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第二章 ハウエバー系 第901辺境惑星 編
5. ヨツバ少尉、シリコンボディを手に入れる
しおりを挟む「俺は、人間になりたい!」
人類の記憶を思い出してから、欲求が抑えられない俺は、今日も1人、宇宙船で、ただ1人叫ぶ事しかできなかった。
「なら、人類になってしまいましょう!」
突然、サヤが軽いノリで言ってくる。
「そんなの無理だろうがよ!」
「出来ますよ!グレイギャラクシー帝国の技術力を持ってすれば、私みたいにメタルのボディを作り、グレイ種族の3等身から、平均日本人の7.3等身になれますって!」
「メタルボディじゃ、人類と言えんだろ?」
「じゃあ、帝国データベースに記載されていた、日本のラブドールという、まるで生きてる人間のような人形があるらしんですけど、それをベースに、私がマスターの為にボディを作ってあげましょうか?」
「ラ……ラブドールだと?! お前、ラブドールが何か、知ってるのかよ!?」
ヨツバ少尉は、思わぬ提案に、ドキドキしてしまう。
「えっと、擬似性行為が出来る人形ですよね? 帝国データベースによると、南極調査隊が慰安の為に、南極に持っていった南極1号が始まりなのだとか。
丁度、境遇的に、辺境惑星観察員のマスターとも被りますから、良いアイディアだと思うんですけど?」
「確かに、メタルボディじゃないから、より人間に近いし、有りと言えば有りだな……それに、俺、性欲も復活させたいし」
そう、人類の記憶が復活した俺は、どうせなら人類の三大欲求全てを復活させたいのである。
まあ、睡眠欲に関しては、元々グレイ種族は、脳ミソを休めるという理由で、睡眠欲は退化してないが、性欲に関していえば、もう男性器も退化していて、豆粒程の大きさしかないのである。
「マスターなら、そう言うと絶対思ってました!」
「お前、その言い方、あまり良くないぞ?その言い方だと、俺が何か、とんでもなくエロい奴みたいじゃないか……」
「大丈夫です!日本人のそれも男は、変態と相場が決まってると、帝国データベースで調査済みですので!
私は、なんでもマスターに寄り添うように出来てますので、別にマスターが変態であっても全然OKですから!」
「俺が変態前提かよ! というか、お前、日本人の男全員を敵に回したぞ!」
「大丈夫ですよ!日本人は疎か、地球人も2億年前に滅んでますから!」
サヤは、爽やかに答える。
「お前、そういう所は最新鋭AIらしくクールだよな……」
「それでは、その方向で進みますから、ちょっくら、地上で素材を採取してきます!」
「まあ、俺の気持ち良いボディの為だ!3年ぐらいなら許す!」
俺は、もう、人間になりたいよりも、性欲復活の方が優先順位が上になってしまっている。
そして、サヤは、俺に言われた通り、きっかり3年後に、ラブドールの素材を採取して、母船に戻ってきた。
そして、作業室に1週間引きこもり、見事、俺のシリコンボディを完成させたのである。
「ご主人様の人類時代の肉体をモデルに、製作した自信作です!」
「お前、何で俺の人類時代を知ってるんだよ!」
「全て、ご主人様の記憶は帝国データベースに入ってましたから!
日本人の中でも、特にグレイ種族の血が濃い者は、グレイギャラクシー帝国の観察対象でしたので、当然の事ですね!
ですから、私は、マスターが日本で生まれてから死ぬまでの全てのデータを持ってるという訳です!
ですので、マスターが人類時代に、何を悩んでいたのかも全て理解しておりますので、男性器を3センチほど長くしておきました!」
「お前、日本の個人情報保護法知らないのかよ!そんなセンシティブな事、勝手にするなよな!
まあ、でも嬉しいから、その辺の所は、これから黙ってやっておいてくれ!」
「了解です!」
流石は最新鋭AIである。どうやら全て解ってくれたみたいである。
何故かサヤは、こういう所は察してくれる傾向であるようだ。
「それでは、ラブドールにある擬似脳に、マスターの記憶を全て移しますね!」
「ああ!頼むぞ!」
俺は、躊躇なくサヤにお願いする。
人類的思考なら、ちょっと待てよ!記憶を移し替えるなんて大丈夫なのか?!
という所だが、俺は全宇宙を統べるグレイギャラクシー帝国の技術力を信じているのだ。
実際に、脳の情報を移し替える作業など、グレイ種族にとって日常的にやってる事だしね。
そして、俺は遂に手に入れたのだ。人類の肌感に近いシリコーン製のラブドールの肉体を。
「うおぉぉーー!思い通りに動くぞ!」
「そりゃあそうですよ!グレイギャラクシー帝国が誇る、最新鋭機械工学の粋を持って製作したラブドールですからね!
ボディの名前はそう、南極1号に因んで、9011号にしましょうか?やはり、数字が並ぶのはおかしいので、クレイ1号?いや、グレイ1号にしちゃいましょう!」
「ボディに名前付ける意味があるのか?俺は別にラブドールのままでも良いのだけど?」
「ご主人様!なんてやらしい発言をするんですか?!」
「なんで、そこだけ人類的なんだよ!」
「所で、なんか男性器が立ったりお辞儀したりはするんだけど、全く何も感じないのだが……」
「そりゃあそうですよ。マスターの体は、ただのラブドールですから、気持ち良くなるのは、マスターを使った相手だけですからね! 因みに、男性器には、相手を気持ち良くさせる色々な機能を付けておきましたが、マスター自体は、全く気持ち良くない仕様になってます。そもそも、グレイギャラクシー帝国の技術力をもってしても、シリコーンに、痛みや気持ち良さを感じさせる技術などないですからね!」
「ですよね……」
俺はどうやら、まだまだ人類には近づけないようである。
まあ、だけど、人類の体をゲットしたので、最初の一歩だけは進めたのだと思う事にした。
ーーー
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