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第二章 ハウエバー系 第901辺境惑星 編
67. トップバリュー商会に目を付けられる
しおりを挟む俺はやると決めたら、やる男。
決して、可愛い弟、妹の手を汚させないのだ。
一瞬にして、【転移】スキルを使って、トップバリュー商会の人達の背後に回り込み、手刀で首筋をトン!と叩き意識を刈り取ってやったのだ。
まあ、無難だよね! 意識を刈り取れば何も言われなくなるし、トップバリュー男爵領を脱出するのも邪魔もされなくなるし!
逆に、トップバリュー商会の人達には感謝されたいぐらい。
きっと、コナンとシスと戦ってたら、もっと痛い思いして、血が出てると思うしね!
2人とも、子供でもイーグル辺境伯の血筋のチビッ子達だし。
そんな訳で、俺達は、騒ぎが大きくなる前に、とっととトップバリュー男爵領を脱出したのである。
「はぁ~それにしてもどうするんだ……トップバリュー商会の奴ら、俺達をこの辺で商売できないようにしてやるぞ!とか、言ってたぞ?
ウッドペッカー商会のグラスホッパー支店って、まさにこの辺だし、エリザベスさんには、支店長になって貰った早々に悪い事しちゃった気がするんだけど……」
そう、俺はエリザベスさんに、グラスホッパー支店の従業員の給料は、グラスホッパー支店の稼ぎで賄えと言ってしまったのだ。
「大丈夫ですよ!ご主人様!エリザベスさんなら上手くやりますよ!
エリザベスさんは、ご主人様が思ってる以上にやり手ですから!
それに、ウッドペッカー商会の後ろ盾って、エリザベスさんを取り込んだ事により、この国有数の大貴族であるグリズリー公爵家なんですよ!
トップバリュー商会も、簡単にグリズリー公爵の娘が働いてるウッドペッカー商会に、おいそれと手は出せないですし、この国最強のイーグル辺境伯家も、ご主人様の後ろ盾のようなもんですから、全くもって問題ないです!」
俺の心配をよそに、サヤは余裕綽々。
また、エリザベスさんの手腕を全く分かってないのに、どうしてそんなにエリザベスがやり手だと解るのだろう?
まあ、グリズリー公爵家が後ろ盾になったというのは、嬉しい誤算なんだけど。
そして、そうこうしてるうちにグラスホッパー騎士爵家に到着すると、とんでもない事が起こってたのである。
だって、大森林を開拓した土地に、美味しそうなフルーツ農園が誕生してたのである。
「なんで、半日しか経ってないのに、フルーツがたくさんなってるんだよ!
しかも、完熟マンゴーやシャインマスカットとか、この世界に無い筈の高級フルーツばかりが育ってるんだ!?」
「フフフフフ。実はエリザベスさんに念話で相談されて、品種改良した高級フルーツの種を渡してたんですよね!」
何故か知らんが、サヤが無い胸を張って言う。
「念話って、お前、エリザベスと念話なんかしてたのかよ!」
「勿論、してますよ!だって、トップバリュー商会をコテンパンにぶっ潰さないといけませんから!
エリザベスさんとは、これからもたくさん連携して行くつもりです!」
サヤの言ってる意味が分からない。サヤは念話とか言ってるが、エリザベスさん体の中に埋め込まれてるナノマシンを通して、頭の中に直接喋り掛けてるだけだしね。
「お前が、なんでトップバリュー商会を目の敵にするか知らんけど、確かトップバリュー男爵家って、『恋愛イチャイチャキングダム』のヒロインの家だろ?」
「ですです!なので、にっくきヒロインを今のうちに弱らせておくんですよ!」
「ん?なんでヒロインを弱らせとかないといけないんだ?」
俺は疑問に思い質問する。
だって、俺は、モブ無双枠で『恋愛イチャイチャキング』に参加する訳で、ヒロインを弱らせとく理由など全く無いのである。
「あの、解ってます?ご主人様は、悪役令嬢役のカトリーヌさんと、同じ『熊の鉄槌』のメンバーなんですよ!しかも親戚のカレンさんとは婚約してる訳で、カトリーヌさんの死亡エンドを絶対に防がないといけないんですから!」
「た……確かに……」
サヤに言われるように、良く考えたらそうだった。
「そして、ハッキリ言います。トップバリュー男爵令嬢アスカ・トップバリューは、完全に地球からの転生者ですからね!」
ここで、サヤから、突然のお知らせ。
「そうなのか?!」
「そうです!何故ならトップバリュー男爵領の発展は、『恋愛イチャイチャキング』の世界観から逸脱してるんです!
『恋愛イチャイチャキング』の世界では、この時代、トップバリュー商会は、カララム王国で3番目の大きさの商会ですけど、今の段階で、カララム王国一の大商会になってるのは、そもそもおかしい事なんですからね!」
「確かに……」
サヤに言われて初めて気付いた。『恋愛イチャイチャキングダム』でのヒロイン。アスカ・トップバリュー男爵令嬢の設定は、新興のトップバリュー商会を率いるトップバリュー男爵の妾の子という設定なのである。
決して、カララム王国一の大商会の娘ではないのだ。
「なので、『恋愛イチャイチャキングダム』の世界観を崩さないように、王国3位の商会まで、ランクダウンして貰わないといけないんです!」
「なるほど」
ウッドペッカー商会もカララム王国一の大商会を狙ってるもんね。そう考えると、多分、異世界知識でカララム王国一の大商会に育ったトップバリュー商会が邪魔なのだろう。
「異世界転生者の主人公は、どっちか、最初から解らせとかないといけないんですよ!」
サヤが、なんか熱く語ってる。
確かに、完全にアスカは、現在、異世界転生者無双を楽しんでいるのだろう。トップバリュー商会を、カララム王国一の大商会にしてる訳だからね。
というか、俺って、そもそも異世界転生者なのか?
地球人からグレイ星人に転生はしたけど、別に異世界って訳ではないんだよね。
この異世界ぽい世界も、サヤが作った偽物の世界の訳で、そう思うと、本当に異世界転生してきた、アスカの方が主人公なのかもしれない。
だけれども、この世界は、サヤが俺の為に作ってくれた世界なのだ!アスカには、絶対に主人公の座は渡さない!
「だな!俺がこの世界の主人公なんだ!絶対にアスカに主人公の座は渡さないぜ!」
「その意気です!」
「でも、質問なんだが、アスカが異世界転生者なのは確かなのか?もしかしたら、アスカの父親が異世界転生者って、線もあるだろ?」
そう、商会長はアスカの父親の訳で、異世界転生者が、父親の場合も考えられるのだ。自分がやってる商会だからね。
「それは無いですね。『恋愛イチャイチャキング』の主要キャストは、ずっと僕が見張ってますから!アスカが異世界転生者なのは絶対なんです!」
サヤは、何故か知らんが炎のエフェクトまで見せて、燃え上がって見せる。
サヤは物凄く、アスカに敵対心を燃やしてるのだけは確かのようだ。
本当に、何故か解らないのだけど……
ーーー
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