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255. 妖精のあくび亭モフウフ本店
しおりを挟む「ゴトウさんやブリトニーさんも、そろそろ戦って下さいよ!
ボス部屋に8匹もタコ侍ロードを配置してますので、次々に倒さないと収拾つかなくなりますよ!」
アマイモンが、ボーとしている俺やブリトニーにハッパをかける。
「サイト君! 早く1匹でも多く倒さないと、このまま壁に押しつぶされるよ!」
アンちゃんが、いつの間にか近づいてきていたタコ侍ジェネラルの大軍を、1人で大盾で防御し続けている。
「しょうがない……ブリトニー! やるぞ!」
「頑張るニャ!」
スパーン!
「アレ?」
俺はどうやら、タコ侍ジェネラルの間合いに入った瞬間、胴を真っ二つに斬られてしまったようだ。
すかさずペロが、俺を口に咥えて救出してくれた。
やはり頭が3つあるケルベロスは、こういう時便利だ。
なんせ2つに別れた俺の体を、1度に咥えれるからだ。これなら3枚までなら下ろされても大丈夫だろう。
「ゴトウさん、弱っちいですね……
でも仕方がないです。
ゴトウさんの異世界での役目は、実は既に終わってますから。
兎に角、姫様の為にも死なないように頑張って下さいね!」
アマイモンは、そう言うと回復魔法をかけてくれた。
「そんな事、薄々解っていたさ!
俺の役目は、姫を助けて覚醒させる事だったんだろ!
最初の頃は、よくある異世界モノの物語のように、死ぬ予定では無かった俺が、誰かを助けて身代わりにトラックに轢かれて、神様にチート能力を授かり無双する俺が主役の物語と思っていたんだが、姫が主役の物語だったんだろ!
実際、俺、前の世界でトラックに轢かれても無いし、死んでもいないしな……」
「そうですね!
最初から、ゴトウさんはテンプレから外れていたんですよ!
私もあちらの世界で異世界モノのラノベをよく読んでましたけど、死なないで異世界転移するのって、あまりないですからね!」
アマイモンは嬉しそうに返答する。
「フン! 勝手に言ってろ!
俺はこの世界で、自分なりに楽しく生きてやるさ!」
俺は少しだけ、格好良いセリフを吐き、再びタコ侍ジェネラルの間合いに飛び込んだ。
スパーン! スパーン!
「ワン! ワン! ワン!」
俺は再び、タコ侍に斬られてしまったようだ。それも3枚に……
先程、心の中で思った事がフラグになってしまったようだ。
ペロ1、ペロ2、ペロ3が、俺の3枚におろされた体を引きずってアマイモンの元に再び運んでくれた。
「ゴトウさん! 先程も言いましたように、簡単に死なないで下さいね!
貴方に死なれると、姫様の精神が壊れてしまう可能性がありますから!」
アマイモンがまた、フラグになりそうな事を言いながら、回復魔法をかけてくれたのだった。
「疲れたのニャ……」
PM6:00になり、今日の修行がなんとか終了した。
結局今日は、階段フロアーの扉から8メートル位の場所までしか進む事が出来なかったのだ。
俺は殆ど戦力外で、今日だけで100回はタコ侍ジェネラルにスライスされてしまい、いつもブリトニーにスライスされまくっているヤナトとスイセイの気持ちが少しだけ解ったような気がした。
「今日の修行は、これで終了ですよ!
明日の修行に備えて、よく食べて、よく寝るように!」
アマイモンは、そう言うと『どこでもドア鍵』を使って、どこかに行ってしまった。
取り敢えず、風呂にするか……
大浴場に行くと、いつもならいる筈のメリル達シスターズが何処にもいない。
「オイ! メリル達はどこだ?」
俺はメリル達の代わりにいた、デーモンメイドに聞いてみた。
「メリル様方は、アスモデウス様の修行をぶっ続けで1週間続けるとの事で、その間は、私達がグランドマスターや姫様方のお世話をするようにゴキ男爵様に指示を受けております」
俺達の修行も相当辛いと思ったが、メリル達の方も凄そうだ……
俺は疲れの為か、エロい体をしているデーモンメイドにお手付きする気になれず、王様のように服を脱がされ、体を洗われ、そのままお風呂から上がり、大食堂に向かった。
「グランドマスター、姫様方、お疲れ様でございます。」
ゴキ男爵が、いつものように執事風の優雅な礼をする。
「ああ」
俺は疲れている為、適当に返事をした。
「グランドマスター、提案があるのですがよろしいですか?」
「ああ」
「本日から1週間、姫様方お付のメイド達が修行の為、グランドマスターや姫様にお仕えする事ができません!」
「それは、さっき風呂で聞いた」
「左様で。本題なのですが大奥は、メリル達、姫様達付きのメイドしか入れない規定になっておりますので、その間、新しく新王都にオープンしたばかりの『妖精のあくび亭本店』で、お泊まり頂けたらと思います。
『妖精のあくび亭本店』がオープンしてから、『妖精のあくび亭本店』の支配人から、グランドマスターや姫様方に1度お泊まり頂きたいと再三言われておりましたので、これを機会にお泊まり頂けたらと思う次第でございます」
ゴキ男爵が、『妖精のあくび亭本店』に泊まるようにと提案してきた。
『妖精のあくび亭本店』は、俺が直々に誘致した物件でもある。
『妖精のあくび亭』のサービスは、ハッキリ言ってこの世界のA級宿屋のサービスより、数段上をいっているのだ。
元々、カップルや新婚向けのホテルだったのだが、演出を過剰にする内に、いつの間にかA級宿屋のサービスを超えてしまった異色のホテルなのである。
ホテルの内装は、前の世界のラブホテルなのに、サービスは前の世界でいう三つ星ホテルで、尚且つ価格設定が、この世界の中堅ホテル並と言う三拍子揃った宿屋になっている。
「よし! それなら行ってみるか!
食事も『妖精のあくび亭本店』でとる事にする!
久しぶりに魅惑のスペシャルカクテルも飲みたいしな!
今日は、ハッスルするぞ!」
「ハイなのです!」
「ハイニャ!」
「了解!」
「ワン! ワン! ワン!」
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