大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ

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第一章 ヨナン・グラスホッパー編

85. ヨナン班、ついに動く!

 
 野営訓練3日目の朝6時。
 俺達の班は満を持して、動き出す事にする。

 初日、2日目も何もせずに、超絶豪華で快適な陣地で寛いでいたのだが、勿論、何もしなかった訳ではない。

 常に、スーザンの索敵Lv.4によって、全ての敵の位置を監視してたし、のんびりと体を休めてたし。

 でもって、現在の状況なのだが、『恋愛イチャイチャキングダム』のチートな攻略対象の2人組がいるアスカの班が、陣地5箇所を確保して現在トップ。
 2位が、陣地4箇所を確保してるカトリーヌの班。
 そして、まだ壊滅してないAクラスの2つの班と、俺の班が残りの陣地を1箇所づつ確保してる感じだ。

 それから、既に壊滅してるのは、Aクラスが1班、Bクラス2班、Cクラスが1班、Dクラスは全滅。
 BチームとCチームは、陣地を持たずにゲリラ戦。最終的に的を絞って、どこかの陣地を落とす事を狙ってるようだ。

 どこの班も、結構疲弊していて、1から4人は既に脱落してたりする。

『で?どうしますか?』

 鑑定スキルがお伺いを立ててくる。

「そうだな。取り敢えず、ウチの陣地を見張ってるB班とC班の見張りをやっつけとこうか!」

 そう。俺達には、索敵Lv.4を持ってるスーザン・スパイダーが居るのだ。どこで誰が何をしてるのか完全に分かってる。
 多分、うちの班だけが、どの班に今どれだけの戦力が居るのかを正確に把握してるのだ。

『じゃあ、アイ・ホークさんに頼んだらいいんじゃないですか?』

 名前: アイ・ホーク
 スキル: 鷹の目Lv.3
 ユニークスキル: 射撃Lv.3 身体強化Lv.1
 力: 320
 HP: 220
 MP: 222

 因みに、これがアイ・ホークさんのステータス。イーグル辺境伯の分家であるホーク男爵家の次女らしい。

 でもって、イーグル辺境伯家は女系の家なので、例に漏れず、アイ・ホークは、エリザベスやカレン、アン姉ちゃんと顔が似てる。

 違う所と言えば、眼鏡っ娘の所。
 本人曰く、その鋭過ぎる金色の鋭い目(鷹の目)を和らげる為に、伊達眼鏡を掛けてるらしい。
 黒髪ワンレンでスタイルがいいので、少し女教師に見えたりもする。性格はクール。もしかしたらツンデレかもしれない。

「アイさん。頼めるかな?」

 ヨナンは、アイ・ホークにお伺いを立てる。

「スーザンの索敵Lv.4と、私の鷹の目Lv.3が有れば、どんなに遠く、どんなに小さい的でも私の弓で当ててみせる」

 アイさんは、クイッと人差し指で伊達眼鏡を上げる。
 そう。鑑定スキルLv.3によって発覚したユニークスキルの射撃Lv.1と、元々持ってた鷹の目Lv.1を、常軌を逸した修行によりLv.3にまで引き上げたアイさんに、撃ち抜けぬものなどない。
 距離にして300メートルなら必中。しかも、イーグル辺境伯家の血筋の特徴でもある身体強化スキルも持ってるので、男子でも引く事が出来ない強力な弓を使ってるのだ。
 因みに、俺の特注品。本気で作ったので、相当な精度で弓を放つ事が出来ちゃう代物。
 飛ばすだけなら、多分、1キロ位は飛ぶであろう。

 そんなアイ・ホークが、弓を放つ為に陣地3階の狭間に立つ。

 敵が何処に居るかは、スーザンの索敵Lv.4で簡単に分かる。後は鷹の目Lv.3で、ロックオン。
 アイさんには、敵が鮮明に見えてるのであろう。

 そして、

 ヒュン! ヒュン!

 弓を続け様に2本放つと、隠れていたBクラスとCクラスの班の見張りの腿に見事に突き刺さっさた。

「終わりました」

 アイさんは、伊達眼鏡をクイッとあげてドヤ顔する。多分、褒めてほしいのだろう。

「流石、アイさん!」

 アイさんは満更でもない様子。鼻が膨らん出る。どうやら、嬉しい時は鼻が膨らむ人らしい。目付きは鋭過ぎて怖いんだけど。

 まあ、俺はこの班のリーダーなので、班員のモチベーションを上げるのが仕事だから、頑張って褒め殺しにするんだけどね。

「この調子で、サクサクっとC班のゲリラ活動してる人達やA班の人達。それからSクラスのアスカだけを殺ってきて下さい!」

「何故に、Sクラスはアスカだけ?」

 アイさんは、首を捻り聞いてくる。

「あの人は、Sクラスに相応しくないですからね。クラスの輪を乱し過ぎです。
 上級生の男子生徒を侍らせて、不純異性交遊してるみたいですし。
 それから、カトリーヌさんにあらぬ罪を着せて、陥れようとしてます!
 そして、イケメンのマイク・タイガー君と、グレイブ・ホース君にも、よく分からない変な嫌がらせをしてます!」

 俺は、アスカの悪事を並べ立ててやる。

「確かに、カトリーヌちゃんに対する嫌がらせは酷い……あれは、いつか爆発する。カトリーヌちゃん顔には出さないけど、相当イライラしてるのは分かる」

 流石は、同じイーグル辺境伯の血を引くアイさんである。
 カトリーヌがイラついてるのに気付いてたみたいだ。

「そうだよな。爆発するよな。だからSクラスから居なくなってもらわなきゃ!
 Sクラスの女子で、1人だけ戦線離脱したらアスカの評価はガタ落ち。必ずSクラスを首になると思うし!」

「ウン。考えようによってはアスカの為。このまま行くとカトリーヌちゃんが爆発して、アスカはボコられる」

 アイさんは、カトリーヌの親戚であるので、やはりカトリーヌのヤバさを分かってるようである。

 そう、エリザベスや、アン姉ちゃん、カレン、そして、カトリーヌが持ってる身体強化Lv.3というスキルはヤバ過ぎるのだ。もう、人間では無い。ゴリラなのである。
 多分、奴らが本気になれば、頭とかを簡単に握り潰し、脳みそグチョグチョにしてしまう程のパワーを持っている。

 それがアスカに向けられたら、確実に死ぬ。
 だってアイツ、攻撃的なスキル持ってないし。
 俺も、簡単に死なれたら困るのだ。まだまだ、ザマーし足りないし。
 まず手始めに、野営訓練で陥れて、Sクラスから追い出してやるのだ。
 きっと、プライドが高いアスカは、自分がSクラスじゃないなんて受け入れられないだろう。『恋愛イチャイチャキングダム』の舞台は、絶対にSクラスだろうしね。

「そうだよな。アスカの為だ!」

 ヨナンのザマーは、まだ始まったばかり。
 アスカが悔しがる姿が目に浮かんで、今から思わずニンマリと笑ってしまうのだった。
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