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2-25ドラゴンは決してトカゲじゃない
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「シエル様、アクア様、レン様。僕は試験に合格できたでしょうか、どうか僕をお傍に置いてください!!」
俺とアクアとレンはお互いの顔を見た、そうしてから俺とレンは多分だが心の中でため息をついた。でもリッシュは確かに俺たちについてきた、そうして俺たちのすることを認めてくれたのだ。彼を合格にしないわけにはいかなかった、ドラゴンは嘘が嫌いで強くて正直な者に弱かった。アクアだけは素直にリッシュのことを認めていた、また新しいお友達ができるとご機嫌だった。
「ごっ、合格だよな」
「わーい、合格なの!!」
「おうよ、合格だろうな」
「はい、うぅ、ありがとうございます!!」
とにかくリッシュに俺たちの試験に合格したことを伝えた、そうしたらまたリッシュは泣きながら喜んでいた。うぅ、なんだか悪い事をしているようで、俺の心の中のどこかがもやもやした。リッシュはまず族長であるルーフェンに俺たちについていくと伝えていた、そうしたら族長であるルーフェンは魔力で矢を作り出せる、そういう特別な力を持った弓をリッシュに与えていた。
「私からの餞別だ、息子よ。いずれ、お前が成長して戻ってくることを祈っている」
「はい、父さん……、いえ、かしこまりました。族長!!」
そうしてリッシュは俺たちについてくることになった、族長であるルーフェンは世界を勉強してこい、そう言ってリッシュを送り出していた。ディアもいっぱい勉強してから帰ってきてねと、リッシュを応援しながら送り出してくれた。そうして今度こそ俺たちはエルフの隠れ里を後にした、それからはアクアの調子に合わせて歩きたい時は歩かせて、そうでない時は俺がアクアを背負って旅をした。
「うわー、カラモスの街が一望できるな」
「あちこちいっぱい壊れてるの」
「領主の館も半壊だな」
「………………フッ」
もちろん俺たちはリッシュが攫われた、カラモスの街を避けて通り過ぎた。遠くの山から街のあちこちの施設が壊れているのが分かった、きっと逃げ出した奴隷たちが暴徒になって暴れたのだろう、それを見てリッシュがちょっと怖い顔で冷笑していた。旅を一緒に始めてから分かったが、リッシュは族長候補でとても賢いエルフだった。そして俺とアクアとレンに異常に丁寧に接してくれた、いつまで経っても俺たちを様付けで呼ぶことを止めてくれなかった。
「なぁ、リッシュ」
「なんでございましょう、シエル様」
「いや俺たちのこと様付けで呼ぶの、それを止めてくれないか」
「いいえ、止めません」
「どうしても駄目なのか」
「はい、そうです」
そして楽しく野営などもしながら次の街についた、リッシュは身分証を持っていなかったから、この奴隷制がある国にいる間は俺たちの奴隷だということにした。リッシュもそれでいいと言っていたし、俺たちのことを様付けで呼ぶので、まるで本物のエルフの奴隷のようだった。リッシュの身なりはレンと同じく冒険者らしいものだった、だから俺たちの護衛奴隷のように人間たちからは見られていた。
「なんだよ、ドラゴンなんてどこにもいないじゃないか。なぁ、ラミア」
「そうねラバード、もうどこか遠くに行ったんじゃない?」
「この近くのカラモスの街に出たのにね、ねぇ、エトワール」
「あらあら、フェーヤ。だってドラゴンはとても早く空を飛びますから」
俺たちが宿屋を借りようとしたら酒場でそう言いながら、昼間から酒を飲んでいる冒険者らしいパーティがいた。カラモスの街に出たドラゴンはここにいますよ、と思いながら俺たちは宿屋で三人部屋を借りた。俺とレンのベッドで一緒に寝たがるアクアだったが、リッシュとはさすがに一緒に寝なかった。リッシュは三百歳くらいのエルフで、しっかりした背の高い男性である大人だったからだ。
「ドラゴンなんて所詮はトカゲさ、ラミア」
「ラバードにとってはそうかもね」
「ドラゴンは美味しいのかな、エトワール」
「さぁ、神はそのようなことはご存じないでしょう」
俺たちは旅に必要な物と情報を集めようと市場や冒険者ギルドに行くことにした、そうしたらさっきの酒を飲んでいるパーティがドラゴンはトカゲなどと言っていた。だから俺とアクアは素早くレンに抱き着いた、レンはもちろんトカゲ扱いされて凄く怒っていたが、ここで喧嘩を売る理由にはならなかった。だから俺たちは酔っ払いは放っておいて、当初の予定通りに市場と冒険者ギルドに行くことにした。
「ドラゴンはトカゲじゃねぇ!!」
「それは分かるぞ、レン。でもここでの揉め事はごめんだ」
「冷静になるの、レン。人間だってはじめは猿だったの」
「全く人間というのは、愚かな者が多くて困ります」
怒っていたレンとリッシュは冒険者ギルドの掲示板を見に行った、俺とアクアはエルフの隠れ里に売ってしまった分の、いろんな日用品や布などを市場で買いそろえておいた。俺たちは市場でまた珍しい物を見つけた、それは味噌と米と更にしょうゆという物だった。なんでもアクアにとってはとても良い調味料だという話だった。
だから俺は味噌や醤油の味をアクアに確かめてもらって、そうしてアクアの為だけに大量に買っておいた。それから俺は更に珍しい品物を市場で見つけた、それは古い遺跡にあるはずの品々だった。アクアはそれを見て『すまほ』だと言っていた、他にも『たぶれっと』と言っていた。その品々は一見するとただの黒いガラスがついている鉄っぽい板で、俺では使い方が分からず結局は買わなかった。
「決闘だ!! 俺様はてめぇに決闘を申し込む!!」
「ああ? 俺がお前になんかしたか?」
「俺様はドラゴンが好きだ、だからそれを馬鹿にする奴は許さねぇ!!」
「やれやれドラゴンへの憧れか、まぁいいその決闘を受けよう」
「それじゃ、冒険者ギルドの鍛練場に来い!!」
「分かったよ、偶には子どもと遊んでやるとしよう」
宿屋に俺たちが帰ったきたら面倒なことになっていた、レンがあの酒を飲んでドラゴンをトカゲと呼んだ、確かラバードと呼ばれていた男に決闘を申し込んでいたからだった。リッシュもレンを止めてくれなかった、彼のとっても隠れ里を救ってくれたドラゴン、それは大切な友人で馬鹿されて許されるものではなかった。
俺は面倒なことになったとため息をついて、反対にアクアはどこか面白そうにしながら、その場にいた関係者全員が冒険者ギルドに移動することになった。そうしてラバードという男は練習用の木剣を持った、レンも同じようにして隙がないように構えをとった。俺はレンが怒っているから心配だった、怒りは時に剣の動きを妨げることがあった。
「絶対に許さねぇ!! ぶん殴ってやる!!」
「最近の子どもは怖いな、さぁそれじゃ決闘するぞ」
「いつでもいい、かかってきやがれ!!」
「そうか、それじゃ遠慮なく。ほらっ、どうだ!!」
俺はレンの剣術はいまだに粗削りだが、相手が人間なら良い勝負になると思っていた。でも現実は俺の考えと全く違っていた、決闘がはじまってすぐに酔っていた男は鋭い一撃で、レンの持っていた木剣を弾き飛ばしてしまったのだ。それはあっという間の出来事でレンは負けたのだった、俺は相手の剣筋を目で追うことしかできなかった。
「畜生ッ!!」
レンはとても悔しそうにしていたが、強者を認めないほど馬鹿なドラゴンではなかった。俺は珍しくその人間に対して興味がわいた、だからアクアをリッシュに預けてその人間に声をかけた。俺も練習用の木剣を持ってそのラバードという男に頼みこんだ、そう彼を馬鹿にするような態度でわざとだ、そうわざと相手を怒らせるように話しかけた。
「ねぇ、次は俺と決闘してよ。トカゲのおじさん」
「また子どもかよ、最近のガキは躾がなってないな」
「そうだよ、トカゲにも負けそうな。お・じ・さ・ん」
「子どものくせに、一丁前に挑発しやがる」
「そう子どもだよ、だから剣の稽古をつけてくれても良いよね?」
「ああ、いいさ。ほらっ、かかってこいよ」
そう男が言った瞬間に俺は男の心臓を目掛けて木剣で突いた、だが避けられたから次に素早くかがんで足払いをかけた。この攻撃で男は姿勢をほんの少しだけ崩した、そのほんの僅かな隙を見逃すわけにはいかなかった。俺は男の後ろに小さな体を生かして回りこんだ、そうすると同時に背後から男の首に木剣を突き付けた。
そうこれらは全て一瞬で起こったことだった、周囲にいた人間たちのほとんどは剣筋すら見えなかったに違いなかった。負けたラバードは少しだけ苦笑していた、ラバードの仲間たちは分かりやすく動揺していた。俺は一応はドラゴンの名誉を守ることができた、でもそれは相手がある程度既に酔っていたからだった。俺は木剣を丁寧に元のところに戻してから、無邪気に喜んでいるレンなどの仲間たちのところに戻った。
「俺も酒を飲み過ぎたかな、こんな子どもに負けるのは久しぶりだ」
俺とアクアとレンはお互いの顔を見た、そうしてから俺とレンは多分だが心の中でため息をついた。でもリッシュは確かに俺たちについてきた、そうして俺たちのすることを認めてくれたのだ。彼を合格にしないわけにはいかなかった、ドラゴンは嘘が嫌いで強くて正直な者に弱かった。アクアだけは素直にリッシュのことを認めていた、また新しいお友達ができるとご機嫌だった。
「ごっ、合格だよな」
「わーい、合格なの!!」
「おうよ、合格だろうな」
「はい、うぅ、ありがとうございます!!」
とにかくリッシュに俺たちの試験に合格したことを伝えた、そうしたらまたリッシュは泣きながら喜んでいた。うぅ、なんだか悪い事をしているようで、俺の心の中のどこかがもやもやした。リッシュはまず族長であるルーフェンに俺たちについていくと伝えていた、そうしたら族長であるルーフェンは魔力で矢を作り出せる、そういう特別な力を持った弓をリッシュに与えていた。
「私からの餞別だ、息子よ。いずれ、お前が成長して戻ってくることを祈っている」
「はい、父さん……、いえ、かしこまりました。族長!!」
そうしてリッシュは俺たちについてくることになった、族長であるルーフェンは世界を勉強してこい、そう言ってリッシュを送り出していた。ディアもいっぱい勉強してから帰ってきてねと、リッシュを応援しながら送り出してくれた。そうして今度こそ俺たちはエルフの隠れ里を後にした、それからはアクアの調子に合わせて歩きたい時は歩かせて、そうでない時は俺がアクアを背負って旅をした。
「うわー、カラモスの街が一望できるな」
「あちこちいっぱい壊れてるの」
「領主の館も半壊だな」
「………………フッ」
もちろん俺たちはリッシュが攫われた、カラモスの街を避けて通り過ぎた。遠くの山から街のあちこちの施設が壊れているのが分かった、きっと逃げ出した奴隷たちが暴徒になって暴れたのだろう、それを見てリッシュがちょっと怖い顔で冷笑していた。旅を一緒に始めてから分かったが、リッシュは族長候補でとても賢いエルフだった。そして俺とアクアとレンに異常に丁寧に接してくれた、いつまで経っても俺たちを様付けで呼ぶことを止めてくれなかった。
「なぁ、リッシュ」
「なんでございましょう、シエル様」
「いや俺たちのこと様付けで呼ぶの、それを止めてくれないか」
「いいえ、止めません」
「どうしても駄目なのか」
「はい、そうです」
そして楽しく野営などもしながら次の街についた、リッシュは身分証を持っていなかったから、この奴隷制がある国にいる間は俺たちの奴隷だということにした。リッシュもそれでいいと言っていたし、俺たちのことを様付けで呼ぶので、まるで本物のエルフの奴隷のようだった。リッシュの身なりはレンと同じく冒険者らしいものだった、だから俺たちの護衛奴隷のように人間たちからは見られていた。
「なんだよ、ドラゴンなんてどこにもいないじゃないか。なぁ、ラミア」
「そうねラバード、もうどこか遠くに行ったんじゃない?」
「この近くのカラモスの街に出たのにね、ねぇ、エトワール」
「あらあら、フェーヤ。だってドラゴンはとても早く空を飛びますから」
俺たちが宿屋を借りようとしたら酒場でそう言いながら、昼間から酒を飲んでいる冒険者らしいパーティがいた。カラモスの街に出たドラゴンはここにいますよ、と思いながら俺たちは宿屋で三人部屋を借りた。俺とレンのベッドで一緒に寝たがるアクアだったが、リッシュとはさすがに一緒に寝なかった。リッシュは三百歳くらいのエルフで、しっかりした背の高い男性である大人だったからだ。
「ドラゴンなんて所詮はトカゲさ、ラミア」
「ラバードにとってはそうかもね」
「ドラゴンは美味しいのかな、エトワール」
「さぁ、神はそのようなことはご存じないでしょう」
俺たちは旅に必要な物と情報を集めようと市場や冒険者ギルドに行くことにした、そうしたらさっきの酒を飲んでいるパーティがドラゴンはトカゲなどと言っていた。だから俺とアクアは素早くレンに抱き着いた、レンはもちろんトカゲ扱いされて凄く怒っていたが、ここで喧嘩を売る理由にはならなかった。だから俺たちは酔っ払いは放っておいて、当初の予定通りに市場と冒険者ギルドに行くことにした。
「ドラゴンはトカゲじゃねぇ!!」
「それは分かるぞ、レン。でもここでの揉め事はごめんだ」
「冷静になるの、レン。人間だってはじめは猿だったの」
「全く人間というのは、愚かな者が多くて困ります」
怒っていたレンとリッシュは冒険者ギルドの掲示板を見に行った、俺とアクアはエルフの隠れ里に売ってしまった分の、いろんな日用品や布などを市場で買いそろえておいた。俺たちは市場でまた珍しい物を見つけた、それは味噌と米と更にしょうゆという物だった。なんでもアクアにとってはとても良い調味料だという話だった。
だから俺は味噌や醤油の味をアクアに確かめてもらって、そうしてアクアの為だけに大量に買っておいた。それから俺は更に珍しい品物を市場で見つけた、それは古い遺跡にあるはずの品々だった。アクアはそれを見て『すまほ』だと言っていた、他にも『たぶれっと』と言っていた。その品々は一見するとただの黒いガラスがついている鉄っぽい板で、俺では使い方が分からず結局は買わなかった。
「決闘だ!! 俺様はてめぇに決闘を申し込む!!」
「ああ? 俺がお前になんかしたか?」
「俺様はドラゴンが好きだ、だからそれを馬鹿にする奴は許さねぇ!!」
「やれやれドラゴンへの憧れか、まぁいいその決闘を受けよう」
「それじゃ、冒険者ギルドの鍛練場に来い!!」
「分かったよ、偶には子どもと遊んでやるとしよう」
宿屋に俺たちが帰ったきたら面倒なことになっていた、レンがあの酒を飲んでドラゴンをトカゲと呼んだ、確かラバードと呼ばれていた男に決闘を申し込んでいたからだった。リッシュもレンを止めてくれなかった、彼のとっても隠れ里を救ってくれたドラゴン、それは大切な友人で馬鹿されて許されるものではなかった。
俺は面倒なことになったとため息をついて、反対にアクアはどこか面白そうにしながら、その場にいた関係者全員が冒険者ギルドに移動することになった。そうしてラバードという男は練習用の木剣を持った、レンも同じようにして隙がないように構えをとった。俺はレンが怒っているから心配だった、怒りは時に剣の動きを妨げることがあった。
「絶対に許さねぇ!! ぶん殴ってやる!!」
「最近の子どもは怖いな、さぁそれじゃ決闘するぞ」
「いつでもいい、かかってきやがれ!!」
「そうか、それじゃ遠慮なく。ほらっ、どうだ!!」
俺はレンの剣術はいまだに粗削りだが、相手が人間なら良い勝負になると思っていた。でも現実は俺の考えと全く違っていた、決闘がはじまってすぐに酔っていた男は鋭い一撃で、レンの持っていた木剣を弾き飛ばしてしまったのだ。それはあっという間の出来事でレンは負けたのだった、俺は相手の剣筋を目で追うことしかできなかった。
「畜生ッ!!」
レンはとても悔しそうにしていたが、強者を認めないほど馬鹿なドラゴンではなかった。俺は珍しくその人間に対して興味がわいた、だからアクアをリッシュに預けてその人間に声をかけた。俺も練習用の木剣を持ってそのラバードという男に頼みこんだ、そう彼を馬鹿にするような態度でわざとだ、そうわざと相手を怒らせるように話しかけた。
「ねぇ、次は俺と決闘してよ。トカゲのおじさん」
「また子どもかよ、最近のガキは躾がなってないな」
「そうだよ、トカゲにも負けそうな。お・じ・さ・ん」
「子どものくせに、一丁前に挑発しやがる」
「そう子どもだよ、だから剣の稽古をつけてくれても良いよね?」
「ああ、いいさ。ほらっ、かかってこいよ」
そう男が言った瞬間に俺は男の心臓を目掛けて木剣で突いた、だが避けられたから次に素早くかがんで足払いをかけた。この攻撃で男は姿勢をほんの少しだけ崩した、そのほんの僅かな隙を見逃すわけにはいかなかった。俺は男の後ろに小さな体を生かして回りこんだ、そうすると同時に背後から男の首に木剣を突き付けた。
そうこれらは全て一瞬で起こったことだった、周囲にいた人間たちのほとんどは剣筋すら見えなかったに違いなかった。負けたラバードは少しだけ苦笑していた、ラバードの仲間たちは分かりやすく動揺していた。俺は一応はドラゴンの名誉を守ることができた、でもそれは相手がある程度既に酔っていたからだった。俺は木剣を丁寧に元のところに戻してから、無邪気に喜んでいるレンなどの仲間たちのところに戻った。
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