ぬこ様と僕

荒谷創

文字の大きさ
上 下
13 / 44

晴れた日と僕

しおりを挟む
雨が続く季節。
苔生の季節でも、たまにカラッと晴れる日がある。
こういう日の事を雨師の息継ぎというけれど、息継ぎ三日でまた雨が降るんだよね。
「とりあえず今日は洗濯だね」
と、言っても自分で洗濯する訳じゃ無いけどね。勿論、自分でも洗えるんだけど、この時期の洗濯場は、洗濯ギルドの人に優先権がある。家事なんかのギフトスキル持ちのおばちゃん達が主になって運営している洗濯ギルドは、この街で敵に回しちゃいけない存在のトップ10にランクインする。
お値段的にバカ高い訳じゃないし、任せて安心、畳み仕上げまできっちり綺麗にが売りだから、全面的に任せるのが吉だね。

洗濯を依頼したら、次はちょっとした加工。
ギルドに納めなかった、形の悪い小振りの白耳茸を下処理して、干す。
コレが宿の厨房で隠し味に大好評なんだよね。女将さんとの直取引にて、僕の食事代は実質タダとなっている。
なんか、白耳茸を栽培している農家のどこも、こういう加工はしないんだよね。
ちゃんと本にも載っている位、普通の事なんだけどなぁ。
軒先に、手作りの乾燥網を吊るして、作業完了。後は雨師の息継ぎが終わるまで干して、粉にすれば出来上がりだ♪

本も虫干ししなきゃね。
カビたりしたら、勿体ない。
実家を出るとき、持って行って良いって言うから遠慮なく持ってきたけど、多分、お金に困ったら売れっていう意味だったんだよね。
出来るだけ、手を付けずにいたいもんだ。

あと今日やる事は、明日の外出の準備だけだ。
明日は久しぶりに街の外に出る。東の森…社に行かないといけないからね。
試したい事もあるし、忙しくなるかな。





しおりを挟む

処理中です...