【R18 】必ずイカせる！ 異世界性活

２３９. 黒髪(2)

　
「ブリジア様！ 突然、どうしたのですか？」

　突然、何かを思い出して、目に涙を溢れ出したブリジアに驚き、カレンはブリジアをギュッ!! と、抱きしめた。

「うわぁーん、魔女様ぁーー!!」

　ブリジアはカレンに抱き締められ、堰が切れたようにワンワン泣き出してしまった。
　カレンの胸に抱かれている不死の魔女ブリジアは、幼女の姿なのでとても3000歳以上の高齢には見えない。
　傍目から見ると、カレンとブリジアは、若い母に抱かれている幼子ように見える。

　ブリジアは、1000年前に突然姿をくらました始まりの魔女を、今までずっと愚直に探し続けてきたのだ。

　ブリジアが最初に始まりの魔女と出会ったのは、ただの普通の狼であった幼い子供の頃だ。

　両親が猟師に狩られて殺されてしまい、自分も森に仕掛けられていた鉄の罠に引っ掛かり、息も絶え絶えで死にかけていた時に、偶然通りかかった始まりの魔女に助けられたのだった。

　始まりの魔女は、直ぐに鉄の罠を外してくれ、回復魔法をかけて、その場に逃がしてくれた。

　しかし、両親を殺され行く宛がどこにもなかったブリジアは、そのまま始まりの魔女の後を着いていった。

　始まりの魔女は、初め、どこまでも着いてくるブリジアに困惑していたが、最終的には諦め、ペットとしてブリジアを飼ってくれたのだった。

　始まりの魔女は、どこまでも規格外であった。
　その為かは解らないが、いつでも一緒に行動していたブリジアは、ただの獣から、妖狼、聖獣、神獣へと進化していき、人型に化けれる様になった頃には、始まりの魔女のペットから、まるで本当の娘の様に育てられるようになっていった。

　しかし1000年前、突然 始まりの魔女は、ブリジアの前から何も言わずに、跡形もなく消えてしまった。

　ブリジアにとって、始まりの魔女は自分の全てだった。

　飼主であり、魔法の師匠であり、母であったのだ。

　ブリジアは、自分が始まりの魔女に捨てられてしまったと思い、自暴自棄になった。
　そして、全世界を滅ぼしてしまうくらいの勢いで、大陸中を暴れまり、街という街の全てを火の海にしていったのだった。

　そんな大陸中を賑わす騒ぎも、それ程長くは続かなかった。
　ブリジアを探しに来た、始まりの魔女の料理人であったガリクソンに諭され、始まりの魔女を探す事を決意したのだ。

　それから1000年の月日が経ち、始まりの魔女の痕跡を撒き散らすゴトウ·サイトを見つけた。

　ゴトウ·サイトは、ハッキリ言って、煩悩の塊の変態ロリコン男だが、ブリジアは、ゴトウ·サイトが大好きだ。

　何故なら、魔素の感じや匂いなど、始まりの魔女とそっくりなのだ。

　同じ異世界人という事も関係してるかもしれないのだが、そんな事はブリジアには関係ない。
　そんな始まりの魔女の魔素と同じような魔素の匂いがする者達が、最近、爆発的に増えている。

　そう、ゴトウ·サイトの眷族であるゴトウ族の人間だ。
　ゴトウ族の眷族の魔素は、微かにゴトウ·サイトの匂い、言い換えれば、懐かしい始まりの魔女の匂いがするのだ。

　カレンも、何故かゴトウ族ではないが、ゴトウ·サイトと始まりの魔女の匂いがする。
　それとカレンの髪の色が、この世界では珍しい、始まりの魔女と一緒の黒髪なのと相まって、始まりの魔女とカレンが重なって見えてしまったのだ。

「すまんな……暫くこのまま、妾を黙って抱きしめてくれぬか。
　少し昔の事を思い出し、感情が高まってしまったようじゃ……」

「……」

　カレンは何も言わず、ブリジアの美しい銀髪を優しく撫でながら、ギュッ！ と強く、ブリジアを抱きしめたのであった。