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246. 牛神·パウロの見解
しおりを挟む「やっと妾に気付いたようじゃな!」
ブリジアが満足な表情で、ニヤリと口角を上げる。
「『銀の厄災』! 武人の闘いに水をさすとは、無粋であるぞ!」
ガープがブリジアを見上げながら、憤っている。
「まあ聞くが良い! お主達2人は心躍る闘いができて満足かもしれんが、お主達は武人であると同時に、軍隊を束ねる将でもあるという事を忘れておるようじゃな!
聞く所によると、お主達は5時間30分もぶっ続けで闘っておると言うではないか!
お主らはアドレナリンが出て、ゾーン状態になっておるので気付かないかもしれんが、兵達はお主らが闘っている最中、食事は疎か、トイレにも行けてないのだぞ!
軍隊を束ねる将ならば、兵達の健康管理や戦闘以外の事も、しっかり把握しておかねばならんと思うのじゃが?」
ブリジアが、上空からガープとガルムを見下ろしながら質問を投げかける。
「クッ! 確かに銀の厄災の言う通りではある。
それに、このまま闘いをつづけたとしても、上空から殺気を浴びせられ続けても、闘いの気が散るというもの。
フフフフフ、まあ良いであろう。
ここは、銀の厄災の言い分に乗ってやろう。
ガルム·ロマンチックよ! 闘いの続きは明日に持ち越す事にする。
明日の朝9時に、再びここで相見えようぞ!」
ガープは自信満々に、自分の提案が通って当たり前かのように、ガープに言い放った。
「ウム。分かった」
ガルムも簡単に了承した。
もしかしたら、ガルムもオシッコを我慢していたのかもしれない。
交渉が成立し、ブリジアが元の幼女の姿に変身し、牛魔王と牛神·パウロがいる場所に戻ってきた。
「まさか、ブリジア様の正体が『銀の厄災』だったとは、驚きましたぞ!」
牛神·パウロが興奮して、話しかけてくる。
「それ以上は言ってくれるな。大昔の黒歴史じゃ。
あの時は、魔女様に見捨てられたと思って自暴自棄になっていたのじゃ」
「ですがこれは凄い事ですよ!
ブリジア様は、この世にたった2柱しか居ない、厄災指定の神獣ですよ!
もう1柱は黒龍ですし、ブリジア様は黒龍と同レベルと言う事ですよね!」
牛神·パウロは、尚も興奮気味に話し続ける。
「妾は黒龍レベルではないのじゃ。
龍種は別格なのじゃ!
そもそも妾より強い者達は、結構おるのじゃ。
たまたま、妾が1000年前に暴れた時は、妾が魔女様のペットだった関係上、妾より強い者達が、妾の事情を理解しておる知り合いばかりだったので、癇癪を起こした妾を、そっとしておいてくれたと言うのが正解じゃな……」
ブリジアは、当時の状況を正直に説明する。
「そうでありましたか。
それは置いておいて、よくガープが、ブリジア様の話に乗りましたな」
「俺もまさか、ガープが自ら停戦を言い出するとは思わなかったぞ!」
牛魔王も牛神さんに同意する。
「まあガープは、本気でお主らを全滅させる気で闘っている訳では無いという事じゃ!
本気じゃったら、デーモン軍団を全面に押し出して、数の力で押しきってきた筈じゃしな。
どちらかと言うと、お主らの実力を見極める事に重点を置いて闘っているように見えたのでな。
北の大魔王軍も一枚岩ではないと言う事じゃ。
モフウフで気になる者もおったし、西部戦線は、新漆黒の森軍が勝利したようじゃしな」
「エッ……
西部戦線はもう戦いが終わっているのか?
相手の大将は、カレンの姉御より弱かったという事か?」
ガープに、手も足も出なかった牛魔王が食い付いてきた。
「西部戦線の魔王軍の大将セーレは、ガープよりは実力は少しだけ落ちるが、些細な差じゃな。
奴の瞬間移動スキルは、厄介じゃしな。
それと、お主は何か勘違いをしておるようじゃな。
剣姫がセーレを倒した訳ではないのじゃ。セーレを倒したのは、どちらかと言うとヤナトじゃな!」
「どういう事だ?
カレンの姉御が倒せない相手を、ヤナトが倒せる訳ないだろ!
確かにヤナトとスイセイは、ブリトニーの姉御との常軌を逸した変態的修行のお陰でメキメキ強くなっているが、それでもカレンの姉御には遠く及ばない筈だぞ?
それも瞬間移動スキルって、転移魔法の一種だろ?
聖級魔法の中でも上位魔法である転移魔法を、戦闘中に使ってくるような化け物に、ヤナトはどうやって勝ったというのだ?」
牛魔王が、ブリジアに疑問をぶつける。
「ヤナトが勝ったというのは、語弊があったようじゃな。
ウーン……そうじゃな……
セーレが、『カワウソの牙』のおバカな戦い方に乗っかってしまい、勝手に自滅した。という言い方が正しいじゃろう」
「それは何となく分かるが、実際どうやってセーレに勝ったんだ?」
牛魔王が語義を強める。
「最終的な結果を話すと、ヤナトが飲んでいたガブリエルの激マズポーションを何故かセーレが欲しがったので、ヤナトがセーレに激マズポーションを与えたところ、何を思ったのか、それを一気飲みして勝手に気絶してしまったようじゃ」
「……」
牛魔王は、思わず絶句する。
「セーレはおバカなのですか?」
牛神さんが、ブリジアに質問する。
「ウム、間違い無くおバカじゃ」
「納得しました。アレを飲んでへっちゃらなのは、ヤナト君とスイセイ君ぐらいですからね。
アレには、決して口から飲んではいけないと但し書きしないと、そのうちショック死する者が出ると、私は思います」
牛神·パウロが真面目な顔をして、自分の見解を語った。
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