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第九話
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ジャグラインの森へたどり着くには砂漠を越えなければならない。本来ならその砂漠に生物が棲み着くことは決してないという。
ーーーそう、本来なら・・・
「ちょっとなんなのよおぉぉぉぉ!!」
「うるせぇ!とっとと走れ!」
俺たちは今巨大な魔物と戦っている。いや、正確に言えば襲われている。
その魔物は蛇のように長く、それでいて巨大な体を持っている。そして体に浮かんでいる模様は見るだけで警戒心を抱かせる黄色の縞模様だ。毒々しいにもほどがある。
俺たちは今、そんな蛇のような魔物から逃げている最中だ。
「どうする!グレイ!」
「くっ!とにかく態勢を立て直すんだ!」
「僕が遮蔽物を作る!少しだけそいつを足止めしてくれ!」
「任せなさい!ーークリエイトウォーター!」
アリスが召喚した水によって魔物の前方にある砂は泥になり、多少進む速度は遅くなった・・・がそんなことを感じさせない迫力で魔物は追い続けてくる。
「ひぃぃぃぃぃ!ルーク!はやくぅぅぅぅ!」」
「アイスフィールド!!アイスウォール!!」
身体が埋まっていた地面は凍り、魔物の動きはは目に見えて鈍くなった。さらに氷の壁が魔物の周囲に張り巡らされ、魔物の動きは完全に止まった。
それを好機と見たサタンは魔物の方へ体を向けると
「よっしゃ!今だ!ぶっ殺す!!!」
「おい!待てサタン!」
アイギスが止めようとするもその声は届かずサタンは攻撃を仕掛けようとしていた。
「うおおおぉぉ・・・!・・・うおっ!?」
しかしその攻撃は自然操作によって操られた砂の手に防がれたことで魔物に届くことはなかった。
「よくやったレイス!みんな逃げるぞ!!」
「おい!何やってんだよ!今ならやれるだろ!」
「周りをよく見てみろ!」
言われた通り周りを見渡してみると所々に不自然に盛り上がった地面があった。
「あれは群れで行動している別の魔物だ。おそらく目に見えている以上の数はいるだろう。今ここであいつを倒すことが出来ても今度はあいつらが襲ってくる。ここはいったん引くんだサタン」
「ちっ、しょうがねぇな…」
「はぁはぁ・・・」
「こ、ここまでくれば大丈夫かしら」
「皆大丈夫か?」
「ノアは大丈夫!」
疲れを感じさせない陽気な声に続いて他の皆も同様の返事をした。
あれから特に魔物に追われることなく砂漠を抜けて、ようやく森にたどり着くことが出来た。
全員の安否を確認し終えたところで、これからどう動くかを考えなければならない。
まず最初にすべきことは拠点を定めるところからか・・・?幸い来る前に食料は確保してきたので数日は食に関しては心配することはない。
ならばまずは拠点か。
「これから拠点となる場所を探しに行こうと思う。具体的な行動としては・・・」
「待っていましたよ」
「「「!?」」」
グレイの話を遮る突然の声に振り向くと、そこには3本の尾を持ち人型でありながら異様な存在感を放つ美女がいた。
「な、なんだ・・・お前は・・・いつから・・・」
彼女の存在感に圧倒されながらなんとか声が出せたのはグレイだけだった。
グレイの質問に即答することなく謎の美女はただ不敵な笑みを浮かべていた。
ーーーそう、本来なら・・・
「ちょっとなんなのよおぉぉぉぉ!!」
「うるせぇ!とっとと走れ!」
俺たちは今巨大な魔物と戦っている。いや、正確に言えば襲われている。
その魔物は蛇のように長く、それでいて巨大な体を持っている。そして体に浮かんでいる模様は見るだけで警戒心を抱かせる黄色の縞模様だ。毒々しいにもほどがある。
俺たちは今、そんな蛇のような魔物から逃げている最中だ。
「どうする!グレイ!」
「くっ!とにかく態勢を立て直すんだ!」
「僕が遮蔽物を作る!少しだけそいつを足止めしてくれ!」
「任せなさい!ーークリエイトウォーター!」
アリスが召喚した水によって魔物の前方にある砂は泥になり、多少進む速度は遅くなった・・・がそんなことを感じさせない迫力で魔物は追い続けてくる。
「ひぃぃぃぃぃ!ルーク!はやくぅぅぅぅ!」」
「アイスフィールド!!アイスウォール!!」
身体が埋まっていた地面は凍り、魔物の動きはは目に見えて鈍くなった。さらに氷の壁が魔物の周囲に張り巡らされ、魔物の動きは完全に止まった。
それを好機と見たサタンは魔物の方へ体を向けると
「よっしゃ!今だ!ぶっ殺す!!!」
「おい!待てサタン!」
アイギスが止めようとするもその声は届かずサタンは攻撃を仕掛けようとしていた。
「うおおおぉぉ・・・!・・・うおっ!?」
しかしその攻撃は自然操作によって操られた砂の手に防がれたことで魔物に届くことはなかった。
「よくやったレイス!みんな逃げるぞ!!」
「おい!何やってんだよ!今ならやれるだろ!」
「周りをよく見てみろ!」
言われた通り周りを見渡してみると所々に不自然に盛り上がった地面があった。
「あれは群れで行動している別の魔物だ。おそらく目に見えている以上の数はいるだろう。今ここであいつを倒すことが出来ても今度はあいつらが襲ってくる。ここはいったん引くんだサタン」
「ちっ、しょうがねぇな…」
「はぁはぁ・・・」
「こ、ここまでくれば大丈夫かしら」
「皆大丈夫か?」
「ノアは大丈夫!」
疲れを感じさせない陽気な声に続いて他の皆も同様の返事をした。
あれから特に魔物に追われることなく砂漠を抜けて、ようやく森にたどり着くことが出来た。
全員の安否を確認し終えたところで、これからどう動くかを考えなければならない。
まず最初にすべきことは拠点を定めるところからか・・・?幸い来る前に食料は確保してきたので数日は食に関しては心配することはない。
ならばまずは拠点か。
「これから拠点となる場所を探しに行こうと思う。具体的な行動としては・・・」
「待っていましたよ」
「「「!?」」」
グレイの話を遮る突然の声に振り向くと、そこには3本の尾を持ち人型でありながら異様な存在感を放つ美女がいた。
「な、なんだ・・・お前は・・・いつから・・・」
彼女の存在感に圧倒されながらなんとか声が出せたのはグレイだけだった。
グレイの質問に即答することなく謎の美女はただ不敵な笑みを浮かべていた。
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