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171. 剣帝
しおりを挟む「まず、カウンターで受付するのじゃ!」
ブリジアが、いつものワンワン語ではなく、『シルバーウルフ』の団長としての喋り方でレクチャーしてくれる。
言われた通りに、カウンターの受付嬢に話しかける。
「『犬の尻尾』だが、今日の冒険者会議に出席する為に来たのだが」
「ハイ! お待ちしておりました!
それでは、こちらの石板に冒険者ブレスレットをかざして下さい!」
言われた通りに、ステータスを確認する為に使う石板の上に冒険者ブレスレットをかざす。
「『犬の尻尾』団長、ゴトウ·サイト様ですね!
それでは、こちらの用紙に、参加者のお名前を4名まで記入して下さい!」
「ウム」
自分の名前をサインする。
こちらの文字は、未だに全く解らないのだが、自分の名前だけは書けるように練習したのだ。
俺の名前をサインし終わった後、姫達に回す。
最後にサンアリがサインし、受付嬢に手渡す。
「ハイ! 問題ありませんね!
それでは、あちらの扉の前にある石板に冒険者ブレスレットをかざしていただければ、冒険者会議に参加できる資格のあるギルドのブレスレットにだけ反応して扉が開くシステムになっております。
扉が開きましたら小部屋がありますので、そこにそのままお入り下さいませ!」
俺達は、受付嬢に言われた通りにして、小部屋に入る。見たまんまのエレベーターだ。
『ウルフデパート』にあるエレベーターとまるっきり同じ作りみたいだ。
『ウルフデパート』も『冒険者ギルド本部』も、ドン爺さん達の設計だと言っていたので、同じ設備があって当然といえば当然なのだが。
そのエレベーターで三階に向かう。
エレベーターの中でブリジア達が来るのを待とうとしたが、扉が勝手に閉まり、階上へと動きだした。
前の世界のエレベーターのように、開、閉のボタンが無いのか……
これは今度、ドン爺さんに言って改良してもらおう。
取り敢えずは『犬の尻尾』ムササビ支部がある『ウルフデパート』の方だな。
そうこう妄想しているうちに、3階に到着した。
エレベーターの扉が開かれると、そこには広いロビーのような空間が広がる。
壁には、たくさんの人物画が飾られており、床は真っ赤なフカフカの絨毯が轢かれている。
まるでベルサイユ宮殿のようだ。
よく見ると、奥のロココ調のソファーに、先客が3人程座っているのが見える。
俺達が気付いたのと同時に、相手方も俺達に気が付いたようで、立ち上がり俺達の方に近付いてきた。
「久しぶりだな! ゴトウ·サイト!」
金髪イケメンの見知らぬ人の良さそうな人物が、親しげに話しかけてきた。
誰?
「本当に久しぶりだな! まさかお前達がギルドランキング10位入りしてくるとはな!
最終ランキングが発表されて『犬の尻尾』と、記載されているのを見て、まさかとは思ったが、やはりお前達だったか! ハッハッハッハッハッ!」
だから誰なんだ?
俺は、こいつを全く知らないのだが……
「サイト君」
アンちゃんが小声で、耳元に話しかけてきた。
「この人達、前に初めて未攻略ダンジョンに攻略に行った時に、色々教えてくれた人達じゃないの?」
「おおぉー そうだ! あいつらだ!
あの人の良さそうな爽やかイケメンには、確かに見覚えがある!
で、あいつらの名前は何だったっけ?」
「えっ……何だったっけ……」
アンちゃんも思いだせないのか、思案顔をしている。
ウィィーン。
背後で、魔道式エレベーターが開く音がした。
「んっ!『天空の翼』剣帝グラムか!
久しぶりだな!
そう言えば、お前達も今回、ギルドランキング10位に新しく入ったんだったな!」
ガリクソンが、俺達と話している人物を見て話しかけてきた。
ガリクソンと知り合いだったのか。
そういえば、このグラムとかいう奴、初めて会った時に、未攻略ダンジョンを攻略できるようなS級ギルドの奴なら、殆ど知ってるって言ってたような気がするな。
多分、これだけフレンドリーなら誰とも仲が良くなれるのだろう。
それにしても、こいつ剣帝だったのか……
剣帝と言ってもガリクソンと一緒なので、大した事ないな。
「久しぶりですね!S級ギルド『天空の翼』のグラムさん!
この前は、未攻略ダンジョンの事を色々と御指導頂き、有難うございました!」
俺は、丁寧に頭を下げながら話しかける。
「イヤイヤ、君達にも驚かされたよ!
あの時、君達、初めてギルドポイントをゲットした感じだったろ!
それが、数ヶ月間でギルドランキング入りだろ!
俺達がやっとの事で、ギルドランキング10位入りに漕ぎ着けたというのに、結成間もないギルドが、簡単にギルドランキング10入りするとはな! ハッハッハッハッハッ!」
『天空の翼』剣帝グラムが、何が可笑しいのか、高笑いしている。
「グラムさんも剣帝だったとは、驚きましたよ!」
「ハッハッハッハッ! 剣帝なんてそんなに凄くないよ! 世の中には剣帝なんかより強い人達がわんさかいるからね!
剣帝の称号は冒険者の中だけの剣士の順位を表す称号だからね!
それを言うなら、ガリクソンさんだって剣帝だから凄いよね!」
「いえいえ、私とグラムとでは、天と地程の実力差があります。
剣帝と言っても、グラムは殆ど剣聖に限りなく近い剣帝であって、私はギリギリ剣帝の称号に頂いていただけです。
現に私は、先程ギルド会館で調べた所、既に剣帝から外れておりましたし、剣王でもありませんでした!
多分、ブリトニー様辺りが、新しい剣帝になっているのではありませんか?」
何だと! ブリトニーが剣帝に!!
急いで、ブリトニーのステータスをチェックする。
ギルド『犬の尻尾』
ブリトニー·ゴトウ·ロマンチック
魔王lv.30、剣帝lv.3、拳王lv.30、大賢者lv.43、性奴隷lv.82
スキル;経験値2倍、咆哮、必ずイカせる、お掃除、入門魔法全書、闘気、一撃、恫喝、調教、影渡り、斬撃波、敵対心、防御力30%up、鉄拳、不老不死
確かに、ブリトニーが剣帝になっている。
それよりも、性奴隷のレベルが急成長しているのが、気になるのだが……
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