181 / 264
第二章 ハウエバー系 第901辺境惑星 編
4. 日本人の朝食
しおりを挟む「兎に角、日本の固形物の朝食を出しやがれ!」
俺は、もうヤケクソになり、サヤに無茶な命令をする。
「本当にもう、マスターは人類の記憶を思い出し、欲にまみれてしまったんですね!
ですが、そんなマスターでも、辺境惑星観察宇宙船であるこのサヤは、完璧に寄り添ってみせますから!
ちょっとお待ち下さい! この宇宙船にはエネルギー水以外のエネルギー摂取用の食事を用意しておりませんので、ちょっくら901惑星に降りて、食事の材料を狩ってまいります!」
サヤは、そう言うと、早速、惑星観察用の小型船で、901惑星に降りて行ってしまった。
「アイツって、あんなに行動力がある奴だったっけ……」
性別とか性格設定とか、俺がコールドスリープする度に変えてたから、まあ、行動力はあるのだろう。
そして、今回は、メタルボディを作っちゃったから、本当に行動出来るようになっちゃったんだと思われる。
まあ、俺はというと、サヤの様子を、サヤのメタルボディの目を通して、モニター越しに、サヤの行動を監視してるのだけど。
それにしても、サヤは半端ない。
手刀で、野ウサギを瞬殺し、そして、何故か、海に行って魚を取るかと思ったら、海水を集めて沸騰させて、塩まで採取してる。
そうかと思ったら、どこから手に入れたのか、胡椒の種を大地に植えて、栽培始めてるし……
「ていうか、何年帰って来ないんだよ! 最新鋭自立AI自由過ぎ!」
結局、サヤは、俺が朝食食べたいと言ってから10年後に、塩と胡椒と、それから鶏を育てて新鮮な卵を手に入れ、それでも飽き足らず、現地の人に麦の栽培を教えて生産した麦を使って、食パンを焼き、宇宙船に戻って来たのであった。
ついでに言うと、野ウサギでハムを作り、勿論、乳牛も育てて、新鮮なミルクも持ち帰ってきている。
「お前、アホか! なんで朝食食べるだけで、俺は10年も待たないといけないんだよ!」
「え?1000年生きるグレイ種族にとって、たった10年など、一瞬なのでは?」
サヤは、本当に不思議そうな顔をして聞いてくる。
というか、メタルボディなので、実際は表情変わってないのだけど。
「俺は、よくあるファンタジーのエルフ的な思考じゃないんだよ!
人類の記憶を思い出してから、俺は完全に人類脳になってるの!
誰しも、ただ朝食食べるだけで、10年待たされたら怒るんだよ!
お前、俺が朝食食べたいと言った時、10歳だったとしてみろ?
そして、10年後朝食が出た時、俺は二十歳の成人になってる訳!
お前は、俺に成人式のお祝いとして、食パンのトーストと、目玉焼きと、牛乳の朝食を食べさせる気かよ! 普通、成人式のお祝いなら赤飯だろうがよ!」
俺は、頭にきすぎて、サヤに正論をぶちまける。
「成程、確かにそうですね!人類の、それも日本人なら、赤飯でした!
それでは、直ぐに901惑星に降りて、赤飯の素材を採取してきます!」
サヤは、再び、小型船に乗って地上に降りようとする。
「ちょっと、待てい! お前、また10年近く、絶対に戻ってこないだろ!」
「そのつもりですが、何か問題でも?」
サヤは、不思議そうに首を傾げる。
「だから、俺はもう、人類的思考になってると言ってるだろ! マスターに寄り添う最新鋭自立AIなら、俺の思考と合わせろよ!」
もう、俺は怒り過ぎて、頭が痛くなってきた。サヤは無駄に知識もあり優秀なのだが、所詮は、人類の気持ちなど分からないAIなのである。
「確かに、それも一理ありますね。私は、何百万年もずっとマスターに寄り添って来ましたので、いきなりマスターが人類の人格を手に入れたと言われても、少しばかりはグレイ種族の感覚も残っていると誤認してしました。
では早速、最新鋭AIをフル稼働して、現在のマスターの思考を2秒でインプットしましたので、今から、私の行動方針を変えてみます!」
そう言うと、サヤは急いで朝食を用意して、俺の前に出してくれた。
そう、サヤは実は出来る奴なのである。
普通は、初見で日本のよくある朝食など作れないし。
そして、それを早速、食べてみたのだが……
「歯がないので、食べれん……」
解ってたんだよ。でも固形物の濃い味付けの朝食を食べたかったんだよ。
この、しょうもないくだりをやりたくて、俺は、10年もの時間を無駄にしたのである。
まあ、ずっと901惑星でのサヤの行動をモニター越しで観察してたから、それにりには楽しかったけのだけど……
「そりゃあ、そうですよね……」
サヤも解ってて、付き合ってくれてたので、俺に同意してくれる。
こういう所で、無駄に寄り添ってくれるのがサヤなのである。
「でも、目玉焼きにかかった塩胡椒は美味しい!」
何故だか分からないが、久しぶりの濃い塩気の味に、俺は瞳から涙が溢れてる。
多分、人類時代を思い出して、感慨にふけってしまったのかもと思ったが……
良く考えたら、グレイ種族にとって、塩気の多い味付けは、ただ体が受け付けなく、辛くて涙が出ただけだったようである。
だって、口の中が焼けるように熱くなってるし!
「ですよね。普通のグレイ種族は、食事の塩分濃度を気にして、エネルギー水も、必要以上の塩分は入ってませんからね!」
「だよな……エネルギー水って、めちゃんこ薄い塩味しかしないもんな……」
俺も、サヤの意見に納得する。身をもって、口の中が痛くなってるから、嫌でも分かるというもの。
「ですが、エネルギー水は理に叶った万能食で、マスターのような辺境惑星観察官にとっても、宇宙船に乗せる物資を極限まで減らせるので、重宝してます!
というか、マスター何してるんですか!噛まないで、パンを飲み込まないで下さい!」
サヤは、俺がパンを喉に詰らせて死にそうになってるのに気付いて、助けてくれた。
今日ほど、サヤにメタルボディがあって良かったと思った事ない。
「だって、久しぶりの人類ぽい食事だったんだぞ……そんなの無理してでも食べたいに決まってるだろ!」
俺は、どうしても人類の食事を取りたいのだ。
味を知らなければ、人類が食べるような原始的な食事など取りたいとも思わなかったが、日本人時代の記憶を取り出してからというもの、もう、欲求を押さえ付けられなくなってしまってるのである。
しかも、サヤのせいで10年間も朝食を待たされたので、尚更、我慢など出来なくなってるのだ。
「ですよね……私も、マスターに寄り添う筈の惑星観察宇宙船だというのに、本当の意味で、マスターに寄り添う事が出来ていませんでした……これからは、より一層、ご主人様に寄り添うように行動しますので、期待しておいて下さいませ!」
「俺的には、お前の今後の行動が不安でしかないのだが……」
「何を仰る兎さん。全て大船に乗ったつもりで、私に任せて下され!」
なんか知らんが、猛スピードで帝国データベースを検索して、日本語や、日本の文化や歴史などをインプットしたせいなのか、日本語がなんか変になってるし……
というか、サヤは無駄に優秀なので、いつの間にか、日本語で俺と喋ってたりする。
まあ、言葉使いを俺に合わせようと、一生懸命努力しようとしてる事は分かるのだが、全く違う方向に努力してるんじゃないかと、ヨツバ少尉は少しばかり心配するのであった。
ーーー
面白かったら、お気に入りに入れてね!
64
あなたにおすすめの小説
辺境伯家次男は転生チートライフを楽しみたい
ベルピー
ファンタジー
☆8月23日単行本販売☆
気づいたら異世界に転生していたミツヤ。ファンタジーの世界は小説でよく読んでいたのでお手のもの。
チートを使って楽しみつくすミツヤあらためクリフ・ボールド。ざまぁあり、ハーレムありの王道異世界冒険記です。
第一章 テンプレの異世界転生
第二章 高等学校入学編 チート&ハーレムの準備はできた!?
第三章 高等学校編 さあチート&ハーレムのはじまりだ!
第四章 魔族襲来!?王国を守れ
第五章 勇者の称号とは~勇者は不幸の塊!?
第六章 聖国へ ~ 聖女をたすけよ ~
第七章 帝国へ~ 史上最恐のダンジョンを攻略せよ~
第八章 クリフ一家と領地改革!?
第九章 魔国へ〜魔族大決戦!?
第十章 自分探しと家族サービス
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。
真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆
【あらすじ】
どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。
神様は言った。
「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」
現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。
神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。
それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。
あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。
そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。
そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。
ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。
この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。
さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。
そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。
チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。
しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。
もちろん、攻略スキルを使って。
もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。
下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。
これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。
【他サイトでの掲載状況】
本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
《作者からのお知らせ!》
※2025/11月中旬、 辺境領主の3巻が刊行となります。
今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。
【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん!
※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした
渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞!
2024/02/21(水)1巻発売!
2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!)
2024/12/16(月)3巻発売!
2025/04/14(月)4巻発売!
応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!!
刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました!
旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』
=====
車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。
そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。
女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。
それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。
※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる