放置ゲー廃課金者、転生する!

にがよもぎ

文字の大きさ
98 / 135

096話 -いざ、ジュエリア王国へ 5-

しおりを挟む
♦︎♢♦︎♢♦︎♢♦︎♢

誰か---
誰か私の娘を---

「アルス様ー!お時間ですよー?」

「………………んぁ?」

身体が揺れるのを感じ、俺はゆっくりと目を開ける。

「アルスの寝顔って意外に不細工なのね」

「……うるせぇ」

ベッドから起き上がるとチカとレインが横に立っていた。寝起き様に悪口を言われるのは初めてだったが、気にしない事にした。

「悪りぃ悪りぃ……」

「もう皆下で待ってますわ」

「ん。すぐ行く」

「あ、そうだ。アルス、私に会う服を持ってない?」

レインから唐突に着替えを催促される。

「チカから借りなかったの?」

「好みのが無かったのよね…」

「じゃあローリィのは?」

「………体格が違うから着れないんですけど」

「………………あ、そっか」

「そっかって何よ!!」

「すまんすまん…。でも俺、男物しか持ってねーぞ?」

「……最悪それでいいかな。どんなのがあるの?」

「えーっと………」

そう言いながらアイテムリストを開く。

「んー……執事服かサラリーマンスーツ。成金スタイルとカジュアルな服がチラホラかな」

「…………やっぱり辞めとく。チカお姉ちゃんに借りる」

「そうしろ。……でも、そのままでいいんじゃねーの?それも似合ってると思うけど…」

「女の子は外に出る時はちゃんとしたのに着替えるのよ?アルスみたいに年がら年中鎧を着とくってのは無理!」

「そんな事思ってたのかよ……」

「まぁまぁ2人とも。とりあえず下に降りましょう。アルス様、私はレインを着替えさせてから下に降りますわね?」

「はーい」

チカ達が出た後、俺も服を着替える。『鎧ばっか』という言葉がずっと残り、アイテムリストを見ながら選ぶ。

「……これで良いよな?」

そう思って選んだのは『漆黒セット』というコスチュームだ。これは課金ガチャのハズレ枠--基本的に男物の服は無い--で、チカ達のコスチュームガチャを回した時に大量に出てきたものだ。…まぁ、一応見た目装備枠にはピッタリなんで限界突破させては居たけど……役に立つとは思わなかった。

「……何か真っ黒!とか言われそうだ」

黒のジーンズに、黒色のシャツ。黒色の靴に黒色の靴下ともう黒尽くめだ。……ネタコスチュームとして『黒づくめの全身タイツ』という物があるが、それは某探偵漫画の犯人姿そのものである。流石にそれは着れないけどね…。

着替えを済ませたあと下へと降りる。するとそこには何故か着飾ったローリィとナナがオニキス夫妻と立っていた。

「え………何その格好?」

「え?似合わない??」

「いや………似合ってるけど………それって『夜の蝶』シリーズだよね?」

ナナとローリィはグルグル巻の貝みたいな髪型で、タイトなワンピースを着ていた。ナナの格好は髪色に合わせた淡い青色のフレア系のワンピースで、白い太ももが男心をくすぐる。ローリィの格好はスタイルを全面的に出したオフショルダーの真紅のワンピースだ。もう目のやり場が無くてマジで困る。

「マスター。チカとレインは?」

「今着替え中みたいだぞ。………つか、何でその格好?」

「舐められない為。カイジャから来たからと言って、ボク達は田舎者じゃ無いから」

「どこからそんな知識持ってきたんだよ…」

オニキスさんをチラリと見れば俺と同じ様な表情を浮かべていた。しかし、コーラルさんは幸せそうな表情を浮かべていた。

「アナタ……私もあんな格好をした方が良いかしら?」

「しなくてもコーラルは充分綺麗だよ」

「アラアラ、アナタったら…」

(……仲睦まじくて良い事ですなぁ)

「お待たせしましたわ」

「ごめんねー?」

階段上からチカ達の声が聞こえ、その方向に目を向けるとこれまた同じ様な格好をしていた。チカは淡い緑のロングドレス。スリットが入っておりチカの美脚がより一層際立っていた。レインはというと、多分『夜の蝶』シリーズでは無く『晩餐会』シリーズだと思われる。肌の露出は少なく、ローリィの様に華美な色合いをしてない。少しだけ明るく見える黒色のワンピースを着ているが、逆に淑女な雰囲気を感じる。……まぁチカ達が派手過ぎるからなんだけどね。

(『晩餐会シリーズ』はハズレだと思ってたけど………現物見るとアリだな)

「……アルス。卑猥な視線を感じるんだけど?」

「そそそそんな事かんがえてないぞ!!」

「ご主人様のエッチー」
「マスターはムッツリ」
「……スケベッ!」

「…だからどこでそんな言葉覚えたんだよ!」

チカ達の様な美女にそんな事言われるのは悪くないと、変な感情が芽生えつつも宿屋を出る。出たらやはりというか、野郎からの視線が鬼の様に突き刺さる。中には下衆な笑い声を上げている野郎もいるが、まぁそれはしょうがない。その気持ちは分からなくも無いからね。

「…で?どこに行くんだ?」

「オニキスさんが行きたいお店があるんだってさ」

俺の問いにレインが答え、オニキスさんが店へと案内してくれる。道中、話を聞くと、その店はオニキス夫妻が若い頃から存在しているらしく、デートでよく利用したお店だとか。……ちなみにドレスコードなどは存在してない。ドレスコードがある店は有るみたいだけど……そんな堅苦しい店は嫌だ。

「着きましたよアルスさん。ここが『レガロ』というお店です」

オニキスさんが案内してくれたお店は一風民家かと思うくらいの普通の家だった。しかし、出入口には看板が出ており、『気分に合わせた料理を提供致します』と書かれていた。

「……なんか高そうな雰囲気っつーか…」

「ご安心を。この店はとても安いんですよ。味も文句無しだと私達は思ってます」

「夫との記念日はよくここで食事をしたんです。……何十年振りですけどね?」

「まぁ!そんな素敵なお店に私達を連れて来てくださるなんて!」

「あたし達お邪魔じゃない??思い出を壊しちゃったりしない??」

「ウフフッ。そんな事は無いわローリィちゃん。私達とローリィちゃん達が出会った記念日という事でこのお店を選んだの」

「……嬉しいっ!ありがとうコーラルさん!」

レインがコーラルさんへと抱き付く。しれっとナナもコーラルさんに抱き付いていたのにはビックリしたが、2人の気持ちには俺も笑みを隠せなかった。

(全然何にもしてないんだけど………こんな言葉を言える人間になりてぇな)

「さぁさ、皆さん。早速中へと入りましょう」

オニキスさん先頭に『レガロ』と言うお店に俺達は入店するのであった。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜

放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!? 「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」 不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました

たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

処理中です...