【R18 】必ずイカせる！ 異世界性活

２５４. 天才

　
「エッ……ブリトニー……」

　パワーアップしたスキルスッポンソードを手に入れて、無双状態になったんじゃなかったのか……

「ウエェェェェ～ン。ここのダンジョンヤバイのニャァ！
　剣を持ったタコが、たくさん襲ってきたのニャァー！」

「タコ……まさかアイツか。
　アンちゃんに言わせると、剣術の修行にうってつけといわれているあの魔物。
　俺に散々苦渋を味合わせたあの魔物。
　もしかして……タコ侍か？」

「あれは普通のタコ侍じゃないのニャ！
　全身に、赤黒い姫様の魔素を漂わせていたのニャ！
　8本の腕のうち6本は刀を持ち、残り2本は盾を持っていたのニャ！
　隙が全くないタコ侍が、何百匹も束になって襲ってくるのニャ！」

　ブリトニーが涙目でニャアニャア言っているが、勝手にダンジョンに飛び出して、勝手にやられただけなので自業自得だ。

「それはタコ侍ジェネラルですね！
　先程iPad型魔道具で、この階層のボス部屋に、その上位種のタコ侍ロードを8匹程配置しておきましたので！」

　アマイモンが悪びれた様子もなく、タコ侍の最上位種、タコ侍ロードをボス部屋にを配置したと宣言した。

「またタコ侍……」

　剣術の修行は、タコ侍を使う方法しかこの世界にはないのか……
　サイトは少し、ウンザリする。

「皆さんには、魔法、闘気無しで、1週間以内にこの階層を攻略してもらいます！
　勿論、草薙の剣も使ってはなりません！
　草薙の剣は、相当反則的な神剣なので、剣術の修行になりませんからね！
　それでは、修行スタートです！」

　どうやら、アマイモンの修行とは、何かを教えてくれる訳ではなく、シャンティーさんやアンちゃんの修行と同じく、実践重視の修行のようだ。
　というか、タコ侍を使う所といい、全く同じ修行にしか見えない……

「それじゃあ！ 皆行くよ！」

　修行大好きアンちゃんが、勢いよく階段フロアーの扉を開き、先頭きって飛び出した。

　続いて姫とペロが続く。
　俺とブリトニーも遅れてその後に続いた。

　いつものようにアンちゃんの大盾の背後に隠れる。

　タコ侍ジェネラルが、既に目の前に3体待ち構えている。

　姫がそのまま、タコ侍ジェネラルに飛びかかった。

　カキィーーーン!!

　姫の斬撃は簡単にタコ侍ジェネラルの盾に弾かれ、闘気を使用してない姫は体重差のせいもあって、そのまま地面に叩きつけられた。
　そして無慈悲なタコ侍ジェネラルの刀が、姫に向かって振り下ろされる。

「姫!!」

　サイトは助けに行こうと、アンちゃんの大盾から飛び出したが、距離が遠すぎる。

　ガブッ！

　ギリギリの所で、姫の後を追って来ていたペロが、姫のメイド服のスカートを咥えて引っ張り、なんとかタコ侍ジェネラルの攻撃を躱す事に成功した。

「アマイモン！ これは無理だろ！
　あのタコ達、やばい闘気を纏っているぞ！
　俺達も闘気を使わなきゃ、1太刀も傷を負わせる事なんてできないだろ！」

「た……確かにそうですね……
　普通のタコ侍ジェネラルと違ってますね……
　どう見ても、あれは姫様の魔素を纏っている変種のようです。
　仕方がないです！
　闘気の使用はOKにします」

　アマイモンが、禍々しい赤黒い闘気を発しているタコ侍ジェネラルを見て、考え直したようだ。

「ペロ！」

「ワン！ ワン！ ワン！」

　姫の声に合わせて姫とペロが闘気を纏う。
　そもそも、姫が闘気を使わずにタコ侍ジェネラルと戦うには無理が有りすぎた。

　姫はまだ3歳の幼児なのである。
　日頃から常に闘気を纏っていてるので気づかないが、闘気を纏ってない姫の体の強さや体力は、普通の人間の3歳児と変わらなかったりする。

「姫ちゃん！ これは修行だからパワー系の闘気しか使っちゃ駄目よ！
　多分、姫ちゃんが本気で闘気を使ったら修行にならなくなるよ！」

　アンちゃんが姫に注意する。

「アンさん解っているのです！
　いつもマスターとタコさんの修行を見ていたので、この修行の意味ぐらい理解しているのです！
　私は、マスターの修行の邪魔にならないのであれば、マスターとタコさんとの修行に混じりたくて仕方がなかったのですから！」

　仕切り直して、姫が再び剣を中段に構える。

　タコ侍ジェネラルの肩がピクリと動くと同時に、タコ侍ジェネラルの1番上の手が振り下ろされ、重そうな斬撃が姫の頭上目掛けて飛んでくる。
　その斬撃を姫は剣先で軽く弾いて躱し、そのまま振り下ろされて無防備になったタコ侍の腕を小手打ちよ要領で、スパン!! と斬り落とした。
　先程は、闘気を使えなかったせいで、パワー負けして吹っ飛ばされてしまったが、今回は上手くいったようだ。

　ブシュー!!

　タコ侍ジェネラルは頭を真っ赤にして怒り、口から酸を飛ばしてきた。

　スッ

　それを姫は華麗な体捌きで躱し、躱した次いでにタコ侍の違う手までも斬り落とす。

「姫ちゃん、ナイスです！」

　アンちゃんが思わず、姫に声をかける。

　姫の攻撃は、まだまだ続く。
　躱しながらの綺麗な引き小手が決まった瞬間、姫は躊躇なくタコ侍の間合いに飛び込みタコ侍の左目を突いた。

　フギャーーー!!

　タコ侍ジェネラルは悲鳴を上げる。

　姫は直ぐに剣を引き抜き、痛さの為か隙だらけになっているタコ侍ジェネラルの残りの手6本を、スパパパパーン!! と斬り裂いた。
　ダルマにされてしまったタコ侍は、もうどうする事もできない。

　姫は剣を上段に振りかぶり、ジャンプする。

「チェイスト!!」

　ズザザザザザザザーーン!!

　タコ侍ジェネラルは姫によって、真っ二つに引き裂かれた。

「もしかして……大吉爺さんのジゲン流か？」

「ハイなのです！ いつもマスターが練習してるのを見ていましたので、真似してみたのです！」

　姫は、俺に褒めて貰ったと勘違いして、嬉しそうに駆け寄ってきた。

「姫ちゃん、凄いよ！
　戦い方はサイト君そっくりだけど、全く次元が違うよ！」

　アンちゃんが姫の天才的な動きを見て、俺とは次元が違うとべた褒めする。

　間接的に俺の事をディスっているような気がするが、最早これくらいでは俺は全く動じない。
　そう、中庸を志す俺は、いつしか不動心の心まで身につけてしまっていたようなのだ。

　それにしても、姫は剣術の腕まで、やはり天才的だったようだ。
　俺の動きや、俺がやりたくても上手くできかった事まで、完璧に自分の物にしてしまっているのだ。

　姫は俺とタコ侍との修行を、いつも真後ろで真剣に見ていた。
　見てただけで、全て自分の物にしてしまうとは。

　これを、天才以外に何と例えれば良いのだろうか……