【R18 】必ずイカせる！ 異世界性活

２８０. カンガルー君のターン

　
　ズダダダダダダーン！

　ズダダダダダダーン！ 

　バシッ！

　ドカッ！

　ズダダダダダダーン！

　ダンジョンレイドチームとゴブリンロード、オークロード、オーガロードとの戦闘が始まった。

　流石は、各種族の最上位種、一筋縄ではいかない。

　どれも伝説級の魔物なのだ。

　S8以上のダンジョンのダンジョンマスターをやっていると思われているが、そもそもS8以上のダンジョンが見つからないのだ。

　多分、このダンジョンのように入口が閉じられているのだろう。

　たまに、どこからともなくダンジョンから這い出て来て、たった一匹で城塞都市を滅ぼしたりする事件を起こしたりするので、その存在は確認できているのだが、これ程の数の最上位種がいっぺんに現れたという事例は今までに1度も無いのだ。

「これは少々、骨が折れますな」

　元拳神シローさんが、拳骨でオーガロードを吹っ飛ばしながらシャンティさんに話し掛ける。

「シローでも、一撃で倒せないのね……
　シンタローも苦労してるみたいだし。この調子じゃ城に着く前に疲れてしまうわね。
　エリス！ ユニコーンを召喚して！」

　シャンティさんは、エリスにユニコーンを召喚するように頼む。

「了解！ 
　いでよ！ ユニコーン！」

　エリスは羊皮紙のスクロールを冒険者バックから取り出し、魔素を流し込む。
　するとスクロールに描かれた魔法陣が青白く光り輝き、魔法陣の中からユニコーンが現れた。

　姫などは無詠唱で悪魔を召喚できるのだが、エリスさんには魔法の才能が全くない。
　なので精霊の召喚には、最初から召喚用の魔法陣が描かれたスクロールに頼っているのだ。

「ヒヒーン！」

　ユニコーンは召喚と同時に、よく自分を呼んでくれたとエリスに向かって挨拶する。

「ユニ子ちゃん！ ヤッちゃっていいよ！」

　どうやらユニコーンは、エリスさんにユニ子と呼ばれているようだ。

　ユニコーンは、先ず、カンガルー君と死闘を続けているオークロードに突進する。

　ズブッ！

　オークロードは、ユニ子ちゃんの角で串刺しになってしまった。

　ユニ子ちゃんは、オークロードが刺さったまま、今度は後ろにいるシロー爺さんと戦っているオーガロードに狙いを定める。

　ズブリ！

　オーガロードも呆気なくユニ子ちゃんに串刺しにされてしまった。

「これはこれはユニ子様でございますか。
　久しぶりでございますね！」

「ヒヒーン！」

　ユニ子はシローに、久しぶりと挨拶しているようだ。

　クルリ。

　ユニ子はクルリと回り、次の獲物を物色する。

　スタスタスタスタ。

　ユニ子はスタスタ歩き出し、突然ダッシュする。

　タッタッタッタッタッタッ。

　グサッ！

　神龍教の元神官で、神龍教格闘術の達人であるシルマンと戦っていたゴブリンロードも串刺しにした。

　これでユニ子ちゃんは、3種類の最上位種を角で串刺しにした事になり、団子3兄妹を完成させた。

「ヒヒーン！」

　ユニ子はとても満足そうだ。

　勝ち誇ったように3匹の最上位種を角に刺したまま、勝手に魔法陣の中に帰っていってしまった。

「シャンティ様、ユニ子様が帰ってしまわれましたぞ……」

　シロー爺さんが、シャンティさんに話し掛ける。

「あの子は、ああいう子だから仕方がないのよ！
　でもしっかり3匹倒していったんだからいいでしょ！
　後は、アンタ達でどうにかしなさい！」

　再び、死闘が始まった。

　グサッ！

　カンガルー君に、オークロードが振るうバトルアックスが鎖骨の辺りからグサリとヒットした。

「グッ！」

　カンガルー君は、バトルアックスをダメージを受けていないほうの腕で払いのけ、後ろに後退する。

　ブシュー!!

　バトルアックスが鎖骨の辺りから抜けると、傷口から噴水の様に血が吹き出る。

「ララ！ カンガルー君の代わりに前に出て！」

　カンガルー君と魔法剣士のララ·ムーンが、自然な流れで交代する。

　シャンティさんは、すぐにカンガルー君に回復魔法を掛けて回復させる。

　カンガルー君は、傷が治るとすぐに戦線に復帰しようとする。

「ちょい待ちなさい！」

「カルー？」

　カンガルー君は立ち止まる。

「アンタは召喚されてここにいる訳じゃないのよ！
　死んだら普通は、生き返る事なんてできないんだからね！
　アンタはテイマーのモモによって調教されてるだけだから、それを理解してるの？
　私が居なかったら今の傷は致命傷よ！
　もっと考えて戦わないと、命がいくらあっても足りないわよ！」

「カルー……」

　カンガルー君は、少し反省しているようだ。

「ほら！ 直ぐにララを助けに行きなさい！」

「カルー！」

　カンガルー君は気を取り直して、元気にララを助けに行った。

「それにしても、思いのほか強いわね……
　21匹中、3匹をユニ子、シンタローとシローが1匹ずつの合計5匹しか倒せてないのか……
　これは集中して1匹ずつ確実に倒していく方がいいわね！
　ミカサ、モモ、ザーマンの『三日月旅団』は全員、ララとカンガルー君の援護に回りなさい！
　そうね、まずはカンガルー君が戦っているオーガロードを倒すわよ！」

「「「ハイ！ 師匠！」」」

『三日月旅団』の面々は、ピタリと揃った返事をシャンティさんに返した。

「ミカサ！ オーガロードの足に向かって弓矢を連射！ ザーマンもオーガロードの足に向かって風魔法を放ちなさい！」

　シャンティさんは『三日月旅団』に、的確な指示を与えていく。

「「ラジャ！」」

　オーガロードは、カンガルー君と死闘している為、足元は疎かになっている。

　シュンシュンシュンシュン！

　スパンスパンスパンスパンスパン！

　流石に頑丈なオーガロードであったとしても、カンガルー君の死角から放たれる執拗に足だけを狙う弓矢と魔法攻撃を受け、グラッと膝をつく。

「モモ！ 今よ！
　鞭でオーガロードの足を引っ掛けて転ばしなさい！」

　モモは、シャンティさんに言われた通りオーガロードの足に鞭を放って足にからまして、グッ！ と、引っ張るが転ばす事ができない。

　しかし、攻撃の動きを封じる事はできている。

「カンガルー君！ 殺っちゃていいわよ！」

　カンガルー君は、膝をついているオーガロードの後頭部を手で持つと、そのまま顔面に向けて膝蹴りを食らわす。

　ボコッ！ ボコッ！ ボコッ！ ボコッ！
　ボコッ！ ボコッ！ ボコッ！ ボコッ！

　カンガルー君は、何度もオーガロードの顔面に膝蹴りを食らわせ、とうとうオーガロードを1匹倒す事に成功したようだ。

　カンガルー君はその場で、右拳を空に向かって突き上げる。

「カルー！」

　格上のオーガロードを倒す事に成功して、感極まったカンガルー君は、嬉し涙を流しながら勝ち名乗りの雄叫を上げたのだった。