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228. 中央戦線
しおりを挟む「フッワッハッハッハッハッ!
またしても、この牛魔王様にやられる為に、ノコノコやって来たのか!」
牛魔王が、元王都とモフウフの中間地点に位置する中央戦線で、いつものように鼻息高く、相手を挑発する。
「フン、何とでも言うが良い!
我等は、まだまだ本気ではないのでな。
現に、前哨戦でのお前の攻撃は、我に傷の1つも付ける事が出来なかったではないか!」
悪魔軍団の将軍ガープが、牛魔王の挑発を軽くいなす。
「クッ……小癪な。ガルム殿の攻撃を食らって、一目散に逃げ帰った癖に!」
「確かに、あやつの攻撃は中々の物であった。
この時代の漆黒の森の支配者候補も、少しは骨がある部下を持っていたようだな。
先程は、撤退命令があったので一旦引いただけだ。
今回は、思う存分相手をしてやっても良いぞ!」
「フン、俺様のバトルアックスの錆にしてやる!」
牛魔王は、背中に背負っていたバトルアックスを抜いて、ガープに猛然と襲いかかった。
ドン!!
牛魔王は、ガープの間合いから丁度3メートルの位置で、透明な壁のような何かにぶつかった。
「クッ!! 結界か!?」
「これくらいの結界が破れないようでは、我の相手にはならんぞ」
ガープは喋りながら剣を抜き、牛魔王に向けて軽く振る。
すると、剣から凄まじい斬撃波が放たれ、牛魔王に襲い掛かってきた。
「これしき!! 」
牛魔王もバトルアックスを両手で握り締め、「ウオリャ!!」と、渾身の斬撃波を放つ。
ズッバシッ!!
ガープが軽く放った斬撃波は、牛魔王の渾身の斬撃波で、なんとか相殺できた。
「思ったよりは、やるようだな。
まあ、これぐらいやってもらわねば、つまらぬのだがな」
「糞! 舐めやがって!!」
牛魔王は頭に血がのぼり、そのままガープに向かって特攻しようとする。
「牛魔王、待て!
ガープの相手は、私がする。
お前は、少し頭を冷やせ!」
ガルムが、厳しい口調で牛魔王を諭す。
「ガルム殿……」
牛魔王は、厳しいガルムの口調に冷や汗を垂らしながらも、すぐに冷静になり、矛を収めた。
「私は、この戦いの総大将を務めさして頂いているガルム·ロマンチックだ。
ガープ殿は、何やらこの戦いに、何か他の思惑がおありのようにお見受けするが、この戦いは、我等にとっても負けられぬ戦である。
よって、そちらの思惑を無視させてもらい、遠慮なく倒させてもらう!」
「それで良い! 我は強い相手と戦いたいだけだ! 遠慮なく我を倒しに来い!」
ガープが話終えた後、ガープの全身から赤黒い闘気が溢れし、一気に戦闘力が増したのが感じられた。
「姫様の闘気と似ておるな。
流石は、初代様に仕えたと言い伝えられている悪魔将軍だ。
相手にとって不足はない!」
ガルムが、ガープをキッと見据え、いつでも戦いを始められる体勢をとる。
「皆の者下がっておれ、我の邪魔をする者は味方であっても許さん!
我はこの男と、大将同士の一騎打ちを所望する!」
ガープはそう宣言すると、コウモリの羽のようなデーモン特有な羽根を広げ、上空に飛び上がった。
ガープが、天高く飛び上がると同時に、上空に幾つもの魔法陣が現れる。
「強き者よ、まずはこの攻撃を受けてみよ!」
ガープが話し終わると同時に、魔法陣が青白く光り輝き、中から真っ赤に燃え上がる隕石が現れ、ガルム目掛けて次々と連射された。
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ……
ガルムは、娘のブリトニーやカレン並のスピードで、魔方陣から次々と生み出される隕石を紙一重で避けていく。
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ……
「……この攻撃はヤバすぎるな……
牛神。お前なら、あの攻撃を避けられるか?」
牛魔王が、牛神·パウロに質問する。
「ケルベロス流格闘術をもってしても、10発避けるのが限界ですね」
「そうか……俺は多分、2発弾いたら終わりだな。
しかし、流石はブリトニーの姉御の親父様だ!
ガープの野郎の隕石攻撃を、全て紙一重で避けていらっしゃる!」
「同感です。やはりブリトニー様のお父上ですね。
完璧にガープの攻撃を見切っておいでです。
そのまま攻撃に移られても良いように感じますが、私の予想としましては、敢えてガルム様は、ガープの攻撃が終わるのを待ってから、反撃に移るように見受けられますね」
「これだけの攻撃を続けて、魔素切れを起こさない筈がないからな!
俺様も、勿論そう思ってたぞ!
フッワッハッハッハッハッ!」
牛魔王が、何もかも解っていたような、したり顔をして、牛神さんに賛同する。
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ……
「……」
「牛魔王様、それにしても、ガープの攻撃が終わりませんね……」
「そ……そうだな……」
ズダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ……
「強き者よ、もしかしたら、我の攻撃が終わるのを、いつまでも待っておるのか?
もし、そう思っているのであれば、それは思い違いだぞ!
我の魔素は、無限であるぞ!」
ガープがガルムに、まさかの事実を告げた。
「ふむ成程、だからいつまで待っても、攻撃が終わらなかったのだな。
そうと解れば、いくらでもやりようがある」
ガルムは少しも動じる事もなく、鞘が付いたままの剣を抜いた。
そして、隕石を相変わらず紙一重で避けながら、野球のバッターの様な構えをとった。
ガルムの体から、真っ赤な闘気が纏わり付く。
まるで、巨人〇星の主人公がよく纏っている、炎のようだ。
ガルムの発する、真っ赤な炎のように見える凄まじい闘気によって、場の空気が固まり、まるで時間がスローモーションのように感じられる。
そして、真っ赤な隕石を発射し続けている魔法陣の1つから、新しい隕石が出現し、吸い込まれるように、ガルムが剣を構えているど真ん中に向かって、真っ赤に燃え盛る隕石が発射された。
フン!!
ガルムは、体中の力を溜め込むように足、腰、腕の順に連動させるように体を捻っていき、鞘をしたままの剣に全ての力を注ぎ込んでいく。
そこへ、まるで闘魂野球マンガのボールのように、真っ赤に燃え盛る隕石が、ガルムの懐目掛けて飛んできた。
ガルムの鞘に入ったままの剣が、真っ赤に燃え盛った隕石の真芯を捕らえる。
カッキーン!!
まるで、金属バットでボールを打ったような、乾いた音が鳴り響く。
そして、ガルムは、そのままガープに向けて剣を振り抜いた。
ゴゥォォォォーーーー!!
隕石は、まるで流れ星のようにガープ目掛けて飛んで行く。
「馬鹿め! そんな攻撃では、我の結界を破る事など出来ぬわ!」
ガープは余裕の表情で、自分に向かってくる真っ赤に燃え盛る隕石を、避ける素振りもみせない。
「馬鹿は、どちらかな」
ガルムが、ガープの言葉を返す。
「ま……まさか?!」
パリーン!!
ガープの結界が、砕け散る音が響き渡るのと同時に、真っ赤に燃え盛る隕石が、ガープの右の羽根に見事にヒットした。
「クッ!! まさか、隕石に己の闘気を載せて、弾き返すとは!」
ガープは、ガルムの技をわざわざ丁寧に解説をしながら、地上に落下していくのであった。
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