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035話
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♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「ご主人様ぁー!朝だよー!!起きて起きてー!」
ローリィの言葉で目を覚ます。昨日はベッドにチカ達とレインを寝かせて、俺はソファーで寝ていた。
「ふぁ…。おはようローリィ。…レインは?」
「レインちゃんは今お風呂にチカちゃんと入ってる!」
「ああ…。んなら、風呂から上がったら飯食いに行くか」
ナナが俺に暖かいお茶を出してくれた。それを飲みながらレイン達が上がってくるのを待つ。
「マスター。今日はレインの服を買いに行かないか?」
「そうだな。あの汚い服を着せるのは嫌だしそうするか」
「あの服はどうする?処分か?」
「処分するしか無いだろ。……思い出の品とか言われたら怖いからレインに聞いてからな」
「わかった」
前世じゃその事で怒られた記憶があるからな…。思い出の品だったらちゃんとしまっておけよ!と喧嘩したのが懐かしく感じるよ。
昔を思い出していると、どうやら風呂からチカ達が上がってきた。
「ナナー!レインの服どこにやったのー?」
「レインの服はここにある。汚いから代わりにボクの服を置いている。それを着させて」
「あ、これね!」
…大丈夫かな?1番身長が低いのはナナだけど、それよりもレインは小さいよ?
「ナナー!これ大き過ぎるわよー!」
「チカ、それは魔法の服。魔力を通せばサイズは合う」
…魔法って便利だぁ。そんな機能が有れば服屋で探す必要はないんじゃ無いかな?
着替え終わったチカ達が風呂場から出てきた。綺麗になってナナの服を着たレインを見て、やっぱり女の子なんだなーと思った。
「お待たせしました。アルス様、レインは綺麗になりましたよ」
「ありがと。…うん、やっぱりこう見ると女の子だね」
「…女の子だって言ったじゃんか」
「こう見ると、な。それにしても服似合ってるじゃんか」
「……ナナお姉ちゃんから借りた物だから」
「レイン、とても似合ってる。その服はもうレインにあげるから大事にして」
「いいの?」
「良い。それと、この服はどうする?ボクは捨てるつもりだけど」
「捨てていいよ。それはただの服だし」
「わかった。なら捨てる」
レインの髪を乾かしてから俺達は食堂へ降りていった。朝の忙しい時間帯が過ぎたのか、食堂には数人しか居なかった。
「レイン、食べたいものがあったらなんでも頼めよ?」
「…うん」
「レインちゃん、ご主人様はお金持ってるから気にしないでいいよ!」
「そう言い方すんな!…レイン、食べきれる量を頼めよ?残すのは許さんからな」
「………わかった。チカ姉ちゃん、これなんて読むの?」
「これ?これはね………」
仲睦まじい光景を見ながら、俺はレインに教育が必要だと考えていた。年齢的には多分小学2年生ぐらいだろうが、文字が読めないのは致命的だ。ま、もしかしたらレインの居た村では違う文字を使っていたのかも知れないけど、人間の世界で暮らすんだし勉強させないとな。
「……僕これ食べてみたい」
「それじゃ注文しましょ!私がお手本を見せるから真似してね!」
チカも同じ事を考えていたのか、レインに色々と教えていた。…チカに丸投げして良かったー!!
テーブルに料理が並び食べ始める。箸の持ち方や食べ方などチカ達はレインにしっかりと教えていく。不器用ながらも頑張っている姿に少しだけほっこりした。
「ごちそうさまでした…。これで合ってる?」
「うん!合ってるよ!」
「偉いなレイン。ちゃんと出来るようになったじゃねーか」
「チカ姉ちゃん達の教え方が良いから…」
レインから『お姉ちゃん』と呼ばれる度、チカ達は嬉しそうにしていた。特にナナは無駄にヤル気を見せていたので少しだけ心配ではあるが。
「今日の予定なんだけどさ、さっきナナとも話したんだけどレインの服を買いに行こうと思う」
「賛成!!」
「レイン、沢山買い物しましょうね!」
「…買ってくれるの?」
「世話をするって約束したからな。そ、の、ま、え、に!お前はまず謝りに行く所があるからな」
「謝り…?どこに?」
「そりゃお前が食べ物を盗んだお店全部だよ。生きる為とは言え、盗むのは犯罪なんだからな!」
「……どこで盗んだとか覚えてない」
「なら、全部のお店を回って行こう。そして、店主に自分で謝るんだぞ?それが出来なきゃ買い物は無しだ」
「……わかった。謝るけど近くにいてくれる?」
「もちろん。その時は俺も一緒に謝る予定だからな」
まぁ、謝る時には色々と嘘をつかなきゃならないと思うけど誠心誠意、心から謝罪すれば許してはくれるだろう。ある程度、酷い事になると覚悟だけはしておくか。
食事を終え、そのまま外へ出て行く。不安そうにレインは外に出るが覚悟を決めて貰わなきゃならない。
ナナがレインの手を取り、一緒に歩き出す。ゆっくりではあるが、ナナ達が近くにいる事で少しは安心した事だろう。
「それじゃ、商店街に行くぞ!」
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「もう2度とあんな真似すんなよ!!次は許さねぇからな!!!」
「すいませんでした!!!」
謝罪行脚すること2時間、全部のお店を謝罪し終えた。被害総額はそこまで高くは付かなかったが、結構な量を盗んでいた。
各店を回りながら、俺はレインの保護者になった事、今までレインが盗んだ商品の賠償、そしてレインの謝罪をしていった。笑って許してくれる人もいれば、先程のように怒鳴る人もいた。でも、怒鳴る人達は真剣にレインに教える為に怒っているように思えた。
街の人たちも貧困街の子供達がどういう境遇かはわかっているみたいだった。けれど、した事は犯罪なのでちゃんと謝りに来たレインを最終的には優しく叱っていた。
レインはというと、目を腫らし鼻水を垂らしながらしっかり店主に頭を下げていた。小さい声で謝るかと思っていたけど、しっかりと大声で全員に謝っていた。
「レイン…。もう2度とこんな事はしちゃダメよ?」
「うん……うん…」
「ちゃんと謝れて偉い。よく頑張った」
「うんうん!それじゃ、こんな事はもうしないってあたし達と指切りげんまんしよー!」
チカ達がレインを慰めている間、最後に謝った店主と話をしていた。
「兄ちゃん、面倒みるのはいいけどよ、これっきりにしていた方がいいぜ?」
「もちろんさ。俺だってもう遠慮したいよ」
「ははは、ちげえねぇ。……ただよ、あの子を保護したって噂はすぐ広がるだろうな。もしかしたら、貧困街の子供達が兄ちゃん達に助けを求めるかも知れねぇ。その時はどうするんだ?」
「その時はその時で考えるよ。一先ずはあの子を守んなきゃな」
「…そうかい。なら厄介事に巻き込まれないよう祈っとくんだな」
「そうしておくよ。……っと、それじゃあの子の服を買いに行ってくるよ」
「ああ、行ってらっしゃい。腹が減ったりしたら俺の店にまた来てくれよ!」
おっさんと別れを告げ、チカ達と合流する。そのままおっさんに聞いた服屋へと向かう事にした。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「さーて、買い物の時間だな。じゃ、後は任せた!」
「え?アルス様も一緒に選ぶのでは?」
「俺、ファッションセンス無いし女物の服って分かんないからさー」
「え??あたし達の服はご主人様が選んだんでしょ?」
……そうだけどさ。それは運営が何パターンか出しててその中から強いヤツとかエロいのを選んでいただけであって、一から考えるのとは違うんだよ。
「ほ、ほら俺は大人の女性に似合うのは分かるんだけど、子供服はさっぱりなんだ。そういうのはチカ達の方が優れていると俺は思うんだ!」
言ってる事は無茶苦茶だが、要は楽をしたいんだ。女性の買い物って時間かかるっていうじゃん。その間俺は外でぶらついていたい。
「んー、よく分かんないけどレインちゃんの服はあたし達が選んでいいんだね?」
「任せる。あ、ちゃんとレインの意見も聞くように!」
そう言って俺は外へ出ようとしたのだが誰かに服を掴まれた。振り向くと無表情のナナが後ろにいた。
「マスター。どこに行くんだ?」
「どこって…。長くなると思うから外でもぶらつこうかなぁって」
「会計はどうする。ボク達はお金持ってない」
「…ああ、確かにそうだな。んじゃ、金を渡しとくよ」
金をナナに渡そうと、ポケットをガサガサしているとナナが口を開いた。
「…ボク達も服をここで買おうと思ってる。もしかしたらお金が足りなくなるかもしれない」
「ナナ達も買いたいのか?んなら、かなり多めに渡しとくよ」
「レインの服も似合ってるかどうかマスターの意見が欲しい」
「さっきも言ったろ?子供服はさっぱりってさ」
「男の意見は必要。ボク達はレインに甘いから」
「別にそれでも良いよ?」
「ダメ。マスターが居ないと参考にならない」
……なんでこんな俺を引き止めるんだ?別に好き勝手やって良いって言ってるのに…。
「それにボク達も服を買いたい。だから、マスターはここにいるべき」
ナナの言葉には何故か逆らえなかった。目に力があると言うかなんというか、外に出るのは難しいと感じた。
「……わかったよ。ならここに居るよ」
「良かった。ならレインの服を選ぶの手伝って」
「ちょっ……」
強引にナナに手を引かれ、服を選んでいるチカ達の元へと連れていかれた。レインはチカ達によって試着室に閉じ込められていた。試着室の前には大量の子供服が山積みになっていた。
「レインー!着替え終わった?」
「…うん」
「それじゃ出てきてあたし達に見せてー!」
「…は、恥ずかしい」
「気にしないの。私達しかここには居ないんだから」
おずおずとカーテンを開け、着替えたレインが出てくる。髪型に合わせているのかボーイッシュな格好だ。
「ど、どう…?」
もじもじと俯きながらレインはチカ達に意見を問う。
「可愛いっ!!これは購入決定ね!」
「似合ってるっ!それじゃ次はこれ着てみよー!」
…なんというか着せ替え人形が目の前にいるという感想だった。試着姿を見てチカが購入を決定し、ローリィが次に着る服を渡すという感じであった。
「…おいおい。ちゃんとレインの意見も聞いてやれって」
「あ、アルス様!ちゃんとレインの意見も聞いてますよ」
聞いているようには思えなかったけどなぁ…。
「あ、ご主人様も手伝って!あたしは他の服を探してくるから!」
「は、はい!」
「ご主人様ぁー!朝だよー!!起きて起きてー!」
ローリィの言葉で目を覚ます。昨日はベッドにチカ達とレインを寝かせて、俺はソファーで寝ていた。
「ふぁ…。おはようローリィ。…レインは?」
「レインちゃんは今お風呂にチカちゃんと入ってる!」
「ああ…。んなら、風呂から上がったら飯食いに行くか」
ナナが俺に暖かいお茶を出してくれた。それを飲みながらレイン達が上がってくるのを待つ。
「マスター。今日はレインの服を買いに行かないか?」
「そうだな。あの汚い服を着せるのは嫌だしそうするか」
「あの服はどうする?処分か?」
「処分するしか無いだろ。……思い出の品とか言われたら怖いからレインに聞いてからな」
「わかった」
前世じゃその事で怒られた記憶があるからな…。思い出の品だったらちゃんとしまっておけよ!と喧嘩したのが懐かしく感じるよ。
昔を思い出していると、どうやら風呂からチカ達が上がってきた。
「ナナー!レインの服どこにやったのー?」
「レインの服はここにある。汚いから代わりにボクの服を置いている。それを着させて」
「あ、これね!」
…大丈夫かな?1番身長が低いのはナナだけど、それよりもレインは小さいよ?
「ナナー!これ大き過ぎるわよー!」
「チカ、それは魔法の服。魔力を通せばサイズは合う」
…魔法って便利だぁ。そんな機能が有れば服屋で探す必要はないんじゃ無いかな?
着替え終わったチカ達が風呂場から出てきた。綺麗になってナナの服を着たレインを見て、やっぱり女の子なんだなーと思った。
「お待たせしました。アルス様、レインは綺麗になりましたよ」
「ありがと。…うん、やっぱりこう見ると女の子だね」
「…女の子だって言ったじゃんか」
「こう見ると、な。それにしても服似合ってるじゃんか」
「……ナナお姉ちゃんから借りた物だから」
「レイン、とても似合ってる。その服はもうレインにあげるから大事にして」
「いいの?」
「良い。それと、この服はどうする?ボクは捨てるつもりだけど」
「捨てていいよ。それはただの服だし」
「わかった。なら捨てる」
レインの髪を乾かしてから俺達は食堂へ降りていった。朝の忙しい時間帯が過ぎたのか、食堂には数人しか居なかった。
「レイン、食べたいものがあったらなんでも頼めよ?」
「…うん」
「レインちゃん、ご主人様はお金持ってるから気にしないでいいよ!」
「そう言い方すんな!…レイン、食べきれる量を頼めよ?残すのは許さんからな」
「………わかった。チカ姉ちゃん、これなんて読むの?」
「これ?これはね………」
仲睦まじい光景を見ながら、俺はレインに教育が必要だと考えていた。年齢的には多分小学2年生ぐらいだろうが、文字が読めないのは致命的だ。ま、もしかしたらレインの居た村では違う文字を使っていたのかも知れないけど、人間の世界で暮らすんだし勉強させないとな。
「……僕これ食べてみたい」
「それじゃ注文しましょ!私がお手本を見せるから真似してね!」
チカも同じ事を考えていたのか、レインに色々と教えていた。…チカに丸投げして良かったー!!
テーブルに料理が並び食べ始める。箸の持ち方や食べ方などチカ達はレインにしっかりと教えていく。不器用ながらも頑張っている姿に少しだけほっこりした。
「ごちそうさまでした…。これで合ってる?」
「うん!合ってるよ!」
「偉いなレイン。ちゃんと出来るようになったじゃねーか」
「チカ姉ちゃん達の教え方が良いから…」
レインから『お姉ちゃん』と呼ばれる度、チカ達は嬉しそうにしていた。特にナナは無駄にヤル気を見せていたので少しだけ心配ではあるが。
「今日の予定なんだけどさ、さっきナナとも話したんだけどレインの服を買いに行こうと思う」
「賛成!!」
「レイン、沢山買い物しましょうね!」
「…買ってくれるの?」
「世話をするって約束したからな。そ、の、ま、え、に!お前はまず謝りに行く所があるからな」
「謝り…?どこに?」
「そりゃお前が食べ物を盗んだお店全部だよ。生きる為とは言え、盗むのは犯罪なんだからな!」
「……どこで盗んだとか覚えてない」
「なら、全部のお店を回って行こう。そして、店主に自分で謝るんだぞ?それが出来なきゃ買い物は無しだ」
「……わかった。謝るけど近くにいてくれる?」
「もちろん。その時は俺も一緒に謝る予定だからな」
まぁ、謝る時には色々と嘘をつかなきゃならないと思うけど誠心誠意、心から謝罪すれば許してはくれるだろう。ある程度、酷い事になると覚悟だけはしておくか。
食事を終え、そのまま外へ出て行く。不安そうにレインは外に出るが覚悟を決めて貰わなきゃならない。
ナナがレインの手を取り、一緒に歩き出す。ゆっくりではあるが、ナナ達が近くにいる事で少しは安心した事だろう。
「それじゃ、商店街に行くぞ!」
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「もう2度とあんな真似すんなよ!!次は許さねぇからな!!!」
「すいませんでした!!!」
謝罪行脚すること2時間、全部のお店を謝罪し終えた。被害総額はそこまで高くは付かなかったが、結構な量を盗んでいた。
各店を回りながら、俺はレインの保護者になった事、今までレインが盗んだ商品の賠償、そしてレインの謝罪をしていった。笑って許してくれる人もいれば、先程のように怒鳴る人もいた。でも、怒鳴る人達は真剣にレインに教える為に怒っているように思えた。
街の人たちも貧困街の子供達がどういう境遇かはわかっているみたいだった。けれど、した事は犯罪なのでちゃんと謝りに来たレインを最終的には優しく叱っていた。
レインはというと、目を腫らし鼻水を垂らしながらしっかり店主に頭を下げていた。小さい声で謝るかと思っていたけど、しっかりと大声で全員に謝っていた。
「レイン…。もう2度とこんな事はしちゃダメよ?」
「うん……うん…」
「ちゃんと謝れて偉い。よく頑張った」
「うんうん!それじゃ、こんな事はもうしないってあたし達と指切りげんまんしよー!」
チカ達がレインを慰めている間、最後に謝った店主と話をしていた。
「兄ちゃん、面倒みるのはいいけどよ、これっきりにしていた方がいいぜ?」
「もちろんさ。俺だってもう遠慮したいよ」
「ははは、ちげえねぇ。……ただよ、あの子を保護したって噂はすぐ広がるだろうな。もしかしたら、貧困街の子供達が兄ちゃん達に助けを求めるかも知れねぇ。その時はどうするんだ?」
「その時はその時で考えるよ。一先ずはあの子を守んなきゃな」
「…そうかい。なら厄介事に巻き込まれないよう祈っとくんだな」
「そうしておくよ。……っと、それじゃあの子の服を買いに行ってくるよ」
「ああ、行ってらっしゃい。腹が減ったりしたら俺の店にまた来てくれよ!」
おっさんと別れを告げ、チカ達と合流する。そのままおっさんに聞いた服屋へと向かう事にした。
♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎
「さーて、買い物の時間だな。じゃ、後は任せた!」
「え?アルス様も一緒に選ぶのでは?」
「俺、ファッションセンス無いし女物の服って分かんないからさー」
「え??あたし達の服はご主人様が選んだんでしょ?」
……そうだけどさ。それは運営が何パターンか出しててその中から強いヤツとかエロいのを選んでいただけであって、一から考えるのとは違うんだよ。
「ほ、ほら俺は大人の女性に似合うのは分かるんだけど、子供服はさっぱりなんだ。そういうのはチカ達の方が優れていると俺は思うんだ!」
言ってる事は無茶苦茶だが、要は楽をしたいんだ。女性の買い物って時間かかるっていうじゃん。その間俺は外でぶらついていたい。
「んー、よく分かんないけどレインちゃんの服はあたし達が選んでいいんだね?」
「任せる。あ、ちゃんとレインの意見も聞くように!」
そう言って俺は外へ出ようとしたのだが誰かに服を掴まれた。振り向くと無表情のナナが後ろにいた。
「マスター。どこに行くんだ?」
「どこって…。長くなると思うから外でもぶらつこうかなぁって」
「会計はどうする。ボク達はお金持ってない」
「…ああ、確かにそうだな。んじゃ、金を渡しとくよ」
金をナナに渡そうと、ポケットをガサガサしているとナナが口を開いた。
「…ボク達も服をここで買おうと思ってる。もしかしたらお金が足りなくなるかもしれない」
「ナナ達も買いたいのか?んなら、かなり多めに渡しとくよ」
「レインの服も似合ってるかどうかマスターの意見が欲しい」
「さっきも言ったろ?子供服はさっぱりってさ」
「男の意見は必要。ボク達はレインに甘いから」
「別にそれでも良いよ?」
「ダメ。マスターが居ないと参考にならない」
……なんでこんな俺を引き止めるんだ?別に好き勝手やって良いって言ってるのに…。
「それにボク達も服を買いたい。だから、マスターはここにいるべき」
ナナの言葉には何故か逆らえなかった。目に力があると言うかなんというか、外に出るのは難しいと感じた。
「……わかったよ。ならここに居るよ」
「良かった。ならレインの服を選ぶの手伝って」
「ちょっ……」
強引にナナに手を引かれ、服を選んでいるチカ達の元へと連れていかれた。レインはチカ達によって試着室に閉じ込められていた。試着室の前には大量の子供服が山積みになっていた。
「レインー!着替え終わった?」
「…うん」
「それじゃ出てきてあたし達に見せてー!」
「…は、恥ずかしい」
「気にしないの。私達しかここには居ないんだから」
おずおずとカーテンを開け、着替えたレインが出てくる。髪型に合わせているのかボーイッシュな格好だ。
「ど、どう…?」
もじもじと俯きながらレインはチカ達に意見を問う。
「可愛いっ!!これは購入決定ね!」
「似合ってるっ!それじゃ次はこれ着てみよー!」
…なんというか着せ替え人形が目の前にいるという感想だった。試着姿を見てチカが購入を決定し、ローリィが次に着る服を渡すという感じであった。
「…おいおい。ちゃんとレインの意見も聞いてやれって」
「あ、アルス様!ちゃんとレインの意見も聞いてますよ」
聞いているようには思えなかったけどなぁ…。
「あ、ご主人様も手伝って!あたしは他の服を探してくるから!」
「は、はい!」
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