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236. 西部戦線終了!
しおりを挟む「実は、さっきからヤナトさんとスイセイさんが飲んでる、その禍々しいオーラを発しているポーションを飲んでみたかったんです!
ご存知の通り、デーモン族は、ダークエルフの魔素に目が無いですからね!」
セーレがヨダレを垂らしながら、姫の激マズポーションを物欲しそうに見つめている。
「『ご存知の通り』って、デーモンがダークエルフの魔素が好きなんて誰も知らないぞ!」
ヤナトがセーレに突っ込む。
「確か、ガブリエル様はデーモン軍団を従えているのでは無かったのですか?」
セーレが不思議そうに、ヤナトに質問する。
「確かに、ゴキ男爵は姫様に心底心酔と言うか、神のように崇めているが、そもそも姫様はデーモンは疎か、下位の精霊でさえも使い魔にできなかったと聞いているぞ!」
「そうなんですか。
しかし僕も含めて、初代漆黒の森の王の使い魔だったデーモン達は、ゲイの北の大魔王ベルフェゴール以外は、条件さえ合えばガブリエル様の使い魔になっても良いと思ってた筈ですよ!
それ程、ガブリエル様の魔素は、デーモンにとって魅力的なんです!」
「じゃあ何で、誰も姫様の使い魔になってやらなかったんだ!」
ヤナトが、少し怒りながらセーレに質問する。
「それはですね、我らはあくまで初代漆黒の森の王の使い魔なのです。
初代を越えるダークエルフ以外には、誰であったとしても仕える気はなかったのです」
「で、お前的には、姫様をどう見ているんだ?」
「それは、その禍々しいポーションを飲んでから決めようと思っています!
ガブリエル様の魔素は、我らが心酔した初代漆黒の森の王の魔素によく似ておられます。
その魔素を飲みさえすれば、全ての答えが出る気がするんです!」
セーレが目をキラキラさせながら、ヤナトが手に持っている姫の激マズポーションを凝視している。
「もう一度聞くけど、マジで飲むのか?
このポーションに耐性がある俺やスイセイでさえ、少しづつしか飲めない代物だぞ。
ポーションは知っての通り、普通に回復魔法の3倍から10倍の魔素が込められいる。
という事は、姫様が普段発する禍々しい魔素の10倍の濃さだ。
それを、姫様の眷族でもない者が口から飲むなんて自殺行為なんだぞ」
ヤナトは、セーレに更に姫の激マズポーションを飲むのを諦めるように説得する。
「大丈夫ですよ! 僕だって、初代漆黒の森の王の眷族なんですよ!
なので、少しは耐性があると思うんです。
僕が上司から与えられた任務は、ガブリエル様が取るに足りる人物か調べる事なんです!
僕はそのポーションを飲まなければ、任務を終える事ができません!
お願いです!ヤナトさん、そのポーションを僕に飲ませて下さい!」
セーレが土下座して、ヤナトに懇願する。
「ヤナト、セーレ君があんなにお願いしてるんだから、飲ませてあげれば!
但し、自己責任で!」
クリスティーヌが自己責任論を唱え始めた。
「そうだ! ヤナト自己責任だ!」
スイセイも自己責任論者だったようだ。
「セーレは体は子供、中身はお爺さんのようなので、自己責任で良いのでないか?」
カレンまで、自己責任を振りかざす。
「ポーションを勝手に飲むのが自己責任というなら、僕から激マズポーションを取り上げるとか、危ないから飲むなとか、言うヤナトさんのやり方に『自己責任なのだから口や手を出すな!』と徹底的に抗議しないといけません!」
よく分からないが、突然セーレがキレだした。
「しかしな、お前のように『自己責任だから口出しするな!』と言って、魔王同士の戦場に取材に行き、戦争区域に入った途端、5分で捕まったおバカな奴を俺は知ってるんだ!」
「デーモン族では、危ないから行かないだとか、危ないから飲むなとかは誰にも言われないのです!
ヤナトさんのように、危ないから止めておけというのはデーモン族の社会ではチキン野郎です!」
「そうか……なら俺は知らん!
俺的には、善意でお前に激マズポーションは飲むなと教えてやったのに、そんなふうに逆ギレされるのなら、もう知ったこっちゃない!
自己責任で、どうとにもなれや!」
ヤナトは、冒険者バックの中から新しい姫特製激マズポーションを取り出し、セーレに投げつけた。
「フン! 最初からそうやって僕に渡して置けば良かったんですよ!
そうすれば、僕もヤナトさんに向かって嫌な事を言わなくても良かったんです!」
セーレは、ヤナトに捨て台詞を吐きながら、姫特製激マズポーションを一気に飲み干す。
そして、1滴残らず飲み干した後、突然、セーレが苦しみだした。
「ウッ……ウゲゲゲゲゲゲゲゲェェェェエエエエエェ……」
セーレは口を押さえ、バタバタと もがき出す。
「オェーオェー」
次に、四つん這いになり、勢い良く飲んだ姫の激マズポーションを、ヨダレを垂らしながら一生懸命吐き出そうとしているようだ。
「ウッ!!」
ビクッ ビクッビクッビクッビクッビクッビクッ
セーレが突然痙攣し始める。
バタン!!
セーレは突っ伏すように口から泡を吐いて失神してしまった。
「だから、あれ程言ったのに……」
ヤナトが哀れみの表情で、地面に突っ伏したセーレを見つめる。
「それはそうなるな……」
カレンも、冷静に失神したセーレを見ながら呟いた。
「自分で自己責任って言ってからいいんじゃないのか?
それに、セーレが失神したら、周りにいたデーモン軍団がみんな消えたみたいだし、元々の俺達の任務は、カレン姐さんを助け、デーモン軍団を退ける事だったので結果オーライだな!」
スイセイが、金髪を後ろになびかせ、歯をキラリと光らせながらカレンに向かってウインクをした。
「……」
カレンは、何故だか悪寒が走り、背筋が寒くなるのだった。
ーーー
ごめんなさい๐·°(৹˃̵﹏˂̵৹)°·๐
間違えて1話前を投稿していました。
これが、本物の236話目です。
すみませんでしたm(__)m
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