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017話
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………はいっ!もう出来上がりました!流石だな俺。レシピをタップするだけで、出来るんだもん。コンラッド達も俺の美技に酔いしれていやがるぜ!
「ア、アルスよ……。今のは一体……?」
ですよねー。そういう反応当たり前だよねー。そりゃポンって出てきたら驚くよね。
「アルスさんが目にも留まらぬ速さで動いたと思ったら……料理が出てきたんですけど…」
驚愕の表情で、コンラッド達は俺を見つめる。説明は上手く出来ない自信があるので、誤魔化すことにしよう。
「くっくっくっ。驚いたか?これが全ての冒険者の頂点、最高峰の調理スキルだ!」
…そんなもの無いんだけどねー。ちょっと大袈裟に言ってみた。
「さ、さすがアルスさん……。なんていうか…規格外ですね…」
「だな……。普通は考えられんが…『アルスだから』という事だな…」
お?なんだか知らんが納得したか?
「まぁ、それは置いといて。早く食事にしようぜ?チカ達が待ちきれないって顔してるし」
おあずけされた犬みたいに待っているチカ達が、目に入ったのかコンラッド達は慌てて机を持ってくる。
「さぁ、召し上がれ!……一応おかわりはあるからな」
勢いよく食べるコンラッド達。暖かい食事が嬉しかったのか無言で食べ進む。チカ達も笑顔を浮かべているし、美味しい事は間違いないだろう。
「旨いっ!!旨いぞアルスッ!!」
「すごい美味しいです!!お金取れるレベルですよ!!」
「うめぇ…うめぇよ……。こんな所で、クソ旨い飯が食べれるなんて…」
「ああ、選ばれた時は最悪だったが、この料理が食べれた事で帳消しだな!」
最後に愚痴が聞こえた気がするが、そっとしておこう。でもいいなぁ…。食事が美味しく感じれるって。
「ご主人様ぁー!!おかわりくださいっ!」
「ああ、いいよ。ちょっと待ってな」
みんなめちゃくちゃ食べるなぁ…。もう料理無くなったぞ。…あ、そういえば!
「この前作ったヤツだけど、いいか?」
「なんでもいいよ!!」
確かオアシスで調理したのがあったはず……。あ、あったあった。
リストから取り出すと、驚くべき事にその料理からは湯気が出ていた。
(えっ!?なんで湯気が??日にち経ってるはずなのに…)
時間がかかりそうな問題だったので、とりあえず後回しにしておく。ストック分の料理をローリィ達とコンラッド達に渡す。
「これも旨いっ!!アルスよ、出資するから店を開かんか?」
「アルスさんが店を出すなら、僕も出資しますよっ!」
「ははは、まぁ冒険者を引退するか、暇になったら店でも開こうかな」
談笑しながら、あっという間にストック分の料理を食べ終わるチカ達。まだまだ食べれそうな顔してるけど、本当にどこで消化されてんのかな?
「チカ、まだ食べるか?」
「は、はい…。でも材料とか無いですよね…」
「んー……。食べれそうな魔物とか出ないのかな?フィン、オアシス周辺で食べれそうな魔物とかいるか?」
満足そうに食後のお湯を飲んでいるフィンに話しかける。
「食べれそうな魔物…ですか?……僕は食べた事ないですけど、『砂漠の狼』は美味しいって叔父さんに聞いたことがあります」
「へぇー、そいつらは強いのか?」
「単体はそこまで強くないです。けれど、群れで生活しているので、厄介ではあります」
フィンの実力的にはって事だろうな…。なら、俺にとってはかなり弱い方だろうな。
「そっかそっか、ありがとさん!ちょっと、その魔物探してくるわ!」
俺の平然とした言葉に焦ったのか、コンラッドとフィンが止めに入る。
「し、正気ですか!?辺りはもう暗いですし、危ないですよ??」
「待て待て!いくらお前が強くても、勝手な行動は許さんぞ!?」
「えー?別に遠くまで行くつもりないし、良くない?」
俺の考えでは、『狩人』にジョブ変更して、『索敵』する予定なんだけど…。
「ならんならん!!お前が強いのは知っているが、認められん!」
「ならさ、ローリィを連れて行くよ。2人なら問題無いだろ?」
ローリィが戦闘力高いのは、2人とも知っているだろうし…。ギルドでも問題起こしたし、ドーンも殴ったしな。
「むぅ………。なら15分だけ猶予をやる。それまでに帰ってくると約束するなら、許そう!」
「短っ!!じゃー、さっさと狩ってくるわ!…ローリィ、行くぞ!」
「はいっ!ご主人様っ!!」
どうしても付いていきたいと言うチカ達をなだめてから、俺達はオアシスの外へと出る。時間も無い事だし、さっさとやるか!
「っしゃあっ!--『索敵』!」
『Destiny』ではマップに赤く表示されていたのだが、この世界では仕様が違った様だ。なんというか、脳に直接表示されると言えばいいかな?とりあえず、あそこに敵がいる!と認識出来る。
「お!案外早く見つけられたな。えーっと……?7匹…北東方面か。よし!ローリィ、行くぞ!」
ジョブスキル、『忍び足』と『歩行速度上昇』を使い、砂漠の狼の群れへと走り寄る。
「ご主人様っ。あたしが狩ってこようか?」
群れの近くで様子見していると、ローリィが話しかけてきた。
「いや、お前がやっちゃうと跡形も無くなりそうだからダメ」
「そんなぁ……。この為に呼ばれたと思ってたのに…」
ごめんね?納得させる為にローリィの名前を出しただけだよ?……とは言える筈もなく、苦笑しつつ頭を撫でる。こうすれば、誤魔化せるからな!!
「ローリィには俺が狩った獲物を持ってもらう予定だからな。それまでは大人しくしとけよ?」
撫でた事により、ローリィは文句を言う事なく笑顔で頷く。……まじチョロいわ。
「さて……。初期武器持ってたかな…?他の武器じゃバフ強いのしか無いからなぁ……」
リストを探すが、やはり初期武器は持っていなかった。しかし、何故か矢だけは大量にあったのでそれを使う事にした。
「手裏剣とか持っとけば良かった…。しゃーないな、『キューピッドの弓』を使うかな」
『キューピッドの弓』は俺が持っている中で1番攻撃力の低い武器だ。自分より弱い相手に通用する『即死系』のスキルが備わっている。ゲームで狩場にしていた場所は即死態勢持ってたし、使う事は無かったが、レアリティは高いので捨てれなかったのだ。
「さぁーて、即死が効くかな?……とりあえず、通常攻撃しとくか」
弓を引きしぼり、頭を狙う。生きてた頃は弓なんて使った事無いけど、自然と打つことが出来た。
音もなく、恐るべき速度で矢が命中する。攻撃力が高かったのか、貫通して2匹仕留めた。
「あー、やっぱり弱いヤツか。…さて、あとは5匹…」
スキル『連射』と『速射』を使い、瞬く間に魔物の群れを狩り終える。何となく弓の使い方を実感したし、良い実験だった。
「さっすがご主人様っ!!あっという間だったね!!」
ローリィが心からの祝福をしてくれる。その言葉に少しだけ照れながら、狼の所へと向かう。
「ここで血抜きしておくかな…。ジョブ変えてっと……」
狼の腹を捌き、内臓を取り出す。砂漠に埋めた後に、縄でくくる。
「うぇっ……なかなかグロいな…。ローリィに持たせるのもなんだなぁ…」
「いがいとくさいんだね。きもちわるい!」
鼻をつまみながらローリィが感想を洩らす。こりゃあ、持たせるのはダメっぽそうだ。
「ローリィに持たせると臭いや血が付きそうだな…。ボックスに入れとくか」
狼に触れ、アイテムボックスに収納していく。リストに表示されたのを確認してから帰路に着く。
「ねーねー。あたし何の為に連れてきたの?」
「ん?……あー、えーっとだな……」
……どうしよう。本当の事を話すべきか??…いやダメだ。そんな事言ったらローリィが悲しむ!
逡巡していると、脳裏に閃くものがあった。
「あー……ローリィと散歩してみたかっただけだよ」
……これなら無難な理由になるはず!!
「ご、ご主人様っ!!!!」
口元を両手で抑え、目には涙が少し浮かんでいる。
あれっ??もしかして、分岐ルートだった??
「う、嬉しいですっ!!……えへへっ、チカちゃん達に自慢しよーっと!」
ああ……これは変なフラグ立てたな…。エロゲやった事無いけど、恋愛漫画的なフラグは立ったな。
「さぁ!ご主人様っ!オアシスにもどろーよ!」
ご機嫌なローリィに連れられ、俺はオアシスへと戻るのであった。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「ただいまー。食料狩ってきたぞー!」
オアシスに戻ると、談笑中だったのか焚き火を囲んでいた。
「あ、お帰りなさいアルス様。ローリィが迷惑かけませんでしたか?」
「お帰りマスター。ローリィは迷惑かけなかった?」
「むぅ!!あたしそんな事しないよっ!みんなヒドイっ!!」
ローリィが少し頬を膨らませながら、チカ達の元へと走っていく。
「お帰りなさいアルスさん。怪我などはしませんでしたか?」
「ああ、全然余裕だったから怪我なんてしてないよ」
「そうですか、無事で何よりです。……ところで魔物はどこにあるんですか?」
俺とローリィが手ぶらなのを見て、キョロキョロと探している。
「ああ、ボックスにぶち込んでるよ。……ほら」
目の前の机に狼を乗せる。腹が裂かれ血の臭いが辺りに広がる。
「で、でしたね。あるすさんはくうかんまほうつかえましたね」
鼻をつまみながら思い出したようにフィンが喋る。しかし、その事を知らない人物がいた。
「ア、アルスよ…。いま何をしたんだ?」
「あー……そういや、言ってなかったな。俺、空間魔法を使えるんだ」
「なにっ!?勇者様しか使えないというあの魔法か!?」
「ああ、そうらしいね。けど、俺の生まれ育った街では使える人は他にもいたし、そこまで珍しくは思わなかったよ」
「そうか…やはり……。だがなアルス、その魔法はサガンの街、いや国中探しても見つかっていないのだ。あまり、知らぬ奴の前では使用するなよ?」
「そうだな…。気を付けとくよ」
コンラッドの忠告を脳みそに書き留めておく。具現化出来るように、もう一回リストを見直して覚えておこう。
気を取り直して、俺はさっき狩ってきた狼を調理する事にした。ジョブを変更し、机に乗っている狼に『消臭』の魔法をかける。
……うん、血生臭いのは消えたな!
調理セットにある調味料を加え、レシピをタップする。所詮、ただの肉なのでバーベキューにしようと思う。肉を一口大に切り、ボックスに大量にある木の矢に刺していく。
「はーい。出来たぞー!味付けはしてあるから、お好みの焼き加減で食べてくれ」
意外と狼って食べる部分無いんだな。7匹狩ったけど、25本ぐらいにしかならない量だった。
焚き火の所に持って行こうとしたその時、俺の脳内に聞き覚えのある音楽がなったのだった。
「ア、アルスよ……。今のは一体……?」
ですよねー。そういう反応当たり前だよねー。そりゃポンって出てきたら驚くよね。
「アルスさんが目にも留まらぬ速さで動いたと思ったら……料理が出てきたんですけど…」
驚愕の表情で、コンラッド達は俺を見つめる。説明は上手く出来ない自信があるので、誤魔化すことにしよう。
「くっくっくっ。驚いたか?これが全ての冒険者の頂点、最高峰の調理スキルだ!」
…そんなもの無いんだけどねー。ちょっと大袈裟に言ってみた。
「さ、さすがアルスさん……。なんていうか…規格外ですね…」
「だな……。普通は考えられんが…『アルスだから』という事だな…」
お?なんだか知らんが納得したか?
「まぁ、それは置いといて。早く食事にしようぜ?チカ達が待ちきれないって顔してるし」
おあずけされた犬みたいに待っているチカ達が、目に入ったのかコンラッド達は慌てて机を持ってくる。
「さぁ、召し上がれ!……一応おかわりはあるからな」
勢いよく食べるコンラッド達。暖かい食事が嬉しかったのか無言で食べ進む。チカ達も笑顔を浮かべているし、美味しい事は間違いないだろう。
「旨いっ!!旨いぞアルスッ!!」
「すごい美味しいです!!お金取れるレベルですよ!!」
「うめぇ…うめぇよ……。こんな所で、クソ旨い飯が食べれるなんて…」
「ああ、選ばれた時は最悪だったが、この料理が食べれた事で帳消しだな!」
最後に愚痴が聞こえた気がするが、そっとしておこう。でもいいなぁ…。食事が美味しく感じれるって。
「ご主人様ぁー!!おかわりくださいっ!」
「ああ、いいよ。ちょっと待ってな」
みんなめちゃくちゃ食べるなぁ…。もう料理無くなったぞ。…あ、そういえば!
「この前作ったヤツだけど、いいか?」
「なんでもいいよ!!」
確かオアシスで調理したのがあったはず……。あ、あったあった。
リストから取り出すと、驚くべき事にその料理からは湯気が出ていた。
(えっ!?なんで湯気が??日にち経ってるはずなのに…)
時間がかかりそうな問題だったので、とりあえず後回しにしておく。ストック分の料理をローリィ達とコンラッド達に渡す。
「これも旨いっ!!アルスよ、出資するから店を開かんか?」
「アルスさんが店を出すなら、僕も出資しますよっ!」
「ははは、まぁ冒険者を引退するか、暇になったら店でも開こうかな」
談笑しながら、あっという間にストック分の料理を食べ終わるチカ達。まだまだ食べれそうな顔してるけど、本当にどこで消化されてんのかな?
「チカ、まだ食べるか?」
「は、はい…。でも材料とか無いですよね…」
「んー……。食べれそうな魔物とか出ないのかな?フィン、オアシス周辺で食べれそうな魔物とかいるか?」
満足そうに食後のお湯を飲んでいるフィンに話しかける。
「食べれそうな魔物…ですか?……僕は食べた事ないですけど、『砂漠の狼』は美味しいって叔父さんに聞いたことがあります」
「へぇー、そいつらは強いのか?」
「単体はそこまで強くないです。けれど、群れで生活しているので、厄介ではあります」
フィンの実力的にはって事だろうな…。なら、俺にとってはかなり弱い方だろうな。
「そっかそっか、ありがとさん!ちょっと、その魔物探してくるわ!」
俺の平然とした言葉に焦ったのか、コンラッドとフィンが止めに入る。
「し、正気ですか!?辺りはもう暗いですし、危ないですよ??」
「待て待て!いくらお前が強くても、勝手な行動は許さんぞ!?」
「えー?別に遠くまで行くつもりないし、良くない?」
俺の考えでは、『狩人』にジョブ変更して、『索敵』する予定なんだけど…。
「ならんならん!!お前が強いのは知っているが、認められん!」
「ならさ、ローリィを連れて行くよ。2人なら問題無いだろ?」
ローリィが戦闘力高いのは、2人とも知っているだろうし…。ギルドでも問題起こしたし、ドーンも殴ったしな。
「むぅ………。なら15分だけ猶予をやる。それまでに帰ってくると約束するなら、許そう!」
「短っ!!じゃー、さっさと狩ってくるわ!…ローリィ、行くぞ!」
「はいっ!ご主人様っ!!」
どうしても付いていきたいと言うチカ達をなだめてから、俺達はオアシスの外へと出る。時間も無い事だし、さっさとやるか!
「っしゃあっ!--『索敵』!」
『Destiny』ではマップに赤く表示されていたのだが、この世界では仕様が違った様だ。なんというか、脳に直接表示されると言えばいいかな?とりあえず、あそこに敵がいる!と認識出来る。
「お!案外早く見つけられたな。えーっと……?7匹…北東方面か。よし!ローリィ、行くぞ!」
ジョブスキル、『忍び足』と『歩行速度上昇』を使い、砂漠の狼の群れへと走り寄る。
「ご主人様っ。あたしが狩ってこようか?」
群れの近くで様子見していると、ローリィが話しかけてきた。
「いや、お前がやっちゃうと跡形も無くなりそうだからダメ」
「そんなぁ……。この為に呼ばれたと思ってたのに…」
ごめんね?納得させる為にローリィの名前を出しただけだよ?……とは言える筈もなく、苦笑しつつ頭を撫でる。こうすれば、誤魔化せるからな!!
「ローリィには俺が狩った獲物を持ってもらう予定だからな。それまでは大人しくしとけよ?」
撫でた事により、ローリィは文句を言う事なく笑顔で頷く。……まじチョロいわ。
「さて……。初期武器持ってたかな…?他の武器じゃバフ強いのしか無いからなぁ……」
リストを探すが、やはり初期武器は持っていなかった。しかし、何故か矢だけは大量にあったのでそれを使う事にした。
「手裏剣とか持っとけば良かった…。しゃーないな、『キューピッドの弓』を使うかな」
『キューピッドの弓』は俺が持っている中で1番攻撃力の低い武器だ。自分より弱い相手に通用する『即死系』のスキルが備わっている。ゲームで狩場にしていた場所は即死態勢持ってたし、使う事は無かったが、レアリティは高いので捨てれなかったのだ。
「さぁーて、即死が効くかな?……とりあえず、通常攻撃しとくか」
弓を引きしぼり、頭を狙う。生きてた頃は弓なんて使った事無いけど、自然と打つことが出来た。
音もなく、恐るべき速度で矢が命中する。攻撃力が高かったのか、貫通して2匹仕留めた。
「あー、やっぱり弱いヤツか。…さて、あとは5匹…」
スキル『連射』と『速射』を使い、瞬く間に魔物の群れを狩り終える。何となく弓の使い方を実感したし、良い実験だった。
「さっすがご主人様っ!!あっという間だったね!!」
ローリィが心からの祝福をしてくれる。その言葉に少しだけ照れながら、狼の所へと向かう。
「ここで血抜きしておくかな…。ジョブ変えてっと……」
狼の腹を捌き、内臓を取り出す。砂漠に埋めた後に、縄でくくる。
「うぇっ……なかなかグロいな…。ローリィに持たせるのもなんだなぁ…」
「いがいとくさいんだね。きもちわるい!」
鼻をつまみながらローリィが感想を洩らす。こりゃあ、持たせるのはダメっぽそうだ。
「ローリィに持たせると臭いや血が付きそうだな…。ボックスに入れとくか」
狼に触れ、アイテムボックスに収納していく。リストに表示されたのを確認してから帰路に着く。
「ねーねー。あたし何の為に連れてきたの?」
「ん?……あー、えーっとだな……」
……どうしよう。本当の事を話すべきか??…いやダメだ。そんな事言ったらローリィが悲しむ!
逡巡していると、脳裏に閃くものがあった。
「あー……ローリィと散歩してみたかっただけだよ」
……これなら無難な理由になるはず!!
「ご、ご主人様っ!!!!」
口元を両手で抑え、目には涙が少し浮かんでいる。
あれっ??もしかして、分岐ルートだった??
「う、嬉しいですっ!!……えへへっ、チカちゃん達に自慢しよーっと!」
ああ……これは変なフラグ立てたな…。エロゲやった事無いけど、恋愛漫画的なフラグは立ったな。
「さぁ!ご主人様っ!オアシスにもどろーよ!」
ご機嫌なローリィに連れられ、俺はオアシスへと戻るのであった。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「ただいまー。食料狩ってきたぞー!」
オアシスに戻ると、談笑中だったのか焚き火を囲んでいた。
「あ、お帰りなさいアルス様。ローリィが迷惑かけませんでしたか?」
「お帰りマスター。ローリィは迷惑かけなかった?」
「むぅ!!あたしそんな事しないよっ!みんなヒドイっ!!」
ローリィが少し頬を膨らませながら、チカ達の元へと走っていく。
「お帰りなさいアルスさん。怪我などはしませんでしたか?」
「ああ、全然余裕だったから怪我なんてしてないよ」
「そうですか、無事で何よりです。……ところで魔物はどこにあるんですか?」
俺とローリィが手ぶらなのを見て、キョロキョロと探している。
「ああ、ボックスにぶち込んでるよ。……ほら」
目の前の机に狼を乗せる。腹が裂かれ血の臭いが辺りに広がる。
「で、でしたね。あるすさんはくうかんまほうつかえましたね」
鼻をつまみながら思い出したようにフィンが喋る。しかし、その事を知らない人物がいた。
「ア、アルスよ…。いま何をしたんだ?」
「あー……そういや、言ってなかったな。俺、空間魔法を使えるんだ」
「なにっ!?勇者様しか使えないというあの魔法か!?」
「ああ、そうらしいね。けど、俺の生まれ育った街では使える人は他にもいたし、そこまで珍しくは思わなかったよ」
「そうか…やはり……。だがなアルス、その魔法はサガンの街、いや国中探しても見つかっていないのだ。あまり、知らぬ奴の前では使用するなよ?」
「そうだな…。気を付けとくよ」
コンラッドの忠告を脳みそに書き留めておく。具現化出来るように、もう一回リストを見直して覚えておこう。
気を取り直して、俺はさっき狩ってきた狼を調理する事にした。ジョブを変更し、机に乗っている狼に『消臭』の魔法をかける。
……うん、血生臭いのは消えたな!
調理セットにある調味料を加え、レシピをタップする。所詮、ただの肉なのでバーベキューにしようと思う。肉を一口大に切り、ボックスに大量にある木の矢に刺していく。
「はーい。出来たぞー!味付けはしてあるから、お好みの焼き加減で食べてくれ」
意外と狼って食べる部分無いんだな。7匹狩ったけど、25本ぐらいにしかならない量だった。
焚き火の所に持って行こうとしたその時、俺の脳内に聞き覚えのある音楽がなったのだった。
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