ぬこ様と僕

ギフトスキルと僕

『禍物召喚師サモナー』と呼ばれる職業がある。
そのまんま、禍物召喚サモンという才を賜った人がなる職業で、その効果は契約した禍物エネミーを『何時でも喚び出し』て『自由に使役する』事だ。
禍物は普通の獣より強い。まともに戦えば、雑魚呼ばわりされている野犬でさえ、動物の狼と互角。
強い禍物を従えたサモナーは、冒険者として引っ張りだこなだけじゃない。国に仕官して、国軍の重職に就く事だってある。
完全勝ち組、エリート確定な訳さ。
それに似てはいるけど、まるで違うハズレ。役立たずの代名詞が禍物従属師テイマーだ。
このギフトスキルの持ち主は、禍物を一時的に手懐ける事が出来る。
テイマーの魔力と禍物の力を比べてみて、テイマーが勝ったら禍物に使役印が浮かんで、禍物が分解消滅するまでの間、ある程度の命令が出来る様になる。
サモナーと違って、何時でも喚ぶなんて出来ない。距離が離れたら印が消えてしまう。
そして出来る命令は三つだけだ。
『来い』『守れ』『戦え』
自由自在に操る事が出来るサモナーと、比べる気にもならない。
しかも使役していると、禍物は徐々に分解して単なる禍気になり、拡散して消えてしまう。
インスタント戦力にはなるけど、それだけなんだ。
ちなみに使役している最中の禍物を攻撃すると、いきなり使役印が消えて襲いかかってくる。
ま、当然だけどね。
挙げ句に、ダンジョンの様に禍気が濃い場所では、そもそもスキルが発動しない。
ダンジョンの外で従属テイムしても、ダンジョンに入った途端に使役印が消えてしまう。そうなれば、敵が一匹増えるだけって事になる。
禍物召喚師サモナーの完全下位互換。それが禍物従属師テイマー。
僕が授かったギフトスキル。
だから、僕はハズレスキルのアレックスな訳さ。