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如何にスーパーハンディキャップマッチとはいえ、勝者ははじめから決まっているバトルだった。
かたや、世に名だたる百傑迷宮『餓骨城』の白骨王
対するは未だ地上へ口を開けてもいない『未完成迷宮』の新米迷宮主だ。
主宰たる『死と獣の神』の開始宣言と共に餓骨城側から、数万にも及ぶ死者の群れが吐き出され『未完成迷宮』側へとなだれ込む。
新米迷宮主は『焔と鉄の神』の使徒であり、『命と泉の女神』の加護を持つ『技巧派』と呼ばれる罠や機巧を得意とするタイプであり、守りに徹すれば堅固であると言われるが、流石に物量差がありすぎる。
途切れることなく侵攻する死者の軍勢は、文字通り味方の屍を乗り越え、罠に掛かってもお構い無しに進み続ける。
観覧している三柱の神
『焔と鉄の神』
『命と泉の女神』
『死と獣の神』
そして、数多の迷宮主
侵攻を命じた白骨王
全員がそう確信していた。
故に……
ぽっかり口を開けた『未完成迷宮』から、地響きをたてて巨大な何かが二体飛び出してきた時に目を見張る事となった。
「な、なんだと!?」
それは、異形の巨人
頭から二本の鎌を生やした髑髏頭の騎士
大蛇の如くうねる竜の首を二本生やした、獣じみた巨人兵
「さあ、蹂躙せよ。ケーセブン、エムツー」
ガオォオオオオン!
グオォオオオオン!
主人の命に巨人達が吠え、死者の軍勢へと突撃する。
「な、なんじゃ!?」
「ゴーレム?でも速すぎる!」
「まるで、生きている騎士の動きだ!」
「ああ!?」
ガオォオオオオン!
髑髏の騎士は、その頭から二本の鎌を引き抜くと、内の一本を投擲した。
投げられた鎌が回転しながら屍兵や骨兵を数十単位で両断し、髑髏の騎士の手に戻ってくる。
「あっちも!?」
グオォオオオオン!
獣の様に四つん這いになった双頭竜巨人が突撃する。
その四肢の鉤爪で蟻を踏み潰す如く、死者の軍勢を引き裂き、牽き潰す。
そして太く短い棘の生えた下腕と下腿部が高速で回転を始める。
運良く鉤爪を逃れ、双頭竜巨人に取り付こうとしていた屍兵や骨兵が瞬く間にミンチに変った。
更に……
「の、伸びた!?」
二本の首が巨体の数倍の長さに伸び、しなり、絞め潰す。
「あの……主…さま?」
「え~?なに~?畏まって気持ち悪い」
魔導モニターで戦場を見ながら、自分の副官である補佐役に言葉を返すのは、新米迷宮主。
いつもは少し眠たげで、背中を丸めたショボくれ親父然とした男だが、今はすこぶる機嫌が良いらしい。
宝塚の男役じみた男装の麗人であるサージュに返す言葉もいつになく余裕が感じられる。
「ケーセブンは近接/中距離に強い仕様だけど、遠距離の敵にも一応対応出来るんだよ」
見てて、と子供じみた笑みと共に髑髏騎士に命じる。
「ケーセブン、ミサイル発射!」
ガオォオオオオン!
シュパッ!シュパッ!
主の命じるまま雄叫ぶ髑髏騎士の眼窩から、二つの飛翔体が発射される。
風を切り裂いて、超高速で飛翔したソレは死人達の群れに殺到すると着弾、爆発した。
二本の火柱が吹き上がり、着弾点の地面を深く抉る威力は最上級爆裂魔法にも匹敵するだろう。
「ひぃ!」
「更に、エムツー!熱線!」
グオォオオオオン!
ジャー!!
うねる双頭から発せられた怪光線は空中で交わると束ねられ、眩い白光線と化して地を走った。
「……うそ……ゴーレムが竜の息吹きを……」
「やだなぁ、たかが竜の息吹きの炎と一緒にしないでよ。エムツーの熱線は摂氏二万!文字通り、骨も残さず蒸発させるよ♪」
「……見事だった。この白骨王、素直に負けを認めよう」
「ありがとうございます」
『死と獣の神』の使徒らしく豪奢な衣と王冠を身に付けた白骨王の偉容。
対するはショボくれ親父。
どちらが勝者か判らなくなりそうだが、勝ったのは新米迷宮主の方だ。
「見事な巨兵だ……しかし、何故この姿なのかね?」
身も蓋もない蹂躙劇をしてのけた二体の巨人は、ただ静かに佇んでいる。
主の命が無ければ微動だにしないそれは、『焔と鉄の神』の使徒である新米迷宮主が造り出した人造の怪物だ。
「本来なら、『焔と鉄の神』の神獣である火竜や焔天使を模す筈だ」
「それは当たり前ですよ。この御前試合を開催してくださったのは『死と獣の神』様なんですから」
「ほう!それはとても良い心掛けだ」
実際には自分の趣味全開、ノリノリでやらかしただけであったが。
「それで?勝者たる君は、この白骨王に何を望む?」
「それなんですが、いつか私が困った時に助けていただけませんか?」
「ほほう?」
「なにせ、うちはまだ未完成ですし、これからどんなトラブルが起こるか分かったもんじゃ無いですから……」
経験豊富な強者、百傑迷宮の後ろ楯があるというだけでも得難い助けである。
「同期の迷宮主にも狙われるって聞いてますし……」
「貴公にそれは無かろう……」
余程の馬鹿で無ければ、もうこのぼんやりしたとした迷宮主に喧嘩を売る者は居ないだろう。
所属する神派としては敵対に近い立ち位置ではあるが、白骨王は既にこの新米と友誼を結ぶつもり満々だった。
(この者は面白い。きっとこれからもとんでもない事をやらかすに違いない……)
「そうだ、恥ずかしながら貴公の名を知らぬ。なんと呼べば良い?」
「ああ、そういえばまだ名乗りもしていませんでした。失礼しました。私は漣太郎……こちらの発音だとレンターロです」
「そうか、ではこれからよろしくレンターロ」
競いあった迷宮主同士がかたく握手を交わして、スーパーハンディキャップダンジョンバトルは幕を閉じた。
悠々と引き揚げていく白骨王を見送りながら、新米迷宮主レンターロは呟く
「まんま、リアルオーバーロード……めっちゃ恐かった~、すげぇ迫力。やっぱ異世界半端ねぇ……」
かたや、世に名だたる百傑迷宮『餓骨城』の白骨王
対するは未だ地上へ口を開けてもいない『未完成迷宮』の新米迷宮主だ。
主宰たる『死と獣の神』の開始宣言と共に餓骨城側から、数万にも及ぶ死者の群れが吐き出され『未完成迷宮』側へとなだれ込む。
新米迷宮主は『焔と鉄の神』の使徒であり、『命と泉の女神』の加護を持つ『技巧派』と呼ばれる罠や機巧を得意とするタイプであり、守りに徹すれば堅固であると言われるが、流石に物量差がありすぎる。
途切れることなく侵攻する死者の軍勢は、文字通り味方の屍を乗り越え、罠に掛かってもお構い無しに進み続ける。
観覧している三柱の神
『焔と鉄の神』
『命と泉の女神』
『死と獣の神』
そして、数多の迷宮主
侵攻を命じた白骨王
全員がそう確信していた。
故に……
ぽっかり口を開けた『未完成迷宮』から、地響きをたてて巨大な何かが二体飛び出してきた時に目を見張る事となった。
「な、なんだと!?」
それは、異形の巨人
頭から二本の鎌を生やした髑髏頭の騎士
大蛇の如くうねる竜の首を二本生やした、獣じみた巨人兵
「さあ、蹂躙せよ。ケーセブン、エムツー」
ガオォオオオオン!
グオォオオオオン!
主人の命に巨人達が吠え、死者の軍勢へと突撃する。
「な、なんじゃ!?」
「ゴーレム?でも速すぎる!」
「まるで、生きている騎士の動きだ!」
「ああ!?」
ガオォオオオオン!
髑髏の騎士は、その頭から二本の鎌を引き抜くと、内の一本を投擲した。
投げられた鎌が回転しながら屍兵や骨兵を数十単位で両断し、髑髏の騎士の手に戻ってくる。
「あっちも!?」
グオォオオオオン!
獣の様に四つん這いになった双頭竜巨人が突撃する。
その四肢の鉤爪で蟻を踏み潰す如く、死者の軍勢を引き裂き、牽き潰す。
そして太く短い棘の生えた下腕と下腿部が高速で回転を始める。
運良く鉤爪を逃れ、双頭竜巨人に取り付こうとしていた屍兵や骨兵が瞬く間にミンチに変った。
更に……
「の、伸びた!?」
二本の首が巨体の数倍の長さに伸び、しなり、絞め潰す。
「あの……主…さま?」
「え~?なに~?畏まって気持ち悪い」
魔導モニターで戦場を見ながら、自分の副官である補佐役に言葉を返すのは、新米迷宮主。
いつもは少し眠たげで、背中を丸めたショボくれ親父然とした男だが、今はすこぶる機嫌が良いらしい。
宝塚の男役じみた男装の麗人であるサージュに返す言葉もいつになく余裕が感じられる。
「ケーセブンは近接/中距離に強い仕様だけど、遠距離の敵にも一応対応出来るんだよ」
見てて、と子供じみた笑みと共に髑髏騎士に命じる。
「ケーセブン、ミサイル発射!」
ガオォオオオオン!
シュパッ!シュパッ!
主の命じるまま雄叫ぶ髑髏騎士の眼窩から、二つの飛翔体が発射される。
風を切り裂いて、超高速で飛翔したソレは死人達の群れに殺到すると着弾、爆発した。
二本の火柱が吹き上がり、着弾点の地面を深く抉る威力は最上級爆裂魔法にも匹敵するだろう。
「ひぃ!」
「更に、エムツー!熱線!」
グオォオオオオン!
ジャー!!
うねる双頭から発せられた怪光線は空中で交わると束ねられ、眩い白光線と化して地を走った。
「……うそ……ゴーレムが竜の息吹きを……」
「やだなぁ、たかが竜の息吹きの炎と一緒にしないでよ。エムツーの熱線は摂氏二万!文字通り、骨も残さず蒸発させるよ♪」
「……見事だった。この白骨王、素直に負けを認めよう」
「ありがとうございます」
『死と獣の神』の使徒らしく豪奢な衣と王冠を身に付けた白骨王の偉容。
対するはショボくれ親父。
どちらが勝者か判らなくなりそうだが、勝ったのは新米迷宮主の方だ。
「見事な巨兵だ……しかし、何故この姿なのかね?」
身も蓋もない蹂躙劇をしてのけた二体の巨人は、ただ静かに佇んでいる。
主の命が無ければ微動だにしないそれは、『焔と鉄の神』の使徒である新米迷宮主が造り出した人造の怪物だ。
「本来なら、『焔と鉄の神』の神獣である火竜や焔天使を模す筈だ」
「それは当たり前ですよ。この御前試合を開催してくださったのは『死と獣の神』様なんですから」
「ほう!それはとても良い心掛けだ」
実際には自分の趣味全開、ノリノリでやらかしただけであったが。
「それで?勝者たる君は、この白骨王に何を望む?」
「それなんですが、いつか私が困った時に助けていただけませんか?」
「ほほう?」
「なにせ、うちはまだ未完成ですし、これからどんなトラブルが起こるか分かったもんじゃ無いですから……」
経験豊富な強者、百傑迷宮の後ろ楯があるというだけでも得難い助けである。
「同期の迷宮主にも狙われるって聞いてますし……」
「貴公にそれは無かろう……」
余程の馬鹿で無ければ、もうこのぼんやりしたとした迷宮主に喧嘩を売る者は居ないだろう。
所属する神派としては敵対に近い立ち位置ではあるが、白骨王は既にこの新米と友誼を結ぶつもり満々だった。
(この者は面白い。きっとこれからもとんでもない事をやらかすに違いない……)
「そうだ、恥ずかしながら貴公の名を知らぬ。なんと呼べば良い?」
「ああ、そういえばまだ名乗りもしていませんでした。失礼しました。私は漣太郎……こちらの発音だとレンターロです」
「そうか、ではこれからよろしくレンターロ」
競いあった迷宮主同士がかたく握手を交わして、スーパーハンディキャップダンジョンバトルは幕を閉じた。
悠々と引き揚げていく白骨王を見送りながら、新米迷宮主レンターロは呟く
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