大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ

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第二章 ハウエバー系 第901辺境惑星 編

66. トップバリュー男爵領で商売する

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 トップバリュー男爵領は、流石というか、この地域最大の栄えた領地という事なのか、たった2時間足らずで、在庫の全ての石焼き芋が売れてしまった。

 まあ、売る俺達、俺とコナンとシスの仕事の手が相当速いのも原因なのだけどね。

 兎に角、トップバリュー男爵領の自由市場では、とんでもなく美味しい石焼き芋が売ってると、小さくない騒ぎも起こり、それにより、石焼き芋が全て売り終わった後、すぐに、トップバリュー商会の者が、ウッドペッカー商会と提携して公爵芋の石焼き芋を売りたいと、商談に来たのである。

「この国一番の大商会が、俺達のような新興の商会と商売したいのかよ!」

 俺は正直、ビックリし過ぎて、目ん玉飛び出そうな程、驚いてるというのに、俺が返事を発する前に、突然、サヤが口を開く。

「お断りします!」

「お前、突然、何言い出すんだよ!」

 俺はまさか、サヤが断ると思ってなかったので、サヤを2度見する。
 だって、誰が考えでも販路を増やすチャンスなんだもん。
 トップバリュー商会って、新興の商会だけど、カララム王国一の大商会なのである。

「ご主人様、トップバリュー商会には、悪い噂がたくさんあります。
 それに、トップバリュー商会の力を借りなくても、公爵芋の石焼き芋は売れますし、ウッドペッカー商会は、トップバリュー商会を抜いて、この国一番の商会にもなれますので!」

 サヤは、トップバリュー商会の担当者が目の前に居るというのに、失礼この上ない話を堂々と言い放つ。

「お前、目の前にトップバリューの人が居るのに、何言っちゃってんだよ!」

「兎に角、今、トップバリュー商会と手を組むのは、悪手だと言ってるんです!そもそも、トップバリュー商会は、汚い手を使って、ここ数年で成り上がって来た商会ですし、ご主人様もトップバリュー商会に利用されるだけだと言ってるんです!」

「そうなのか?」

「間違いないです! 僕がご主人様に嘘を言った事がありますか?」

 真剣な顔をして、俺に必死になって訴えてくるサヤの顔を見て、俺は決断する。
 サヤは、元々、辺境惑星観察調査員であったヨツバ・グレイオス少尉に寄り添うようにプログラミングされた最新鋭AIが配備された辺境惑星宇宙船轟38号なのだ。

 そんなサヤが、俺に対してマイナスの事をするのは、絶対に有り得ない。
 だって、サヤは、俺だけの為に、この俺が喜ぶような世界を作り上げてしまった、俺の事を大好き過ぎる、バグった最新鋭AIなのだ。

 そんな最新鋭AIであるサヤが、決して間違った事を言う事など有り得ない。
 サヤの行動の全ては、俺の為に動いてると断言できる。
 そのサヤが、トップバリュー商会と手を組むのは悪手と言うなら、俺はそれを信じるし、考えるまでもない話なのである。

 俺は、もう決して、サヤの事を裏切らないと決めているのだ!

 もう決して、裏切らないとか言ってるが、俺は、いつもサヤの事を信じてるので、サヤを裏切った事など無いと思うのだが、兎に角、俺は決して、サヤを裏切らない!

 俺自身、2度も同じ事を言うのかよく分からないが、俺の心の奥底で、絶対にサヤを信じろ、さもないとまた、全てを失うぞと、呪言のような言葉が心の奥底から聞こえてくるような気がしたのである。

 本当に、何故だか解らないのだが……

「兎に角、そういう訳だ。悪いなトップバリュー商会の人達。俺は決して、お前達とは組まない!」

「何だと!我々と組まない?それがどういう事だと、お前は解ってるのか?
 間違いなく、この国では商売できなくなるという事だぞ!」

 なんか知らんが、提携を断ったら、突然、トップバリュー商会の奴らが脅してきやがった。
 やっぱり、サヤの言葉は間違いなかった。トップバリュー商会は、サヤが言うように汚い手を使ってカララム王国一の大商会に上り詰めたのだろう。

「お兄ちゃん、この人達やっつけちゃっていい。私、お兄ちゃんを脅す人を、決して許せないんだ……」

 なんか、シスちゃんヤバい。カレンが出すような炎のような赤黒い闘気をメラメラと発してるし。

「ウン。俺もこいつら嫌い!それに、問題起きたら何でも拳で語り合うのが一番良いと、母さん言ってたし!」

 コナンまでも?

 なんか知らんが、グラスホッパー騎士爵家も、イーグル辺境伯の家訓をキッチリ受け継いでいるようである。
 まあ、イーグル辺境伯の血筋の人達って、基本、闘争大好き、殴り合い大好きの戦闘民族だからね。

 シスとコナンは、もう俺を差し置いて、完全にヤル気である。

「本気で、我らトップバリュー商会を敵に廻す気か?」

 トップバリュー商会の人達は、わざわざ念押ししてくる。
 多分、本当に、まだまだ弱小商会であるウッドペッカー商会が、カララム王国一の大商会に逆らってくるとは思えなかったのだろう。

「ああ。上等! 俺の弟と妹?に少しでも殺意を向ける奴らは、誰であろうと絶対に許さないんだよ!」

 そう、俺は、絶対に今回の世界では、コナンとシスを守り抜くと決めているのだ。
 それが、どんな相手であっても、絶対に!
 俺は、エドソンに、エリザベスとコナンとシスを頼むと頼まれたのである!

 なんか頭の中が混乱して、よく分かんなくなってるが、兎に角、コナンとシスを守る事こそが、ヨツバの役目だという事だけは、思い出した気がしたのだ。

 ーーー

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