ぬこ様と僕

白耳塊と僕

門衛さんに滅茶滅茶心配されて、恐縮しながら東門を出る。
雨が上がった昨日、大掛かりな掃討が行われたそうで、ゴブリンは随分減ったらしい。
禍物は倒されてもその内また出てくるけど、散らされた禍気が結合するのにはそれなりに時間が掛かるらしい。
ゴブリンは比較的早く結合するけど、散らされてから二週間位は大丈夫だし、街や街道なんかの人通りがある辺りでは結合しない。
つまり今なら僕みたいなのでも、問題なく出歩ける訳さ。
まあ、油断して死にたくはないから、気をつけて行くけどね。
あ、紫イチゴだ。ラッキー♪

東の森…あっちこっちに白耳茸が。
採らないけどね。今、養殖物も大量に出回っていて、多少大きさや形が良くても値が下がりきっているからね。
他の食用茸や山菜は、ちょこちょこ採る。
これは僕のご飯になる。結構、馬鹿に出来ないんだよ。
おっと、蛇が居るね。
綺麗な紅いアレは、ルビーヴァイパー。
大きさも申し分ない。
いやぁ、ついてるなあ♪

１日晴れたくらいじゃ、まだまだぬかるんでいる階段を登る。ほんとに、これは、骨が、折れる、ね！と。
疲労回復に紫イチゴを一粒ぱくり。
ん～～～酸っぱ甘い♪
ジャムには向かないけど、干せばもっと甘味が増して、疲れた時のおやつにもってこいになるんだよね～♪
休憩を挟みながら、えっちらおっちら登っている最中に、何か見えた。
何だろう。前方、参道の脇に白い塊が…
「うそ。白耳塊？」
人の頭程もある白い茸は、一見巨大な白耳茸に見えるけれど実は全然違う茸だ。
採取後に、適切な処理をしなければ半日と保たずに腐ってしまう白耳塊は、冒険者ギルドでは買い取ってはくれない。
持ち込み、買い取りは薬師ギルドか大きな薬種問屋に限られる。
リュックから、鍋とコンロを準備する。
水もあるし、塩と………