放置ゲー廃課金者、転生する!

にがよもぎ

文字の大きさ
18 / 135

017話

しおりを挟む
………はいっ!もう出来上がりました!流石だな俺。レシピをタップするだけで、出来るんだもん。コンラッド達も俺の美技に酔いしれていやがるぜ!

「ア、アルスよ……。今のは一体……?」

ですよねー。そういう反応当たり前だよねー。そりゃポンって出てきたら驚くよね。

「アルスさんが目にも留まらぬ速さで動いたと思ったら……料理が出てきたんですけど…」

驚愕の表情で、コンラッド達は俺を見つめる。説明は上手く出来ない自信があるので、誤魔化すことにしよう。

「くっくっくっ。驚いたか?これが全ての冒険者の頂点、最高峰の調理スキルだ!」

…そんなもの無いんだけどねー。ちょっと大袈裟に言ってみた。

「さ、さすがアルスさん……。なんていうか…規格外ですね…」

「だな……。普通は考えられんが…『アルスだから』という事だな…」

お?なんだか知らんが納得したか?

「まぁ、それは置いといて。早く食事にしようぜ?チカ達が待ちきれないって顔してるし」

おあずけされた犬みたいに待っているチカ達が、目に入ったのかコンラッド達は慌てて机を持ってくる。

「さぁ、召し上がれ!……一応おかわりはあるからな」

勢いよく食べるコンラッド達。暖かい食事が嬉しかったのか無言で食べ進む。チカ達も笑顔を浮かべているし、美味しい事は間違いないだろう。

「旨いっ!!旨いぞアルスッ!!」
「すごい美味しいです!!お金取れるレベルですよ!!」
「うめぇ…うめぇよ……。こんな所で、クソ旨い飯が食べれるなんて…」
「ああ、選ばれた時は最悪だったが、この料理が食べれた事で帳消しだな!」

最後に愚痴が聞こえた気がするが、そっとしておこう。でもいいなぁ…。食事が美味しく感じれるって。

「ご主人様ぁー!!おかわりくださいっ!」

「ああ、いいよ。ちょっと待ってな」

みんなめちゃくちゃ食べるなぁ…。もう料理無くなったぞ。…あ、そういえば!

「この前作ったヤツだけど、いいか?」

「なんでもいいよ!!」

確かオアシスで調理したのがあったはず……。あ、あったあった。

リストから取り出すと、驚くべき事にその料理からは湯気が出ていた。

(えっ!?なんで湯気が??日にち経ってるはずなのに…)

時間がかかりそうな問題だったので、とりあえず後回しにしておく。ストック分の料理をローリィ達とコンラッド達に渡す。

「これも旨いっ!!アルスよ、出資するから店を開かんか?」

「アルスさんが店を出すなら、僕も出資しますよっ!」

「ははは、まぁ冒険者を引退するか、暇になったら店でも開こうかな」

談笑しながら、あっという間にストック分の料理を食べ終わるチカ達。まだまだ食べれそうな顔してるけど、本当にどこで消化されてんのかな?

「チカ、まだ食べるか?」

「は、はい…。でも材料とか無いですよね…」

「んー……。食べれそうな魔物とか出ないのかな?フィン、オアシス周辺で食べれそうな魔物とかいるか?」

満足そうに食後のお湯を飲んでいるフィンに話しかける。

「食べれそうな魔物…ですか?……僕は食べた事ないですけど、『砂漠の狼デザート ウルフ』は美味しいって叔父さんに聞いたことがあります」

「へぇー、そいつらは強いのか?」

「単体はそこまで強くないです。けれど、群れで生活しているので、厄介ではあります」

フィンの実力的にはって事だろうな…。なら、俺にとってはかなり弱い方だろうな。

「そっかそっか、ありがとさん!ちょっと、その魔物探してくるわ!」

俺の平然とした言葉に焦ったのか、コンラッドとフィンが止めに入る。

「し、正気ですか!?辺りはもう暗いですし、危ないですよ??」
「待て待て!いくらお前が強くても、勝手な行動は許さんぞ!?」

「えー?別に遠くまで行くつもりないし、良くない?」

俺の考えでは、『狩人』にジョブ変更して、『索敵』する予定なんだけど…。

「ならんならん!!お前が強いのは知っているが、認められん!」

「ならさ、ローリィを連れて行くよ。2人なら問題無いだろ?」

ローリィが戦闘力高いのは、2人とも知っているだろうし…。ギルドでも問題起こしたし、ドーンも殴ったしな。

「むぅ………。なら15分だけ猶予をやる。それまでに帰ってくると約束するなら、許そう!」

「短っ!!じゃー、さっさと狩ってくるわ!…ローリィ、行くぞ!」

「はいっ!ご主人様っ!!」

どうしても付いていきたいと言うチカ達をなだめてから、俺達はオアシスの外へと出る。時間も無い事だし、さっさとやるか!

「っしゃあっ!--『索敵』!」

『Destiny』ではマップに赤く表示されていたのだが、この世界では仕様が違った様だ。なんというか、脳に直接表示されると言えばいいかな?とりあえず、あそこに敵がいる!と認識出来る。

「お!案外早く見つけられたな。えーっと……?7匹…北東方面か。よし!ローリィ、行くぞ!」

ジョブスキル、『忍び足』と『歩行速度上昇』を使い、砂漠の狼デザート ウルフの群れへと走り寄る。

「ご主人様っ。あたしが狩ってこようか?」

群れの近くで様子見していると、ローリィが話しかけてきた。

「いや、お前がやっちゃうと跡形も無くなりそうだからダメ」

「そんなぁ……。この為に呼ばれたと思ってたのに…」

ごめんね?納得させる為にローリィの名前を出しただけだよ?……とは言える筈もなく、苦笑しつつ頭を撫でる。こうすれば、誤魔化せるからな!!

「ローリィには俺が狩った獲物を持ってもらう予定だからな。それまでは大人しくしとけよ?」

撫でた事により、ローリィは文句を言う事なく笑顔で頷く。……まじチョロいわ。

「さて……。初期武器持ってたかな…?他の武器じゃバフ強いのしか無いからなぁ……」

リストを探すが、やはり初期武器は持っていなかった。しかし、何故か矢だけは大量にあったのでそれを使う事にした。

「手裏剣とか持っとけば良かった…。しゃーないな、『キューピッドの弓』を使うかな」

『キューピッドの弓』は俺が持っている中で1番攻撃力の低い武器だ。自分より弱い相手に通用する『即死系』のスキルが備わっている。ゲームで狩場にしていた場所は即死態勢持ってたし、使う事は無かったが、レアリティは高いので捨てれなかったのだ。

「さぁーて、即死が効くかな?……とりあえず、通常攻撃しとくか」

弓を引きしぼり、頭を狙う。生きてた頃は弓なんて使った事無いけど、自然と打つことが出来た。

音もなく、恐るべき速度で矢が命中する。攻撃力が高かったのか、貫通して2匹仕留めた。

「あー、やっぱり弱いヤツか。…さて、あとは5匹…」

スキル『連射』と『速射』を使い、瞬く間に魔物の群れを狩り終える。何となく弓の使い方を実感したし、良い実験だった。

「さっすがご主人様っ!!あっという間だったね!!」

ローリィが心からの祝福をしてくれる。その言葉に少しだけ照れながら、狼の所へと向かう。

「ここで血抜きしておくかな…。ジョブ変えてっと……」

狼の腹を捌き、内臓を取り出す。砂漠に埋めた後に、縄でくくる。

「うぇっ……なかなかグロいな…。ローリィに持たせるのもなんだなぁ…」

「いがいとくさいんだね。きもちわるい!」

鼻をつまみながらローリィが感想を洩らす。こりゃあ、持たせるのはダメっぽそうだ。

「ローリィに持たせると臭いや血が付きそうだな…。ボックスに入れとくか」

狼に触れ、アイテムボックスに収納していく。リストに表示されたのを確認してから帰路に着く。

「ねーねー。あたし何の為に連れてきたの?」

「ん?……あー、えーっとだな……」

……どうしよう。本当の事を話すべきか??…いやダメだ。そんな事言ったらローリィが悲しむ!

逡巡していると、脳裏に閃くものがあった。

「あー……ローリィと散歩してみたかっただけだよ」

……これなら無難な理由になるはず!!

「ご、ご主人様っ!!!!」

口元を両手で抑え、目には涙が少し浮かんでいる。

あれっ??もしかして、分岐ルートだった??

「う、嬉しいですっ!!……えへへっ、チカちゃん達に自慢しよーっと!」

ああ……これは変なフラグ立てたな…。エロゲやった事無いけど、恋愛漫画的なフラグは立ったな。

「さぁ!ご主人様っ!オアシスにもどろーよ!」

ご機嫌なローリィに連れられ、俺はオアシスへと戻るのであった。


♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎

「ただいまー。食料狩ってきたぞー!」

オアシスに戻ると、談笑中だったのか焚き火を囲んでいた。

「あ、お帰りなさいアルス様。ローリィが迷惑かけませんでしたか?」

「お帰りマスター。ローリィは迷惑かけなかった?」

「むぅ!!あたしそんな事しないよっ!みんなヒドイっ!!」

ローリィが少し頬を膨らませながら、チカ達の元へと走っていく。

「お帰りなさいアルスさん。怪我などはしませんでしたか?」

「ああ、全然余裕だったから怪我なんてしてないよ」

「そうですか、無事で何よりです。……ところで魔物はどこにあるんですか?」

俺とローリィが手ぶらなのを見て、キョロキョロと探している。

「ああ、ボックスにぶち込んでるよ。……ほら」

目の前の机に狼を乗せる。腹が裂かれ血の臭いが辺りに広がる。

「で、でしたね。あるすさんはくうかんまほうつかえましたね」

鼻をつまみながら思い出したようにフィンが喋る。しかし、その事を知らない人物がいた。

「ア、アルスよ…。いま何をしたんだ?」

「あー……そういや、言ってなかったな。俺、空間魔法を使えるんだ」

「なにっ!?勇者様しか使えないというあの魔法か!?」

「ああ、そうらしいね。けど、俺の生まれ育った街では使える人は他にもいたし、そこまで珍しくは思わなかったよ」

「そうか…やはり……。だがなアルス、その魔法はサガンの街、いや国中探しても見つかっていないのだ。あまり、知らぬ奴の前では使用するなよ?」

「そうだな…。気を付けとくよ」

コンラッドの忠告を脳みそに書き留めておく。具現化出来るように、もう一回リストを見直して覚えておこう。

気を取り直して、俺はさっき狩ってきた狼を調理する事にした。ジョブを変更し、机に乗っている狼に『消臭』の魔法をかける。

……うん、血生臭いのは消えたな!

調理セットにある調味料を加え、レシピをタップする。所詮、ただの肉なのでバーベキューにしようと思う。肉を一口大に切り、ボックスに大量にある木の矢に刺していく。

「はーい。出来たぞー!味付けはしてあるから、お好みの焼き加減で食べてくれ」

意外と狼って食べる部分無いんだな。7匹狩ったけど、25本ぐらいにしかならない量だった。

焚き火の所に持って行こうとしたその時、俺の脳内に聞き覚えのある音楽がなったのだった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...