243 / 286
243. サンアリさん
しおりを挟む「な……なんじゃと!
王宮3階から5階までは、スゥイートルームのみの宿泊施設になっておるじゃと!」
ブリジアが王宮1階カジノをフラフラ探検していると、カジノの奥の北側に、ピカピカ輝く黄金の魔道式エレベーターを見つけたのであった。
エレベーターの前にはカウンターがあり、執事風のデーモンが立っていたので、ブリジアは気になって聞いてみたのだ。
「全室スゥイートルームになっており、1泊100万マーブルからになっております。
宿泊すると各部屋事に専用のコンシェルジュが1名付き、24時間いついかなる時もお客様のどのような御要望にも対応致しております。
当宿泊施設にお泊まりになれば、誰もが漆黒の森の王様、お姫様気分が味わえる事ができるというコンセプトになっております」
デーモン執事が丁寧に教えてくれた。
「頼みがあるんじゃが、聞いてくれるかのう?」
「なんなりと御要望して下さいませ、ブリジア様」
「少しだけ部屋を覗いてみたいんじゃが……」
ブリジアは、申し訳なさげにお願いしてみた。
「何も問題ありません。ブリジア様は全ての施設をフリーパス、無料で使用できる事になっておりますので」
「そうじゃったのか?」
「そうでございます。王宮内の施設を無料で使える者は、グランドマスター、姫様、ブリトニー様、アン様、ペロ様、バハオウ様。
そして、ゴトウ族でない者でフリーパスの権利をもっておいでなのは、ブリジア様ただ1人だけでございます」
「おぉーー!! 妾は凄いのう!」
「ハイ、ブリジア様は、我らゴトウ族にとって大切な御方ですから当然でございます。
早速、私がご案内いたしましょう」
デーモン執事が、ブリジアを黄金の魔道式エレベーターにエスコートする。
「ここの受付はどうするのじゃ?
お主が居なくなってしまっては問題であろう?」
ブリジアは、少し心配になり聞いてみる。
「既に、念話で代わりの者を読んでおりますので、心配は御座いません」
デーモン執事が説明しているうちに、代わりの執事がやってきた。
「流石に、全室スゥイートルームだけしか無い宿泊施設なだけの事はあるようじゃな。
仕事がスムーズじゃ!」
ブリジアは『ウルフデパート』の経営者としての観点から、感嘆する。
「ではエレベーターが到着しましたので、こちらへ!」
エレベーターが開くと、エレベーターガールがお出迎えしてくれる。
「漆黒の森王宮ホテルご利用ありがとうございます。 ブリジア様」
「済まぬな。忙しい所。妾は少しだけ覗かせてもらうだけなので、そんなに肩苦しく接しなくても大丈夫じゃぞ!」
「トンデモ御座いません! ブリジア様は、当ホテルにおいて最大のVIPでございますので」
エレベーターガールは、恐縮して深々と頭を下げる。
「そうなのか?」
デーモン執事の方を見て聞いてみる。
「そうでございます」
デーモン執事はゴキ男爵がするような、洗練された礼をしながら答える。
「それでは上に参ります!」
エレベーターが3階に到着すると、真ん中に豪華な噴水がある巨大なエントランスに到着した。
様式はロココ調で統一されており、所々にソファーセットが設置されている。
「ガブリエル様お待ちしておりました。まずはソファーにお座り下さいませ」
エレベーターの前で待っていた案内係の女性に、空いているソファーに案内される。
ブリジアがロココ調のセンスの良いソファーに座ると、立派な装飾が施された本のような物がテーブルに置かれていた。
「それでは、当ホテルの説明を始めさせてもらいます。
まずは、部屋の種類を選んで下さいませ」
案内係は、そのままブリジアの横にソファーは使わず片膝をついてしゃがみ、テーブルに置かれていた本を開いた。
どうやら立派な装飾がされた本には、部屋の説明や料金などが書かれているようだ。
「まずはスゥイートルームの説明を致します。お値段はゲストルームの数によって変わるシステムになっております。
ゲストルームが無しで良い場合は100万マーブル、最高で5部屋のゲストルームが付く、殆どガブリエル様がお使いになっている部屋と同じ造りのお部屋が500万マーブルとなっております。
当ホテルは、漆黒の森の姫様の暮らしを体験出来る事をコンセプトに造られたホテルでございますので、部屋の丁度品なども姫様のお部屋の丁度品を製作した同じ職人の作となっております。
主寝室のベットだけが好みによって色々ご用意させてもらっておりますので、この本からお選びできるようになっております」
「成程のう。ご主人様の大奥と同じ造りと言う事じゃな!
それは良いコンセプトじゃ!
ただの高級ホテルとは、ひと味違う違いを産み出しているという事じゃな!
実際に、ここは王宮じゃしな!
王宮にホテルを併設させるなど、ぶっ飛び過ぎてる気もするのじゃが、それは置いておく方が良さそうじゃな。
カジノやダンジョンが王宮にある時点で、既にぶっ飛んでおるからのう。
そして、ダンジョンやカジノで儲けたお金を、ここで還元させるのが狙いなのじゃな」
ブリジアは、この世界の商売人の中で1番の成功者、『ウルフデパート』CEOとしての視点で、この王宮を作り上げたサンアリの考えを考察する。
「成程のう。サンアリという男も中々やりおるわい。
ご主人様の周りには、凄い者達がたくさん集まっておるようじゃな」
14
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる