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第46話 縄下着と鏡プレイ おまけ
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「お、お待ち下さい! お嬢様はこの店の商品をお使いになったことが、あるのでしょうか?」
ユリスは毅然と貴族の娘に立ち向かう。
ご両親が残してくれた店を畳むわけにはいかないという、気概が乗ったいい声量だ。
「ご冗談を! こんないかがわしいもの、触れるのもゴメンですわ!」
「では、真っ当な批判だと受け取れません。うちの主人が作るものは、可愛くて、とても……とても、気持ちがいいものです!」
勢いに任せて本音を漏らしたユリスは、羞恥心が爆発して首まで赤くなる。
お、おい。
元気娘もダンガも呆気にとられていた。
いままで、どちらかというとエロアイテムに消極的で、我儘な弟の遊びに仕方なく付き合う姉的な態度だったユリスが、事情があるとはいえ擁護に回った。
それは、感動的ですらあった。
失礼な貴族の娘の非礼も水に流せるレベルだった。
ストレートな言葉にエトワール嬢は鼻白む。
「あらあら、さすが怖気も走る物を売るお店の奥方ですわ!」
だが、すぐに切り替えた。
性に対してはクローズドな異世界事情だ。自慰行為の補助器具や欲情を煽る破廉恥な衣装など、保守派から見れば禁忌に近い。
愛好家ともなれば精神異常を疑われる。
だが、ユリスも怯まない。
「使ってもいないのに、いかがわしいとか、汚らわしいとか、ただの難癖です!」
「戯言とはいえ、口達者なことですわ! そんな物を使ってまで快楽を求めるなど、婬奔ですわ!」
自然派と養殖派に別れた女の口論。
2人は睨み合う。
だが、エトワール嬢の態度を見て、俺の方には少しだけ余裕が出てきた。
「エトワール様! 少し横暴が過ぎます!」
エロアイテム愛好家の元気娘が、もう我慢できないと物申す。
援護射撃だ。
だが、あえて言おう。
いいから手に握った縄下着を置いてくれ。シリアスな雰囲気が喜劇に傾く。
「ご主人が黙するならと我慢していましたが、言わせてもらいます! この店にある全てのアイテムは女を磨く聖遺物ですよ!」
ドヤ顔だった。
ダンガは額に手を当てて項垂れる。
「あの、いえ……それは言い過ぎです、そんな大層なものではありませんよ?」
元気娘の迫力に、ユリスも少し引いてしまう。
「あなた、お爺さまの部下ですわよね? 噛みつく相手を間違えていますわよ?」
前回のストライキ参加者だと調べはついているのだろう。
原因となったビキニアーマー。
女性によっては嫌悪感を抱くエロアイテム。
これは多少先走りしているとはいえ、査察だな。
冒険者が非正規雇用だとすれば、元気娘は正規雇用者。上司であるギルドの意向が反対であるならば、前回のストライキ騒動には否定的な態度が求められた。
わざわざ元気娘に案内をさせたのも作戦のうちか。
ツギハギ屋と同時に元気娘を糾弾するのが目的だ。
つまりこの流れは、断罪イベント。
各物語で苦汁を舐め続けた、悪役令嬢側の逆転劇か。喜劇もここに極まれりだ。
だがな。
反対派の意見などどこ吹く風のエトワール嬢よ、いつから勘違いしていた?
鬼の首を取ったの如くの笑みも、ただの骨折り損だと知るがいい。
別にチート能力で、ダンガの欲するアーティファクト級の逸品を作成することもできる。
エロアイテムはあくまでも、ユリスの調教が目的だ。ただの趣味の範疇。
だが、ユリス自ら、アレクファーストの流れだとはいえ、認め、傾倒、屈服したからには最早必需品ではなくなった。
この時点で、俺はアレクを超えたと理解できる。
ならば、エロアイテムにこだわる必要がどこにある?
今後は全年齢版のツギハギ屋だ。
覚悟しろよ?
お前の家格など圧倒できる力を俺は手にすることが可能なのだ。
「ユリス、もういい。この女が非難するアイテムを作らなければ、文句を言われることもないんだ」
「あっくん!」
あ。何故だろう。
ユリスの迫力に身が竦む。
本気でユリスに叱られたのは、いつ以来なのか。
ユリスは大きく深呼吸をした。
エトワール嬢と対峙する。
その背中は凛として美しかった。
「たとえ貴族様がなんと言おうと、信念は曲げられません!」
体が痺れる。
「ツギハギ屋は、エロアイテムショップです!」
ユリスが、認めた……だと。
店の名前も、取り扱う商品も。
俺以外の者にとっては、何を今更と思うだろう。
だが、違う。ユリスが過去ではなく新しくなった店と俺を認めたと同義だ。
ああ、身体が高揚する。
ここで俺を慰めたり説得したりせず、鼓舞する女に惚れ直す。
弱気になって言い訳じみたことを考えた俺の心を的確に見破り、背中をその小さな身体で全力で押してくる。
そうだな。そういう女だ。俺が惚れた愛すべき人妻は。
最高に格好いい人妻だ。いや、もう俺のワイフだ!
OKだ、ユリス。
たとえ相手が貴族だろうが、最後まで戦おう。
「エトワール」
「なっ! あなたに呼び捨てを許した覚えはありませんわよ!?」
「この店を潰すだと? それは、お前のなんたら家の総意だな? 吐いたツバは飲ませないぞ?」
鬼気迫る態度に、エトワールは息を呑む。
外から中を窺っていた護衛の二人が緊張する。
元気娘はしてやったりと頬を緩め、ダンガはふんと鼻を鳴らした。
「え、ええ、もちろん。このような小さなお店、とっとと潰れてもらいたいですわ! 問題にすらなりませんから!」
宣戦布告に、頭の中でいくつもの前世の殺傷機器をリストに並べる。
「あーそれはどうですかね? ツギハギ屋を理不尽に潰したりしたら、冒険者ギルドこそ潰れますよ?」
だが、元気娘は、はーやれやれと首を振った。
「寝言は、寝ておっしゃいな」
「いえ、本当です。数は全体の4分の1程度ですが、女性冒険者のほとんどが離脱間違いありません!」
「は?」
「冒険者ギルドスタッフも大半が辞めるでしょう。果たしてギルドを維持できますかね?」
ダンガが「はんっ!」と声を上げる。
「おいおい嬢ちゃん、舐めてもらったら困るぜ? 男も半数は離脱するぜ?」
ダンガはサムズアップするとニヤリと笑う。
「男の方こそ、ツギハギ屋を支援してるってことぉ忘れちゃ困るぜ!」
まあ、エロアイテムは男の夢だからな。
それに、冒険者ギルドは出会いの場だ。
女気がなくなり、むさ苦しい男ばかりだと他所に行く。
やはりエロは偉大だ。
人は、エロで団結できる。
「こ、後悔しますわよ!」
「是非もない」
エトワール嬢は悔しそうに臍を噛む顔をする。
そのままプレッシャーに負けた如く店から出ていく。
護衛たちに八つ当たりをする声は、徐々に遠ざかっていった。
「……あなた、扉開けちゃいましたし、このまま開店しましょうか?」
「むむ! でしたらこの特異な下着を是非売ってください!」
「あ! ここで着けないで!?」
服の上から縄下着を装着しようとする、元気娘の無茶振りをユリスは必死に止める。
「ところでお前は、お嬢を追いかけなくていいのか?」
案内役としての仕事はどうした?
「……そうでした! お待ち下さい、エトワール様!」
「あ……お代」
「くれてやればいい、礼代わりだ」
「ふふ、そうですね、あなた」
ユリスはやわらかく笑い、走っていく元気娘を見守っている。やんちゃな妹を見る姉の目だ。
「じゃな、俺の方もそそろそろ戻るぜ。カミさんも、そろそろ俺の出番を待ってるだろうからよ!」
ダンガは片手を上げて店を出ようとする。
全くこいつも……心配だから見に来たと素直に言えばいいものを。
「ダンガ、お前には新しい形のストッキングを披露してやる」
「あぁ!? だーら、俺はストッキング愛好家じゃねぇっつてんだろ! ……で、どんな形だ?」
「うむ、ガーターベルトとセットで――」
「ダンガさん! いいから、早く戻ってあげてください! 奥さんが大変な思いをしてますから!」
ユリスは新作の餌食になるのを恐れてダンガを追い出した。
騒がしい店になったものだ。
*
夜のことだ。
「お゛っ、お゛っ……ふかっぃぃぃれすぅ!」
夜も更けた寝室で、白い背中にぽつぽつと汗の玉を浮かべたユリスは獣じみた嬌声を上げる。
壁に設置された鏡に手をつき身体をくの字に曲げた体勢での立ちバックだ。
鏡の前でのプレイが素晴らしい!
ぱちゅぱちゅという音と共に貫かれる度に、ユリスは抉られる快楽に歯を食いしばり、我慢できなくなって口をだらしなく半開きにして顎を上げる。
普段は見ることの適わないアヘ顔が丸見えだ。
感じている自分の表情に欲情して、さらに感度を高めるという永久機関にユリスの興奮もウナギ登りで、膣内も陰唇もきゅうきゅうとペニスを噛み締めてくる。
「お゛っ、だ、だめれすぅ……お゛っ、お゛っ」
腰を手で引き寄せ、身体の奥をペニスで圧迫すると、途端に背中は反り返る。
股間部分の赤い縄が左右に開かれ食い込んで、ユリスの陰唇をプクリと盛り上げている。
その間にペニスを差し込んでいるから、いつもより入り口の締りが強い。
縄下着の誇らしい吸水性も、とめどなく分泌を続けるユリスの愛液に根負けしていた。
ペニスで貫かれる度に、表情を蕩けさせた女の顔になる。
「うう……こんな、いやらしい顔を、あっくんに見られてたなんて……」
ユリスは自分の感じている雌の顔を恥ずかしそうに、信じられないものを見るように凝視していた。
中をきゅんきゅんと締め付ける。
後ろから犯しながら雌の顔を拝めるだけで、いつもとは違う興奮だ。
ラブホテルに大きな鏡が設置された部屋があるというのも頷ける。
次はユリスに挿入部分を見せて解説させてみよう。
辿々しく恥ずかしそうに、語る姿を想像するだけで最高だ。
何度も気をやって益々複雑にうねる中の感触に耐えきれなくなる。
「出すぞ、ユリス」
「は、はい……あっくん」
「俺の子を孕め、ユリス! ユリス!」
「あっ、あっ、でもっ、……無理です、あっくん……」
俺の子供はだと、まずいのか? アレク以外の子供はさすがに申し訳ないのか?
随分と寝取り感覚は薄れたが、拒絶するユリスを見ていると、無理矢理に妊娠させたい気持ちが燃え上がる。
「いや、だめだ、俺がユリスを孕ませる!」
腰がビクビク震える。我慢できずに放出を待つ精子どもが煮えたぎる。
「……うう、あっ、違います……もう孕んでます」
なに?
ぴたりと腰が止まる。
ついでに射精する気も止まる。
高度な寸止めの技術に、舌もペニスも巻かれてしまった。
「もう……赤ちゃん、できてますから……追加では、無理です」
鏡に映るユリスは、真っ赤な顔でそう言った。
良い報せが最悪のタイミングで知らされる、台無しの瞬間だった。
「あれ? ……あっくん、もう出したの?」
「いや、まだだが……ユリス、お前というやつは……」
「……どうして、そんな可哀想な子を見る目で見るのかな?」
「妊娠して間もないというのに、そんな格好で男に貫かれるとは……」
「全部、あっくんのせいだよね!?」
その後、鏡の前に椅子を用意して、ユリスを上にしてプレイを続行。
仕切り直しだ。
足を大きく広げた格好で、ペニスをぬちょぬちょと出入りする局部を見せつけながら、ユリスにたっぷりと解説をしてもらう罰を与えた。
「もう! あっくんの、ばか!」
中にたっぷりと出した精液が逆流してくる場面の解説は、是非後世に残したい卑猥さだった。
*
「夫婦となるべく男女は、互いの足が赤い縄でつなげられていて、どれだけ避けようとも最後は結ばれるという故事がある。それに倣った」
手首に巻いた細めの赤い縄で作ったブレスレットを見せながら、ユリスに語る。
「幸せなのか怖いのか微妙なお話ですけど……」
「だから、赤い縄というのは縁起物だ」
「あっくん、とってもロマンチックなお話ですけど、聞きたいのはそこじゃないですよ?」
「すまないな、説明がたりなかったか」
「お揃いの縁起物は嬉しいですけど……どうしてあなたは手首だけで、私は全身なんですか!?」
あれからユリスの下着は縄下着のままだ。
「もちろん、ユリスのエロい姿を眺めたいからだ」
「あっくん……そこに正座!」
ユリスはかわいく頬をふくらませると、そう言った。
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