【R18 】必ずイカせる！ 異世界性活

１６３. 食の戦場

　
「早くモフウフに連れて行ってくれ！」と、
　駄々をこねるアンちゃんの弟、ヨネンは取り敢えず置いておいて、再び、ブリジアに『ウルフデパート』を案内してもらう。

　どうやら、1階は高級店ばかりのようだ。

　客層は、身なりの良い一流冒険者や、どこかの王族や貴族、『ウルフデパート』でしか手に入らない物を買い付けにきている商人などだ。

　2階に上がると客層が一気に変わる。

　普通の冒険者やムササビに住む一般人がほとんどだ。

「2階は、各大陸の人気店が入店しておる。
　この階にも、ドワーフ王国が直営店を出店しているのじゃが、先程の高級路線のお店ではなく、普通の冒険者でも買える、リーズナブルで質の良い装備を揃えているお店を出しているのじゃ！」

「確かに、あの値段は、普通の冒険者が買うのは無理だからな……」

「2階のドワーフ王国の直営店には、ヨネンの作った魔道具とかも売られている筈だよ！
　ヨネンはお父さんや僕と違って、冒険より、ものづくりが何よりも好きだからね！」

　確かにそうだと思う……
　2階を見終わったら、すぐにモフウフに連れて行ってやると行っているのに、今すぐ連れて行けと、ずっと駄々を捏ねていたからな……

　結局、アンちゃんに簀巻きにされて、大人しくなったが……

　１階は、とても静かで高級デパートのようだったが、2階は打って変わって、活気がある。

　店員が、客引きなどもしている。

「それにしても活気があるな！」

「みんな必死じゃからな。
　家賃は、利益の5パーセントじゃ。
　1年を通じて家賃の少ない3店舗は、自動的に出ていってもらっておる。
『ウルフデパート』に出店したいお店はたくさんあるのでな。
　なので、売上が少ないお店は必死なのじゃ！
『ウルフデパート』に出店でき、何年も生き残れるお店は、それ自体が一流店の証明みたいなものじゃからな！
　それに、血の入れ替えは大事じゃ！
　モールに活気がみなぎる。
　活気がある所には、人も集まり品物も売れる。
　ウハウハじゃな！」

　ブリジアはかなりの商売人だ。

　サンアリともタメを張れるか、それ以上だ。

「それからこちらが、お食事処の区画じゃ！」

　お食事処は、軽い食事が取れるフードコートと専門店街と別れているようだ。

　フードコート内には、ラーメンやたこ焼きなど、見なれた日本食もたくさん売られている。
　多分、ガリクソンがプロデュースしているのだろう。

「お食事処も、同じシステムじゃ！
　売上が低い3店舗は、毎年、自動的に出て行ってもらっておる。
　なので毎年、各大陸で人気のお店が新しく入店してくるので、ここに来れば、今流行りの新しい食事が食べれるというシステムじゃ！
　しかし、いつでも売上上位の人気店は、ガリクソンがプロデュースしているお店じゃな！
『ミノ一番』は元々、南の大陸で名の知れた有名店だし、ガリクソンも新メニューを考えてくれると約束していたみたいだし大丈夫じゃろ」

「ハイ！ ブリジア様！ ありがとうございます！ 『ウルフデパート』の看板に恥じぬように精進していきます！」

　サンアリがブリジアに深々と頭を下げる。

「さて、『ミノ一番』の場所なのじゃが、このフードコートの一角じゃ！
『シルバーウルフ』と『ウルフデパート』の社員食堂があまりに美味しいと評判だったので、お客にも出したら儲かるかもと思い、社員食堂、兼、お客も食べれる食堂として、フードコートに出店してみたのじゃ！
　案の定、繁盛しているのじゃが、今回、『シルバーウルフ』の人員が、かなり縮小したので、この区画の半分を『ミノ一番』にしてみるつもりじゃ！」

　ブリジアが提案した場所は、かなり馬鹿でかい面積を要している。

　他の飲食店を3つ程繋げた程の広さだ。

「ブ……ブリジア様……
　この場所に出店して本当に宜しいんでしょうか？」

　サンアリが心配になったのか、ブリジアに聞く。

「問題ないじゃろ！
『ミノ一番』は元々南の大陸では、誰もが知る人気店だった訳じゃし、今まで支店を出していなかったのもミノタウロスの肉に限りがあったからじゃろ！
　その問題も、ミノタウロス牧場で解消できた訳だし、ガリクソンも新メニューをプロデュースすると言っているのじゃ！
　繁盛しない事を想像する事の方が難しい位じゃ！」

　ブリジアは自信満々に答える。

　サンアリが心配するのも無理はない。

『ウルフデパート』は大陸中から、人気店だけが集まる、いわば食の戦場なのだ。
　その戦場に新参者が、いきなり一番大きな箱でオープンするのだ。
　成功する方が難しい。
　ライバルは全て、超一流店なのだから。

「これは、本気で勝ちにいかないといけませんね。
　私は、ムササビの出店も他の支店同様位で計画しておりましたが、生半可な気持ちでは太刀打ちできそうもありません！
　私が持ちうる全てのアイデアとコネを総動員して、必ずや『ミノ一番』ムササビ出店を成功させてみせます！」

　サンアリが燃えている。

「期待しておるぞ！
　妾は『ミノ一番』を今年の新出店の目玉にするつもりじゃからな！」

　ブリジアも商売人の顔になり、ニヤリと笑った。