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223. 姫の呟き
しおりを挟む「サイト君! すぐにモフウフに行くよ!」
「……」
アンちゃんは、急いでモフウフに戻ろうと言うが、俺は絶対に戻りたくない。
やっとの事、エリスさんと共に行動できる事になったというのに、モフウフに戻るなんて考えられない。
俺は、今日、この日の為だけに、1ヶ月間、つまらないダンジョンの攻略を頑張ってきたのだ。俺の今までの我慢はどうなるのだ……
北の大魔王って奴は、どんだけタイミングが悪い奴なんだ。
会った事はないが、怒りが込み上げてくる。
この日の為だけに、ゾイ爺さんに急遽制作して貰った透明マントは、一体どうなるんだ。
別に、モフウフに行くのは、今日でなくても良い気がするのだが。
モフウフには、ブリトニーの父親の剣聖ガルム·ロマンチックもいるし、ゴキ男爵と、爵位持ちのデーモン軍団300人もいる。
それから元剣神の大吉爺さんも、ブリトニーの姉の剣姫カレン·ロマンチックまでいるのだ。
それだけ揃っていれば、1週間後でも良いだろ!
1週間あれば確実に、エリスさんの放尿シーンを透明マントを使って覗き見する事ができる筈なのだ。
俺は、エリスさんのオマ〇コが見たいのだ!
「今すぐ、モフウフに行くのです!
みんなが待っているのです!
1週間後とか、絶対に駄目なのです!」
珍しく姫が発言し出した。
姫は北の大魔王に復讐する事とか、全く興味無かったのではないのか?
やはり心の奥底では、北の大魔王に復讐したかったという事なのか。
エリスさんの放尿シーンを見れないのはとても悲しいが、やはり姫の父親代わりでもある俺としては、姫の思いを汲む義務がある。
よし! モフウフに行こう!
しかし、1週間後だ!
モフウフの街が北の大魔王に落とされたとしても、最終的に北の大魔王をやっつければ良いだけの話だ。
それで、姫の両親の仇討ちは出来た事になる筈だ。
「私は北の大魔王に復讐する気は全く有りませんが、モフウフにいるゴトウ族を1人も死なせたくないのです!
なので、早くモフウフに行くのです!
今すぐ行くのです!」
まるで俺の心の声の返答のような事を言いながら、姫が必死になってモフウフに行こうと懇願する。
こんなに必死な姫を、俺は見た事がない。
しかし、エリスさんの放尿を覗き見る事は絶対に譲れない。
「マスター、モフウフに今すぐに行きたいのです!
今すぐじゃないと駄目なのです!」
姫が俺のマントの端をギュッと掴み、俺を見上げて泣き出してしまった。
なんで姫は これ程までに、今日の出発に拘るのだ?
まるでエリスさんの放尿シーンを見たいという、俺の心の中を見透しているように感じる。
「あんた! 何、姫様を泣かしてるのよ!
何考えてるか知らないけど、小さい女の子を泣かす男なんて最低よ!」
「ゴトウ君! すぐにモフウフに戻ってあげて、姫ちゃんが可哀想よ!」
姫が突然泣き出したせいで、シャンティーさんとエリスさんに責められてしまった……
ここで俺がモフウフに戻ると言わなければ、エリスさんに幼女を泣かす最低野郎だと思われ、金輪際 口を聞いて貰えなくなってしまうかもしれない。
仕方が無い……
エリスさんのオマ〇コを見るのは、また今度だ。
「姫、泣くな! すぐにモフウフに戻るぞ!」
「ハイなのです!」
姫は嬉しそうに、元気に返事をした。
「ところで、俺達が居なくてもダンジョンの探索は大丈夫なんですか?」
「アンや姫様、エロ猫娘は居てもらえると助かるけど、あんただけは全く必要ないわね!」
解ってはいたが、ハッキリと口に出して指摘されると流石に凹む。
「ゴトウ君! 必ず生きて戻ってきてね! 」
「……」
エリスさんにとって、俺は死ぬ前提なのか……
「サイト! 俺も漆黒の森出身者として、お前らを助けてやりたい気もするが、冒険者ギルト会議でモフウフの件は当事者同士で問題を解決する事に決定したので、俺はお前らを助ける事はできない。
多分、北の大魔王も、冒険者ギルドがこの件について関与しないと声明を出したので、満を持して攻めてきたのであろうな。
それから、もし俺の親父に会う機会があれば、『剣神になるまで家に戻る気はないが、元気にやっている』と、伝えて置いてくれるか!」
「必ず大吉爺さんに伝えます!」
俺は、シンタローさんと約束した。
「『犬の尻尾』の今回のレイドの報酬は、勿論 無しという事で良いわよね!
完璧な途中放棄ですもんね!
シローには私から伝えておくから、安心してモフウフに戻るといいわ!」
シャンティーさんは、やはりお金に汚い。
「分かりました。報酬は要りません!
但し、モフウフの件が片付いたら、必ずここに戻ってきますので」
「途中から、戻ってきても報酬は無しよ!」
「シャンティーさん。俺達はそれ程お金に困っていませんので、全く問題ありません。
ただ俺は、皆さんのお役に立ちたいだけなのです!」
「あんた、本当に頭がおかしいわね!
変態が考えてる事は、ノーマルな私には全く分からないけど、報酬が要らないのであれば歓迎するわ!
人が多ければ多い程、私達が楽できるからね!」
フフフフフチョロいな。
1番厄介そうなシャンティーさんにOKが貰う事ができた。
まあ、シャンティーさんは、お金にがめついので、報酬無しで良いと言えば、OK貰えると思ってたけどな。
モフウフの件を速攻で片付けて、すぐにここに舞い戻り、必ずエリスさんの放尿シーンを覗き見してやるのだ!
「ゴトウ君! 必ず戻ってきてね!」
「ハイ!エリスさん!
必ず、戻ってきます!」
俺がエリスさんに話かけられ、有頂天で喜んでいる横で、姫が俺のマントの端をギュッと握りしめながら、聞き取れない程の小さな声で、何かを呟いた。
『エリスさんなんて、居なくなればいいのに』
姫のエリスさんへの嫉妬心は、日を追う事に、益々大きくなっていくのであった。
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