第二王女と年下国王

miki

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20 成功

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それから作戦成功の一報を受けたのは、さらにその一週間後でした。

実行部隊から連絡があり、お姉様を無事確保、敵の届かないところまで逃げ切ったという報告をお父様から聞いたのは、私が夕食の後自室の机に向かって日記を書いている時でした。

私はそれを聞いて胸を撫で下ろしました。
とりあえず、お姉様は大丈夫のようです。

「とりあえず、お姉様が無事に救出されてよかったです!」

私がお父様に笑顔で言うと

「救出というか、半分拉致に近いんだがな…、まあいずれにせよ、そうだな。うれしいことだな」

お父様は少しの苦々しさを加えながらも私につられて笑います。

「こちらに到着するのはいつぐらいになりそうですか?」

「そうだな、報告書が届く時間を考えるとあと2、3日といったところじゃないかな。」

私はうなづきます。

「お父様、本当にありがとうございました。」

お姉様が無事なのはお父様のおかげです。私はお父様に頭を下げます。

「感謝は私より、あそこで寝ているアノンのほうに伝えなよ。恥ずかしながら実を言うと作戦の骨子を考えたのは彼なんだ。彼の多才っぷりには本当に驚くよ。」

お父様はベッドで横になっているアノンさんに視線を向けます。
ここしばらく、激務が続いていたためか、夕食を食べ終わった後、すぐに寝てしまっているのでした。

「彼のことは本当に信頼しているし、国王としての器量も申し分ない。さらにはクーデターや今回の作戦を成功に導くその頭脳。時折彼が10代の子供だということを忘れてしまうよ。」

お父様は横になっているアノンさんの方に視線を向けたまま続けます。

「ただ、こう横になっている姿を見ると、改めて本当に子供なんあだなあと思ったんだが、そう思うと逆に彼のことが恐ろしく思えてくるよ…」

お父様はその目を少し細めてアノンさんの方を見続けていました。

「まあ、そんなことよりお前も早く寝なさい。もう夜も遅いことだし。久しぶりにエリナに会うというのに寝不足の顔してたらもったいないぞ。」
「じゃあ、おやすみ、ラミナ。」

「おやすみなさい。お父様。」

お父様はそう言って私のおでこにキスをすると、部屋を後にしました。

私は日記を閉じ、机の明かりを消してベッドにそっと行きます。

アノンさんは気付いていないようで、すうすうと寝息を静かにたてています。

私は愛する人の横顔に「おやすみなさい」と頬にキスをするのでした。
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