放置ゲー廃課金者、転生する!

にがよもぎ

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100話 -いざ、ジュエリア王国へ 9-

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---誰か。誰か私の娘を。

「…………………んぁっ?!」

誰かに話しかけられた気がして勢いよくベッドから起き上がる。

「……気のせい…か?」

寝ぼけ眼でベッド周辺を見回すが人の気配は無い。

「……生々しい夢だったな」

恐らく明け方であろう景色を窓から見ながら、ついさっきまで見ていた夢を思い出す。

真っ赤に燃える樹々。人々らしきの悲痛な叫び。木が燃える独特の臭いに混じり肉が焼ける様な臭いもしていた。そして、異形の姿をした何かが燃え盛っている場所を走り回っていた。人々らしきと言ったのは、夢に出てきた登場人物は全て真っ黒であったからだ。だが、異形の姿をした奴の顔だけはハッキリと見えた。目は細く黄ばんだ歯を覗かせながらニヤニヤと笑っていた。そして、手に持っていた何かを掲げると、何かを呟いてから振り下ろす。そして冒頭の声が聞こえて目が覚めたと言うわけだ。

「…………風呂入るか」

夢を思い出した所で何か気付くものは無い。所詮、夢は夢でしか無いわけだし、考えるのも無駄だろう。………まぁ生々しい夢だったなとだけ引っかかるが。

「うわっ?!」

ベッドから降りようと思い布団を勢いよく捲ると足元に何かが丸まっていた。それを見た瞬間に声を上げると、丸まっていた物体がモゾモゾと動き出した。

「ん……おはよ、アルス」

「レ、レインか………驚かせんなよ…」

足元に丸まっていたのは子供姿のレインであった。『なんでここに?』、『なんで子供姿なの?』と疑問が浮かんだが、寝起きだったせいか言葉が出てこなかった。

「…まだ朝方じゃん。アルスは早起きだね……」

「変な夢みたから………って!そうじゃなくて!……お前、ここで何してんの?」

「んー……何となく夜中に目が覚めてアルスのベッドで寝ようと思って」

「何で俺のベッドで寝ようとするんだよ…………」

「……怖い夢みたから」

「………はぁ」

見た目は大人ーー今は子供だがーーだけど、怖い夢見たから俺のベッドに来るなんて、やっぱりレインは子供なんだなぁ。

そんなことを思いながらも、レインに布団を被せてからベッドを降りる。

「? どこに行くの?」

布団から顔を覗かせながらレインが話しかける。

「温泉入って来ようかと思って。……完全に目が覚めちゃったからな」

「…私も行く」

「いや、寝てていいぞ?」

「行くったら行くの!準備してくるから待ってて!」

レインはそう言うと布団から飛び出し隣の部屋へと戻っていった。

「レインも昨日のうちに入って無かったのかな?」

窓を開け外の空気を入れながら風呂の準備をする。ボックスから下着類とタオル、そして黄色の桶を取り出す。この桶は『Destiny』で店売りで販売していた盾だ。『おなべのふた』の代わりに運営側が準備した物らしいが、現物を見るとこのちゃっちい桶で攻撃を防げるのかが疑問だ。絶対タックルされただけでボロッボロになると思うんだけどなぁ?あ、ちなみにアヒルさんの玩具は無いよ。

準備し終わり部屋を出るとちょうど隣からレインとナナが出てきた。

「あれ?ナナも目が覚めたの?」

「レインからマスターが温泉に行くと聞いた。なのでボクも行こうと思って」

「…起こされたのかよ」

「お待たせ!早く温泉行こう!」

レインが部屋から出ると同時に、更に隣の部屋の扉が開くのが見えた。

「……あれ?アルス様?どちらに行かれるんですか?」

扉から顔を覗かせたのはチカであった。

「こんな時間に目が覚めちゃったから温泉に入りに行こうと思って。……うるさくしてごめんな?」

うるさくした覚えはないが、レインがバタバタとしたのだろう。そう思った俺はチカへと謝罪する。しかし。

「……………ちょっと待っててください!」

バタンと勢いよく扉が閉まり、バタバタと音がした後、俺と同じ様な温泉道具を持ったチカが出てきた。

「えっ?!」

「お待たせしましたわ」

「おはよーみんな!」

「え?チカ達も温泉行くの??寝てて良いんだよ??」

「ナナ達だけ一緒に入るのはズルイです!私達もご一緒します!!」

「えぇ……?」

別に混浴とかじゃないし、来る必要は無いんだけど……。そんな事を思ったが、チカ達は準備し終わってるし、今更断っても意味が分からない。成り行きではあるが、俺はそのままチカ達と温泉へと向かうのであった。
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