55 / 177
55. 凱旋
しおりを挟むエリスは、瀕死の重症のレッドドラゴンを、取り敢えず、万能薬である世界樹の雫で治療し、その辺に落ちてたレッドドラゴンの鱗5枚を拾い、まだ何か、ちょっと足りないなと思い、レッドドラゴンの尻尾を氷の刃で、ザクッ!と、斬り裂き、レッドドラゴンが、「ギエェェェーー!」と、叫んでるのを何事でもなかったように無視し、そのまま、ヨナンの元に走る事、30分。
既に、ヨナンによって消滅された木々は再生し、ある程度、ヨナンとカレンも狩りを楽しみ終わった頃、エリスは、ヨナン達一行と合流したのだった。
「主様、只今戻りました!」
エリスが、ヨナンに報告する。
「で、レッドドラゴンは本当に居たのか?」
ヨナンは、一応、確認する。
だって、全く、老眼でないヨナンには、100キロ先など見える筈ないから。
「すみません。私が到着した時には、どうやらレッドドラゴンは命からがら逃げた後だったようで、ご主人様が放った剣激が、レッドドラゴンに当たったと思われる現場で、レッドドラゴンの鱗5枚と、それからレッドドラゴンの尻尾を回収してきました」
エリスは、クールビューティーの顔を崩さず、真顔で嘘をつく。
「えっ! 本当に俺が何気に振るった素振りが、レッドドラゴンにヒットしてたのかよ!」
「はい。これが、証拠の鱗と尻尾です」
エリスは、自分の魔法の鞄の中から、レッドドラゴンの血が大量にベッタリ付いた巨大な鱗5枚と、斬れ味よく切断された、これまた10メートルはあろう巨大な尻尾を取り出す。
「ドラゴンって、伝説上の神獣だと思ってたんだけど、本当に居たんだな……」
ヨナンは、その巨大な鱗と、尻尾を見てワナワナ驚愕する。
しかし、それ以上に、
「 普通のワイバーンの鱗と尻尾でも相当な値段で取引されるのに、こんな状態のいいレッドドラゴンの鱗と尻尾なんて、多分、天文学的な値段になるぞ!」
何故か、ヨナン以上にセントの方が興奮してる。
「ヨナン! これは凄いわよ! 早く、お爺様に自慢しに行きましょ!
きっと、滅茶苦茶褒めてくれるわよ!
大森林にレッドドラゴンが居る事は、昔から確認されてたけど、目撃証言は、もう100年以上も前で、伝説の神獣って言われてるんだから!
そして、そんな伝説の神獣レッドドラゴンの尻尾と、鱗を持って持ち帰ったりなんかしたら、そりゃあもう、イーグル辺境伯領史上最大の大事件になるんだから!」
なんか、カレンが物凄く興奮してる。
「だけど、何で尻尾まであるんだろうな? 俺の攻撃って、雷やら、炎やら、風やら、氷がトルネードの渦巻きなみたいに飛んでったから、こんなに綺麗に切断されないと思うんだけど?」
ヨナンは、どうでも良い事が気になってしまう。
「あの、主様。所詮、レッドドラゴンも、トカゲの仲間ですから。突然、有り得ない程の攻撃を受けて、ビックリしたあまり、自ら尻尾を切って逃げていったのではありませんか!」
エリスは、必死に言い訳をする。決してクールビューティーの表情は崩さずに。
「なるほど、伝説の神獣レッドドラゴンも、トカゲの仲間か。まあ、言われてみたらそうだな。結局、攻撃を受けて逃げてった訳だし!」
ヨナンは、レッドドラゴンは、トカゲの仲間と聞いて妙に納得してしまい、もう、トカゲの尻尾の余りに綺麗過ぎる切り口については、それ以上、何も追求しなかったのであった。
でもって、イーグル辺境伯領、領都イグノーブルに凱旋。
鑑定スキルによると、物凄く貴重だという鱗にベッタリついた血を瓶に回収した後、
何故か、カレンは巨大な10メートルはあろうレッドドラゴンの尻尾を担ぎ、ヨナンとエリスとセントにも、レッドドラゴンの巨大な鱗を持たせ、城壁の正門からイグノーブル城塞都市に入る。
そして、
「私の未来の旦那様が、レッドドラゴンを討ち取ったわよ! 」
と、カレンは巨大なレッドドラゴンの尻尾を引きずりながら、大声で叫ぶ。
既に、ヨナンが大魔法?を放つのを目撃してた冒険者や、レッドドラゴンを倒したという情報が出回ってたのか、もうイーグル辺境伯領、領都イグノーブルはお祭り騒ぎ。
「カレン様ーー!万歳!」
「誰か知らないけど、カレン様の未来の旦那様、万歳!」
カレンは、どうやら、イグノーブルで、とても人気が有るのか、街の人々が盛大に祝福してくれる。
そして、レッドドラゴンの巨大な尻尾と鱗を自慢するように、城下町をゆっくり練り歩き、城に到着する頃には、既にレッドドラゴンを討伐?した事を聞き付けていた、イーグル辺境伯が城の門の前で、興奮の面持ちで待っていた。
そして、カレンとヨナンが、門の前まで到着するやいなや、カレンとヨナンを軽々く持ち上げ、2人を自分の肩に乗せ、
「良くやったぞ! 流石は、カレンの婚約者、大戦の英雄エドソン・グラスホッパーの息子、ヨナン・グラスホッパーだ!」
と、たまたま寄子会議や、ワイン品評会に集まってた上級貴族達に、ヨナンの物凄さを猛烈にアピールしたのだった。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
2,902
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる