ドラゴンから人間に縛りプレイで最強へ

アキナヌカ

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2-24俺たちの本当の正体

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「僕はなんと言われようが、貴方たちについていきます」

 リッシュは相当な頑固者らしかった、いやとても強い意志を持っているというのか、なにせ人間に捕まったら自分の顔と体を焼いてしまうようなエルフだ。でもそんな彼の意志をくじくのは簡単だ、今回は正義の味方みたいなことをした俺たち、そうそんな俺たちの印象を悪くしてやればいいのだ。そう思いついて俺はいつものことをすることにした、俺の優しい友達のレンが最初に嫌がったアレだった。

「そうだ!! それじゃあ、試験をしよう!!」
「シエル、リッシュにどんな試験をするの?」
「おいおい、大丈夫なのか。簡単な試験じゃアイツ絶対についてくるぞ」

「大丈夫、レンも最初は嫌がったアレだ」
「ああ、アレができないとアクアたちにはついてこれない」
「うっわっ、アレかよ」

 そうして俺たちはリッシュのことを試験で様子を見ることにした、リッシュはどんな試験でも大丈夫だと言った。だがさすがにアレには驚くはずだった、俺たちの正義の味方という印象がきっと覆るはずだった。

「そうと決まれば盗賊退治だ!!」

 俺はしっかりあのカラモスの街の冒険者ギルドの掲示板を見ていた、何故かってそれは盗賊団がいないかともちろん確かめるためだ、いやそれはもう俺の習慣のようなものだった。ちょうど良く二百人くらいの盗賊団が近くにいるということだった、リッシュもさすがに盗賊団は皆殺しだという俺の勝手な言い分、それを見たらきっと幻滅して離れてくれるはずだ。

「それじゃ、リッシュ。ローブを被ってから、鼻まで布で覆って顔を隠してくれ」
「リッシュの綺麗なお顔を隠すの、そして最初は基本的には見学だけなの」
「とにかく黙ってついてくりゃいい、生き残りがいるうちは俺たちや自分の名前を言うなよ」
「はい、分かりました。大丈夫です、僕はどこにだってついていきます」

 俺とアクアそれにレンはもう慣れていた、リッシュはエルフ特有のとても綺麗な顔、それを隠すのに少し手間取っていた。そうして俺たちは二百人はいる盗賊団の正面から、また堂々とお邪魔することにしたのだ。

「なんだ、お前ら顔を見せろ!! ここはグルナータ盗賊団だぞ!!」
「ありがと確認がとれた、それじゃあお礼に、『電撃槍ライトニングストライクスピア』」
「うん、今日もいつもどおりなの」
「これがいつもってのが、本当はおかしいんだけどな」
「………………」

 俺はいつもどおりに盗賊団に入っていって、確かに盗賊団だということを確認したら、雷撃で正面玄関にいた人間を焼き殺した。それからもいつもどおりのことだった、俺たちに向かってくる奴がいたら殺した、今回は主に剣で必ず殺していった。アクアはいつもどおりに矢や魔法を『聖なる守りホーリーグラウンド』で防いでくれた、レンも大勢と一人で戦うことに慣れたのか、次々と盗賊を倒していった。

「おい貴様ら、このグルナータ様と剣で勝負しやがれ」
「おお、俺の友達よ。なんだか剣が強そうな敵だぞ」
「私が相手を決めるの、うーんとコインを投げてっと、表が出たから今日は私の家族が相手なの」
「チッ、つまんねぇな。まぁこのチビを俺様が守っておくから、お前が行ってきやがれ」
「………………」

 敵の中から剣豪そうな奴が出てきた、一騎討ちとは剣術の腕を試すいい機会だった。俺はその一際大きな体を持った男、グルナータとかいう奴に立ち向かっていった。大剣を使う相手だったが、力だけだったら俺も負けてはいなかった、大ぶりな敵の剣の隙をついて攻撃し、そうして一瞬の隙を見つけてその首を綺麗に斬り落としてみせた。アクアはそんな俺に拍手してくれた、レンはちょっと苦笑いをしていた、リッシュはただ黙って俺の事を見ていた。

「お頭がやられたぞ」
「にっ、逃げろ!!」
「逃げるな戦うんだ!!」
「そうだ、次のお頭は俺だ!!」
「逃げるこたぁねぇ!!」

 盗賊団は俺がお頭という男を倒したら動揺した、でもまた欲に負けて俺たちを襲おうとしてきた。俺はリッシュに俺たちの印象が悪くなるように、主に剣だけで盗賊団を残酷に片づけていった。レンも打ち合わせたとおりにそうした、俺たちはそうして敵を次々と斬り刻んでいった。途中から逃げ出そうとした奴は俺の魔法で焼き殺した、そうしていつの間にかもう誰もそこにはいなくなった。

「それじゃあ、お宝探しだぞ」
「アクア、隠し部屋見つけるの得意」
「まぁ、地道に探すしかねぇか」
「………………」

 そうして俺たちはいつもどおりにお宝探しをし始めた、勝手に盗賊を殺して金銭を貰っていく、こんなに自分本位な行為はなかなか無かった。ほどなくしてお宝は見つかった、俺たちは金貨や銀貨を今回は俺とレンそれにリッシュの三人で分けることにした。リッシュも『魔法マジックの箱ボックス』を持っていたから、何の問題もなく三人でお宝を山分けできた。

「それじゃ、皆さん。それぞれ自由に逃げてくださ~い」
「適当に服を着て、さっさっと逃げるの」
「逃げねぇとまた盗賊に捕まるぞ」
「………………」

 最後に俺たちは盗賊に捕まっていた女の人たちを解放した、ほとんどが人間の女だったが牢の一番奥に特別な牢があった。そこにはエルフの女性が三人捕まっていた、もちろん俺たちはすぐに彼女たちを解放した。リッシュはそれまでずっと黙っていたが、助け出したエルフの女の人とは話していて知り合いのようだった、だからきっと俺たちに幻滅したであろうリッシュ、彼と一緒に一旦また隠れ里に行くことになった。

「それじゃ、リッシュ。これで俺たちのことがよく分かったろ、それでリッシュはこれからどうする?」

 俺たちにリッシュが一緒についていく、俺はその考えをきっと彼が変えていると思った。だって俺たちは自分本位な理屈で大勢の人間を殺していった、そうしてそいつらが貯めこんでいた金貨や銀貨を奪った。更にできるだけ魔法は使わずに剣で残酷に殺していった、最後に捕まっていた女性を助けたが、それくらいの善行は些細なことだった。実際にリッシュはなんと涙を流していた、そして俺たちにこう叫ぶように言ったのだ。

「盗賊団という悪人をいつも退治しているとは、なんて素晴らしく気高い行為なのでしょう!!」
「え?」

「しかも相手が剣で戦おうと言えば応じる、悪人とも剣豪の誇りを持った戦いをするのですね!!」
「ええ?」

「そうして奪った金貨や銀貨は善行を行う為、あの金銭で僕を奴隷商人から買ったのでしょう!!」
「えええ?」

「そして、僕の友人たちエルフの女性たちを助け出してくれた。貴方たちはなんて優しいんだ!!」
「ええええ?」

「やっぱり僕は貴方たちについていきます!! これ以上僕が仕えるに値する主人は他にはいません!!」
「えええええ!?」

 そうしてリッシュはとっても綺麗な顔で俺たちに笑った、美しく長い金の髪にキラキラとした緑の瞳が輝いていた、リッシュは完全に絶対に完璧に俺たちのことを誤解していた。だから俺は言葉を尽くしてリッシュを説得しようとした、でもリッシュは全く俺の言葉を聞いていなかった。いや聞いていたがリッシュの心の中で、それは美しく綺麗な美談へと変換されていた。そして、最後にリッシュは不安そうに俺たちに聞いてきた。

「シエル様、アクア様、レン様。僕は試験に合格できたでしょうか、どうか僕をお傍に置いてください!!」
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