雨の夜、家出少女は僕を支配する

枢名ゆい

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晴れの日の別れ

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朝日が窓から差し込み、優斗は目を覚ました。隣には昨日と同じように芽依が寝息を立てている。昨夜の公園での出来事、そしてホテルに戻ってからの情事が鮮明に蘇ってきた。彼は静かに起き上がり、芽依の寝顔を見つめた。

「こんな子に、完全に……はは……」

優斗は自嘲気味に呟いた。わずか二日前、雨の中で出会った少女。最初は助けてあげるつもりだった。しかし、気がつけば彼女のペースに完全に飲み込まれ、彼女の要求に応え続けていた。

バスルームで顔を洗い、鏡に映る自分の顔を見つめる。目の下には同じようにクマができ、顔には疲労の色が浮かんでいた。しかし、その目には昨夜までなかった色が宿っていた。

「んー……おはようございます」

背後から甘い声がして、優斗は振り返った。芽依はバスローブ姿で立っていた。朝の柔らかな光に照らされた彼女の姿は、純粋で輝いて見えた。

「おなか……すきました」

そう芽依がつぶやいた瞬間、芽依のおなかが鳴った。適当に身支度を整え、ホテルを出た。梅雨の合間の太陽が街を明るく照らしていた。

昨日と同じチェーンのレストランに入り、芽依はパンケーキを注文し、優斗はコーヒーだけを頼んだ。
今日は体の右側が冷たい。

「優斗さん、昨日も食べませんでしたよね?」
「まぁ普段から朝はそんなに食べないんだ」
「そうなんですね」

ファミリー席の向かい側の芽依が小さく笑った。昨日の乱れきっていた人間とは別人のようだった。
会計を済まし、店を出る。駅までの道すがら、他愛のない話をした。

「ホテルと食事、ごちそうさまでした」

改札前でペコりと頭を下げる芽依。

「あっ……うん」
「楽しかったです」

なんと返したらいいかわからず、ただ芽依のその言葉に、優斗は胸が締め付けられる感覚を覚えた。

「あっ……」

彼は言葉に詰まった。芽依は彼の表情を見て、小さく笑った。

「そんなに悲しそうな顔しないでよ。優斗おじさん。また命令したくなったら連絡してね」

芽依はそう言って、小さな紙切れを優斗の胸ポケットに滑り込ませた。

「芽依……」

優斗が何か言おうとすると、芽依は人差し指を彼の唇に当てた。

「今度はもっとドキドキさせてくださいね」

そう言って、芽依は小悪魔のような、いや無邪気な笑みを浮かべた。その笑顔には、最初に出会った時の儚げな少女の面影はなかった。
優斗は言葉に詰まり、ただ頷くだけだった。芽依は軽く手を振り、改札へと向かった。

そのまま走っていく電車を見つめながら、優斗はただただ呆然と立ち尽くしていた。

「一体、誰が誰を救ったんだろう……」

優斗は呟いた。彼は最初、雨の中で震える少女を救おうとした。
しかし、結果的には……。彼女との二日間は、日常の単調さから彼を解放してくれた。

優斗はポケットの中の芽依の連絡先を握りしめながら、駅に背中を向けて歩き出す。

「次は、俺がリードしてみせる…」

そう呟きながらも、彼は自分がまた彼女のペースに飲み込まれることを、どこかで期待していた。
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