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237. 辛党じゃないよ! 甘党だよ!
しおりを挟むカレン達は、失神してしまったセーレの処分に困り、取り敢えず、失神したままのセーレを連れて、モフウフの作戦本部に戻ったのであった。
「サンアリ殿! 西部戦線指揮官カレン·ロマンチック、只今、西地区デーモン部隊の隊長セーレを捕捉したので、連れて参りました!」
「これは皆様、ご苦労様でございます!
皆様方の行動は、全て見ておりましたので、セーレを捕捉した事も全て把握しておりますよ!」
サンアリがカレン達の労をねぎらいながら、『ミノ一番』用にサイトに与えられていた【ミノ一番専用聖級結界】を発動させ、セーレを中に閉じ込める。
「これで一先ず、セーレが目覚めても安心ですな!」
「あの……私達の行動を全て見ていたと言われた気がしたのですが、どうやって私達を見ていらしたのですか?」
カレンは、先程のサンアリの言葉が、とても気になっていたので聞いてみる事にした。
「この戦争の軍師として、全ての戦地の情報を分析しないといけませんので、ここにある魔道モニターで見ていたのです!」
確かに、作戦本部に設置してある魔道モニターには、各地の戦いが映し出されていた。
その中に、サンアリと参謀のハバロネが映っているモニターもあった。
カレンは、その映し出されている角度の正面に位置しているクリスティーヌに目を向ける。
そして、目を追って行くうちに、頭の飾りだと思っていた物体に行き着いた。
「キャァァァァァァァァーーー!!
ゴ……ゴキブリ!!」
突然カレンが、クリスティーヌの髪飾りを指さして悲鳴をあげる。
「エェェ!! ゴキブリ?! チョット! どうにかしてぇーー!!」
クリスティーヌも慌てふためき、頭を払う。
すると、床にゴキブリ型偵察型魔道ロボット、ゴキアルファが転がり落ちてきた。
「ゴキアルファ?
なんで私に?
サンアリさん! これは一体どういう事ですか!」
クリスティーヌは、サンアリに詰寄る。
「すみません……
ヤナト君とスイセイ君は、前衛職なので、必然的に敵と肉弾戦になる確率が高く、ゴキアルファが破損する恐れがある為、申しわけ有りませんが、クリスティーヌさんに無断でゴキアルファを装着させて頂きました……」
バキッ!!
「フン! 私に装着しても、100パーセント破損させるわよ!」
クリスティーヌは、ゴキアルファを踏みつけサンアリを睨みつける。
「な……なんて事を……
ゴキアルファ1匹製作するだけで、3000万マーブルも掛かると言うのに……」
サンアリが壊れたゴキアルファを拾い上げて、ワナワナとしている。
「いい事! 私に偵察用魔道ロボを持たせたいなら、とっても可愛いい物を、ゾイ爺に作らせなさい!
ゴキブリなんて、絶対にお断りよ!」
クリスティーヌは、怒り心頭でサンアリのケツに蹴りをいれた。
「なんじゃ! 盛り上がっているようじゃな?」
サンアリがまさかクリスティーヌに蹴られるとは思ってなかったのか、涙目で悶絶していると、裸の幼女姿のブリジアが、作戦本部に設置してあった【聖級移転】から、フラッと現れた。
「ん! そこに失神しておるのは、セーレではないのか?
妾は確か、北の大魔王が攻めて来たと聞いたのじゃが?」
ブリジアは不思議な顔をして、泡を吹いて失神しているセーレの顔を覗きこんでいる。
「ブリジアの姉御! そいつは北の大魔王の手先ですぜ!」
ヤナトが、ブリジアに説明する。
「???セーレが、北の大魔王に従っているじゃと?
一体どういう事じゃ?
ん? そのモニターに映っているのはガープとアスモデウスか?
一体全体、何がどうなっているのじゃ?」
ブリジアが魔道モニターを見ながら、目を白黒させている。
「ブリジア様、我等もブリジア様の言っている意味が分かりません。
この者達は、北の大魔王の部下ではないのですか?」
クリスティーヌにケツを蹴られて悶絶していたサンアリが、復活してブリジアに逆に質問する。
「此奴は、厳密には北の大魔王ベルフェゴールの部下ではないのじゃ!
確かに、初代漆黒の森の王の使い魔のデーモンではあったのじゃが、違う派閥だった筈なのじゃが……」
ブリジアが、サンアリに、初代漆黒の森に仕えていたデーモンの派閥について説明を始める。
「そうだったのですか」
サンアリが思案げに頷く。
「ブリジア様、 お初にお目にかかります。
私は元漆黒の森の魔導所長をしておりました、ハッハッ·ハバロネと申します。以後お見知りおきを!」
ハバロネが突然、サンアリとブリジアの話に割って入り自己紹介を始めた。
「ハバロネじゃと……フフフフフ。成程のう。
とても辛そうな名前じゃな。
知っておるか?
異世界には、ハバロネという、とても辛い唐辛子があるのじゃ!
妾は、甘党なので辛いのは苦手じゃがな」
ブリジアは、ハバロネを一目見て、全てを納得したような表情を見せた。
「一応、最初に言っておくが、妾は中立じゃ!
『シルバーウルフ』は、冒険者ギルドに所属しておるのでな!
個人的には、ご主人様と漆黒の森のダークエルフに味方したいのじゃが、立場的には、冒険者ギルド会議の一番の古株なので、肩入れは不可能じゃ!
しかし、魔女様が守護しておいでのダークエルフの姫が危機に陥れば、妾も動くかもしれんがのう」
ブリジアが、ハバロネを睨みつけながら、独り言のように大きな声で呟いたのだった。
ーーー
ごめんなさい๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐
236話目と237話目を入れ子にしていました。
どうもすみませんでしたm(__)m
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