101 / 177
101. 女神ナルナー神宮
しおりを挟むでもって、女神ナルナーが消えた後、可哀想だったので、祭壇に公爵芋の石焼き芋をお供えしてみると、
「全然足りないよーー! もっとお供えものを……いや、やっぱそれより女神ナルナー教の信者を増やすのよ~」
と、断末魔のような、女神ナルナーの声が、どこからともなく聞こえてきた。
「今の声って、ナルナーだよな?」
『ご主人様、どうやら、女神ナルナー様は、信仰が高まると、この世界に化現出来たり、神託を下せるようになるみたいですね』
鑑定スキルが、冷静に分析する。
「神託って、もっと有り難い言葉じゃないのか?今、お供えものと、信者が足りないとかなんとか、断末魔的に聞こえただけだぞ?」
『女神ナルナー様も必死なんですよ。お供えもの備えただけでは、女神ナルナー様、食べれませんしね!
化現して、初めてお供えものが食べれる訳ですから、まずは、女神ナルナー教の信者を増やせと神託して来たんじゃないですか?』
「自分が、お供えものを食べれるようにする為に、俺達に、女神ナルナー教の信者を集めろって事かよ?どんだけ残念女神なんだ……」
『まあ、食い意地が張ってるだけで、悪い人じゃなさそうなんで、信者を増やすの手伝ってあげてもいいんじゃないですか?
実際、女神ナルナー教の信者って、エルフ族ぐらいですからね!』
「そうなのか?」
『昔は、たくさん居たみたいですけど、他の神様に取って代わられてるみたいですよ!
庶民にとっては、女神ナルナーは、ショボいスキルをくれる神様という認識ですからね。
誰が、トイレ掃除スキルを貰って、嬉しいと思います?』
「神の世界も、弱肉強食なんだな……」
『ですね。神の世界も、世知辛い世界なのかもしれませんね……』
鑑定スキルは、感慨深げに話すのだった。
まあ、そんな訳で、取り敢えず、グラスホッパー商会のグラスホッパー男爵支部。
所謂、元本店で、今は生産拠点に成り下がってしまった商会の事務所の高い場所の角に、女神ナルナー教の神棚を作って祀ってみた。
完全に、日本の神棚をイメージしてる。
後は、この祭壇に毎日、食べ物か何かをお供えして、社員一同で朝の朝礼後にでも、手を合わせてお祈りすれば、女神ナルナーの神力も、少しは上がるだろう。
グラスホッパー商会の社員って、今じゃいっぱい居るしね。
そんな感じで、神棚をたくさん作り、各支店に送っておいた。
それから各地に神殿作り、それも女神ナルナーと親和性が高そうな、世界樹の栄養たっぷりの大森林の木を使って建ててやる事にする。
まあ、木造で建てるなら、神殿より、神社の方がしっくりくるかもしれない。
でもって、手始めに、グラスホッパー男爵領に、女神ナルナー教の総本山的な神社を建てようと思ったが止めておいた。
グラスホッパー男爵領は、あまりに、大森林の世界樹から近過ぎるし、グラスホッパー商会の生産拠点であるグラスホッパー男爵領に、人が集まり過ぎるのは頂けない。産業スパイが来ると問題だしね。
という訳で、将来的に俺の領地になる予定だという、元トップバリュー領に、女神ナルナー教の総本山、女神ナルナー神宮を建てる事にした。
そうと決まれば話は早い。元トップバリュー城塞都市の隣の土地を買い占め、一気に伊勢神宮を模した女神ナルナー神宮を建築してしまう。
神宮の周りには、植樹して森を作り擬似的な大森林を作りだし、それにより、より一層、女神ナルナー神宮は、神秘的な幻想的な雰囲気を醸し出す事に成功した。
『日本のお伊勢詣りみたいになったら、より一層、女神ナルナー様の信仰が高まるんじゃないですか?』
「それな!」
鑑定スキルの助言を受けて、俺は女神ナルナー神宮に続く東海道のような街道を作る事にした。そして、その途中には宿場町も作ったら面白いかもしれない。
それぞれの宿場町には、名産品とか置いて、浜松のうなぎパイとか、桑名の焼き蛤とか、そんな感じの。そして、飯炊き女がいる女を抱ける宿とか、股旅も出来るような。
『結構、壮大な計画になってきちゃいましたね……』
「だな。これは夏休み中には、終わらんぞ……」
『ですね。取り敢えず、カララム王国学園に帰る道すがらに、女神ナルナー神宮と王都を繋ぐ街道だけでも作っちゃったら、いいんじゃないですか?
元々、トップバリュー男爵領と、カララム王都を結ぶ街道を整備し直すだけですし!』
「それな!」
てな訳で、ヨナンは、カララム王国学園に帰る道すがら、通称、東ナルナー街道を作りながらカララム王都に戻ったのだった。
勿論、全て5メートルの幅の石畳にして、大都市を結びつつ、一定の距離で宿場町を作るのも忘れない。
『なんか凄い街道が出来ちゃいましたね』
「ああ。宿場町には、全て温泉掘り当てたし、グラスホッパー商会の低価格帯の宿と、女を抱ける股旅系の宿と、貴族が泊まれる宿も建てたから完璧だな!」
『宿場町の名産品も、グラスホッパー商会で、勝手に作っちゃったらいいんじゃないですか?』
「だな。その宿場町でしか食べれない限定スイーツとか、俺が得意な寄木細工とか売るといいかもしれんな!」
『そのへんの所は、エリザベスさんに相談すればいいんじゃないですか?
一生に一度は、女神ナルナー神宮詣りに行こう!とか、宣伝もしてもらって!』
「だな! ここはエリザベスに丸投げするのが正解だな!貴族とかに宣伝するの、エリザベス滅茶苦茶上手いし!」
てな訳で、夏休みも終わりだし、女神ナルナー教の布教も含めて、全てエリザベスに丸投げしたのだった。
学生の本分は、勉強だしね。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
2,902
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる