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1-27ワイズデッドと戦闘する
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「知のある死者、……ワイズデッドなのか」
僕たちを嘲笑うフェーダーの姿を見て僕はそう言った、ワイズデッドとは知性のあるアンデッドのことで、通常のゾンビなどよりもはるかに強く厄介な敵だった。フェーダーはもうおそらく理性を失くしてしまっている、だから他人をいたぶって楽しそうに笑ったりできるのだ。そんなことを僅かな時間で考えたが、ワイズデッドが考え続けることを許してはくれなかった。
「リタ様、ワイズデッドとは簡単に何ですか!?」
「知性のある手強いアンデッドだ!!」
「つまりは倒し方はゾンビと同じようなものですね!!」
「ソアン、気をつけるんだ!! ゾンビとは身体能力が違い過ぎる!!」
大きく肥大化した体なのにワイズデッドが恐ろしく素早い動きこちらに迫ってきた、ワイズデッドが振り下ろした左腕をソアンの大剣が受け止め、その攻撃を受けながしてそのまま弾き飛ばした。ソアンは僕の前に立ってワイズデッドからの攻撃を次々と受け続けた、今は短剣しか使えない僕はとんだ足手まといだった。だから、せめてソアンの助けになるように、僕はこの辺りにいる精霊へと呼びかけを行った。
だが精霊たちへの呼びかけは失敗した、これが精霊と付き合う上で難しいことだった。精霊は気紛れにエルフや人族の前に現れて力を貸してくれる、でも何か気に入らないことがあると何もしてくれない。こちらが呼んだからといって必ず応えてはくれないのだ、でも今の僕にはこれしかできることがない、だからずっと僕は精霊に向かって呼びかけを続けた。
「リタ様!! お互いにバラバラに動きましょう!!」
「分かった、ソアン!!」
「くれぐれもお気をつけて!! 絶対に怪我をしないでください!!」
「君こそ、ソアン!! 必ず無事でいてくれ!!」
精霊への何度目かの呼びかけに失敗して僕はソアンの言葉に従った、それぞれがバラバラな動きをしてワイズデッドをかく乱させるのが目的だった。ワイズデッドは別々の行動をとりだした僕とソアン、そのどちらを追うか少し迷ったようだ。その隙にソアンがワイズデッドの後ろに回り込み、左足の腱を持っていた大剣で叩き斬った。
「なんて硬い!! もう女の子にはもっと柔らかく接するものです!!」
だがソアンが作ったワイズデッドの左足の傷は浅かった、そんな事態にソアンはまだ軽口を言うくらい元気があった、ワイズデッドは少し左足を引きずるようになったが、他の無事である右足を上手く使って今度は僕に左手を振り下ろした。僕の短剣だけでは受け止めきれない、単純に短剣で受けようとしたら、かぎ爪で傷を負ってしまうはずだ。僕はギリギリまでワイズデッドを引きつけながら、辛うじてその鋭いかぎ爪の攻撃を躱した。
そうやって戦っている間にも僕はずっと精霊に呼びかけ続けた、今の僕には他に出来ることがなかったからだ。ああ、僕が昔のように自由に魔法が使えたなら、そうだったならワイズデッドを浄化魔法で清めることができた。でもできないことを嘆いていられるような状況じゃなかった、ソアンがワイズデッドの振り下ろされた左腕をまた大剣で弾いたが、肩に僅かにかぎ爪がかすって傷を負ってしまった。
「――ッ!? ソアン!!」
「大丈夫です!! リタ様!! ただのかすり傷です!!」
ソアンはそう言って少し顔をしかめたが大剣を構え直した、幸いだったのは広場が大きく僕らが自由に動けたことだ。不幸だったのはワイズデッドに対して、僕たちがそれを倒すための有効な、そんな手段を持たなかったことだ。ソアンも中級魔法までいくつか使えるが、大剣で戦いながらでは集中できず無理なことだった。そんな悪条件に加えてアンデッドであるワイズデッドには疲れは無いが、僕とソアンは動き続けるうちに確実に疲労していった。
ゾンビに囲まれるのを覚悟して大扉から出るか、でもそれもまた危険で不確かな賭けだった。考え続けて僕が思いついたのは、フェーダーが出てきた反対側の扉のことだった。普通の人間が通れるだけくらいの大きさしかない扉だ、あそこに逃げ込んでみるのも確かに危険ではあった、また別のアンデッドがいるかもしれないからだ。でもそれしか今は考えられなった、だからソアンに僕はこう命令した。
「ソアン、僕がワイズデッドの気を引くから、フェーダーが出てきた奥にある扉に入れ!!」
「リタ様!! それではリタ様が危険です!!」
「いいから、そうするんだ!!」
「ううぅ、分かりました!!」
僕はワイズデッドの目の前に飛び出していった、これでも足の速さには自信があるほうだ。だから重い大剣を持っているソアンを逃がすのが先だった、それにソアンを犠牲にして僕だけ逃げるわけにはいかない、だから僕は一撃もくらってはいけない攻撃を避け続けていった。ワイズデッドはまだ僕をもて遊んでいるのか、ソアンと戦っている時に比べて動きが鈍かったのが幸いした。その間にソアンが無事に奥の扉に辿り着いてそれを開いた、そして僕のことを大きな声で激しく呼んだ。
「リタ様!! リタ様も早くこちらへ!!」
「うん、やってみる!!」
僕はその時ワイズデッドからの攻撃を、後ろに飛んで避けるのではなく前に進んで避けた。ワイズデッドと化したフェーダーの足元をすり抜けて、ソアンが待っている扉に僕は全力で飛び込んでいった。思い切ってやってみたことだったが二度としたくない、ワイズデッドの足元をすり抜けた時には、危うく踏みつぶされるかと思った。そうやって僕とソアンはひとまず小さな部屋の中に逃げ込んだ、それと同時に中にあった本棚を僕が乱暴に倒して、ワイズデッドのいる広場に繋がる扉を塞いでしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ、ああいう避け方は二度としたくないよ」
「本当です!! 私はリタ様が踏みつぶされるかと思いました!!」
「しぃ!? ソアン、外にいるワイズデッドを刺激しないようにしよう」
「あっ、そうですね。それにしても、ここは誰のお部屋でしょう?」
僕らが飛び込んだ小さな扉は大量の本が置いてある部屋に繋がっていた、僕はその一つを手にとってみたのだが、どうやら禁じられた死霊魔法についての本だった。ここはおそらくネクロマンサーの書斎だったのだ、初めて読む死霊魔法に関する様々な知識がそこにはあった。部屋は更に奥に続いていたが、そちらは寝室や浴室のようだった、この古代遺跡は何者かの家だという仮説が真実味を帯びてきた。
寝室に行くと僕はビクッと体を震わせて思わず二歩ほど後ろに下がった、そこにはカラカラに干からびた遺体があったからだ。だがその遺体は静かに眠っているだけでこちらを襲ってこなかった、状態からしてかなり昔のそれこそ500年は経ってそうな遺体だった。身につけている物は服から宝石まで、全て高級そうな物ばかりだった。
「もしかして、これがフォシルの遺体なのか」
「この遺体がフォシルさん、えっと500年前の魔法使い?」
「どうやらそのようだ、この宝石のついた腕輪にフォシルと刻まれている」
「それではフォシルさんが、今回のネクロマンサーでは無いのですか」
「この遺体には死霊魔法が使われていない、状態が良いのは偶々そういう環境にあったからだ」
「死霊魔法を扱うネクロマンサーだったのに、自分はアンデッドにはならなかった」
「アンデッドになる悲惨さ、それを誰よりも知っていたからなのかもしれない」
「そんな矛盾します、フォシルさんって思っていたよりも、ずっと臆病な人間だったんですね」
改めて書斎の中をよく見ると大量に本が置かれていたが、不自然にぽっかりと空いている箇所がいくつかあった。つまり何者かがここにあった死霊魔法の本を持ち出したのだ、その誰かが今回のネクロマンサーなのだろう。この部屋にその何者かの痕跡がないか、僕はできるだけ早くそれを探し出そうとした。
「ソアン、死霊魔法の本を持ち出した奴がいる。きっとそいつが今回の犯人だ」
「はい、リタ様。その何か証拠を探せば良いのですね」
ソアンにも犯人の証拠探しを手伝って貰ったが、犯人だってそんなに馬鹿じゃない。何も見つけられないまま、時間だけが経っていった。
「リタ様、あのワイズデッドがずっと扉を引っ掻いています」
「きっとソアン、この部屋はなるべく壊すな。そういう命令を受けているんだろう」
ガリリ、ガリガリッと広間に繋がる扉を引っ掻いている音がした、ワイズデッドと化したフェーダーがそうしているのだ。そんなことをしているのに無理矢理に扉を壊して入ってこないのは、誰かからこの部屋を壊すなとおそらく命令されているからだ。僕はできる限りの短い時間で犯人の手がかりを探った、一見するとそんなものは何もないように思える部屋だった。だが広間と繋がる扉のすぐ近に倒した本棚、そんなところの隙間から見覚えのある物を見つけだした。
「ソアン、見つけたよ!!これが今回のネクロマンサーは誰なのか、きっとその証拠になる」
僕たちを嘲笑うフェーダーの姿を見て僕はそう言った、ワイズデッドとは知性のあるアンデッドのことで、通常のゾンビなどよりもはるかに強く厄介な敵だった。フェーダーはもうおそらく理性を失くしてしまっている、だから他人をいたぶって楽しそうに笑ったりできるのだ。そんなことを僅かな時間で考えたが、ワイズデッドが考え続けることを許してはくれなかった。
「リタ様、ワイズデッドとは簡単に何ですか!?」
「知性のある手強いアンデッドだ!!」
「つまりは倒し方はゾンビと同じようなものですね!!」
「ソアン、気をつけるんだ!! ゾンビとは身体能力が違い過ぎる!!」
大きく肥大化した体なのにワイズデッドが恐ろしく素早い動きこちらに迫ってきた、ワイズデッドが振り下ろした左腕をソアンの大剣が受け止め、その攻撃を受けながしてそのまま弾き飛ばした。ソアンは僕の前に立ってワイズデッドからの攻撃を次々と受け続けた、今は短剣しか使えない僕はとんだ足手まといだった。だから、せめてソアンの助けになるように、僕はこの辺りにいる精霊へと呼びかけを行った。
だが精霊たちへの呼びかけは失敗した、これが精霊と付き合う上で難しいことだった。精霊は気紛れにエルフや人族の前に現れて力を貸してくれる、でも何か気に入らないことがあると何もしてくれない。こちらが呼んだからといって必ず応えてはくれないのだ、でも今の僕にはこれしかできることがない、だからずっと僕は精霊に向かって呼びかけを続けた。
「リタ様!! お互いにバラバラに動きましょう!!」
「分かった、ソアン!!」
「くれぐれもお気をつけて!! 絶対に怪我をしないでください!!」
「君こそ、ソアン!! 必ず無事でいてくれ!!」
精霊への何度目かの呼びかけに失敗して僕はソアンの言葉に従った、それぞれがバラバラな動きをしてワイズデッドをかく乱させるのが目的だった。ワイズデッドは別々の行動をとりだした僕とソアン、そのどちらを追うか少し迷ったようだ。その隙にソアンがワイズデッドの後ろに回り込み、左足の腱を持っていた大剣で叩き斬った。
「なんて硬い!! もう女の子にはもっと柔らかく接するものです!!」
だがソアンが作ったワイズデッドの左足の傷は浅かった、そんな事態にソアンはまだ軽口を言うくらい元気があった、ワイズデッドは少し左足を引きずるようになったが、他の無事である右足を上手く使って今度は僕に左手を振り下ろした。僕の短剣だけでは受け止めきれない、単純に短剣で受けようとしたら、かぎ爪で傷を負ってしまうはずだ。僕はギリギリまでワイズデッドを引きつけながら、辛うじてその鋭いかぎ爪の攻撃を躱した。
そうやって戦っている間にも僕はずっと精霊に呼びかけ続けた、今の僕には他に出来ることがなかったからだ。ああ、僕が昔のように自由に魔法が使えたなら、そうだったならワイズデッドを浄化魔法で清めることができた。でもできないことを嘆いていられるような状況じゃなかった、ソアンがワイズデッドの振り下ろされた左腕をまた大剣で弾いたが、肩に僅かにかぎ爪がかすって傷を負ってしまった。
「――ッ!? ソアン!!」
「大丈夫です!! リタ様!! ただのかすり傷です!!」
ソアンはそう言って少し顔をしかめたが大剣を構え直した、幸いだったのは広場が大きく僕らが自由に動けたことだ。不幸だったのはワイズデッドに対して、僕たちがそれを倒すための有効な、そんな手段を持たなかったことだ。ソアンも中級魔法までいくつか使えるが、大剣で戦いながらでは集中できず無理なことだった。そんな悪条件に加えてアンデッドであるワイズデッドには疲れは無いが、僕とソアンは動き続けるうちに確実に疲労していった。
ゾンビに囲まれるのを覚悟して大扉から出るか、でもそれもまた危険で不確かな賭けだった。考え続けて僕が思いついたのは、フェーダーが出てきた反対側の扉のことだった。普通の人間が通れるだけくらいの大きさしかない扉だ、あそこに逃げ込んでみるのも確かに危険ではあった、また別のアンデッドがいるかもしれないからだ。でもそれしか今は考えられなった、だからソアンに僕はこう命令した。
「ソアン、僕がワイズデッドの気を引くから、フェーダーが出てきた奥にある扉に入れ!!」
「リタ様!! それではリタ様が危険です!!」
「いいから、そうするんだ!!」
「ううぅ、分かりました!!」
僕はワイズデッドの目の前に飛び出していった、これでも足の速さには自信があるほうだ。だから重い大剣を持っているソアンを逃がすのが先だった、それにソアンを犠牲にして僕だけ逃げるわけにはいかない、だから僕は一撃もくらってはいけない攻撃を避け続けていった。ワイズデッドはまだ僕をもて遊んでいるのか、ソアンと戦っている時に比べて動きが鈍かったのが幸いした。その間にソアンが無事に奥の扉に辿り着いてそれを開いた、そして僕のことを大きな声で激しく呼んだ。
「リタ様!! リタ様も早くこちらへ!!」
「うん、やってみる!!」
僕はその時ワイズデッドからの攻撃を、後ろに飛んで避けるのではなく前に進んで避けた。ワイズデッドと化したフェーダーの足元をすり抜けて、ソアンが待っている扉に僕は全力で飛び込んでいった。思い切ってやってみたことだったが二度としたくない、ワイズデッドの足元をすり抜けた時には、危うく踏みつぶされるかと思った。そうやって僕とソアンはひとまず小さな部屋の中に逃げ込んだ、それと同時に中にあった本棚を僕が乱暴に倒して、ワイズデッドのいる広場に繋がる扉を塞いでしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ、ああいう避け方は二度としたくないよ」
「本当です!! 私はリタ様が踏みつぶされるかと思いました!!」
「しぃ!? ソアン、外にいるワイズデッドを刺激しないようにしよう」
「あっ、そうですね。それにしても、ここは誰のお部屋でしょう?」
僕らが飛び込んだ小さな扉は大量の本が置いてある部屋に繋がっていた、僕はその一つを手にとってみたのだが、どうやら禁じられた死霊魔法についての本だった。ここはおそらくネクロマンサーの書斎だったのだ、初めて読む死霊魔法に関する様々な知識がそこにはあった。部屋は更に奥に続いていたが、そちらは寝室や浴室のようだった、この古代遺跡は何者かの家だという仮説が真実味を帯びてきた。
寝室に行くと僕はビクッと体を震わせて思わず二歩ほど後ろに下がった、そこにはカラカラに干からびた遺体があったからだ。だがその遺体は静かに眠っているだけでこちらを襲ってこなかった、状態からしてかなり昔のそれこそ500年は経ってそうな遺体だった。身につけている物は服から宝石まで、全て高級そうな物ばかりだった。
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「どうやらそのようだ、この宝石のついた腕輪にフォシルと刻まれている」
「それではフォシルさんが、今回のネクロマンサーでは無いのですか」
「この遺体には死霊魔法が使われていない、状態が良いのは偶々そういう環境にあったからだ」
「死霊魔法を扱うネクロマンサーだったのに、自分はアンデッドにはならなかった」
「アンデッドになる悲惨さ、それを誰よりも知っていたからなのかもしれない」
「そんな矛盾します、フォシルさんって思っていたよりも、ずっと臆病な人間だったんですね」
改めて書斎の中をよく見ると大量に本が置かれていたが、不自然にぽっかりと空いている箇所がいくつかあった。つまり何者かがここにあった死霊魔法の本を持ち出したのだ、その誰かが今回のネクロマンサーなのだろう。この部屋にその何者かの痕跡がないか、僕はできるだけ早くそれを探し出そうとした。
「ソアン、死霊魔法の本を持ち出した奴がいる。きっとそいつが今回の犯人だ」
「はい、リタ様。その何か証拠を探せば良いのですね」
ソアンにも犯人の証拠探しを手伝って貰ったが、犯人だってそんなに馬鹿じゃない。何も見つけられないまま、時間だけが経っていった。
「リタ様、あのワイズデッドがずっと扉を引っ掻いています」
「きっとソアン、この部屋はなるべく壊すな。そういう命令を受けているんだろう」
ガリリ、ガリガリッと広間に繋がる扉を引っ掻いている音がした、ワイズデッドと化したフェーダーがそうしているのだ。そんなことをしているのに無理矢理に扉を壊して入ってこないのは、誰かからこの部屋を壊すなとおそらく命令されているからだ。僕はできる限りの短い時間で犯人の手がかりを探った、一見するとそんなものは何もないように思える部屋だった。だが広間と繋がる扉のすぐ近に倒した本棚、そんなところの隙間から見覚えのある物を見つけだした。
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