
 教会の要人を両親に持つ少年アルネスは、これまた要人である伯父から養子の申し出を受ける。  モテるのに結婚する気がまったくない伯父、彼の抱える事情に巻き込まれたアルネスの奮闘記。  ――悪逆の王を戴く、暗い冬の時代があった。  しかしかの王は、勇敢な辺境伯と神の使徒らによって討たれる。  とはいえ長き悪政による傷は深く、かつての豊かな国を取り戻すにはまだしばらくの時間を要した。  これは人々の努力がようやく芽吹き、開花を迎えた頃の物語。  ※レーティングは変わりますが、著者の別作品「CHANGELING! ―勇者を取り巻く人々の事情―」と世界観を共有しています。本作の登場人物達が過去の回想として登場します。  こちらの作品はムーンライトノベルズ様にも掲載しています。 

趣味を極めて自由に生きろ! ただし、神々は愛し子に異世界改革をお望みです

紫南
ファンタジー
魔法が衰退し、魔導具の補助なしに扱うことが出来なくなった世界。 公爵家の第二子として生まれたフィルズは、幼い頃から断片的に前世の記憶を夢で見ていた。 そのため、精神的にも早熟で、正妻とフィルズの母である第二夫人との折り合いの悪さに辟易する毎日。 ストレス解消のため、趣味だったパズル、プラモなどなど、細かい工作がしたいと、密かな不満が募っていく。 そこで、変身セットで身分を隠して活動開始。 自立心が高く、早々に冒険者の身分を手に入れ、コソコソと独自の魔導具を開発して、日々の暮らしに便利さを追加していく。 そんな中、この世界の神々から使命を与えられてーーー? 口は悪いが、見た目は母親似の美少女!? ハイスペックな少年が世界を変えていく! 異世界改革ファンタジー! 息抜きに始めた作品です。 みなさんも息抜きにどうぞ◎ 肩肘張らずに気楽に楽しんでほしい作品です!

ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩
ファンタジー
美月は気がついたら森の中にいた。 どうも交通事故にあい、転生してしまったらしい。 現世に愛犬の銀を残してきたことが心残りの美月の前に傷ついたフェンリルが現れる。 傷を癒してやり従魔となるフェンリルに銀の面影をみる美月。 フェンリルや町の人達に溺愛されながら色々やらかしていく。 みんなに愛されるミヅキだが本人にその自覚は無し、まわりの人達もそれに振り回されるがミヅキの愛らしさに落ちていく。 途中いくつか閑話を挟んだり、相手視点の話が入ります。そんな作者の好きが詰まったご都合物語。 2020.8.5 書籍化、イラストはあめや様に描いて頂いてております。 書籍化に伴い第一章を取り下げ中です。 詳しくは近況報告をご覧下さい。 第一章レンタルになってます。 2020.11.13 二巻の書籍化のお話を頂いております。 それにともない第二章を引き上げ予定です 詳しくは近況報告をご覧下さい。 第二章レンタルになってます。 番外編投稿しました! 一章の下、二章の上の間に番外編の枠がありますのでそこからどうぞ(*^^*) 2021.2.23 3月2日よりコミカライズが連載開始します。 鳴希りお先生によりミヅキやシルバ達を可愛らしく描いて頂きました。 2021.3.2 コミカライズのコメントで「銀」のその後がどうなったのかとの意見が多かったので…前に投稿してカットになった部分を公開します。人物紹介の下に投稿されていると思うので気になる方は見てください。

処理中です...