80 / 128
3-14犯人を曲にする
しおりを挟む
「リタ様も恋を知ってください、私はずっと待っていますから」
そう言って笑うソアンはとても愛らしかった、彼女はいつも可愛らしいが今夜は女性として魅力的に見えた。ソアンのそんな成長を嬉しいと思い、同時に少し僕だけ置いていかれているようで寂しく感じた。確かに恋をするという感情に関して、それだけはソアンよりも僕の方が子どものようだ。僕はまた綺麗になったソアンを誇らしく思いつつ、彼女の笑顔に苦笑しながら僕自身の心の成長を願った。
「僕も恋を知りたいよ、どうすればいいのかな」
「それは私にも分かりません、恋とはリタ様が言う通り落ちるものです」
「気がついたらその相手を好きになっているのかい」
「はい、ある日ですが突然に気がつくんです。ああ、これが恋だって」
「僕は今までのんびりし過ぎて、そんな感情に気がつかなかったのかも」
「いいえ、きっとリタ様もいつか気がつきます。それが……、どうか私と同じだと嬉しいです」
ソアンは僕にも彼女と同じように恋をして欲しいと思っているようだ、だけども僕はそんなことができる自信があまりなかった。僕は今まで一人でいることが多かったし、若長候補でいる時でさえ仲間とは一歩離れた関係だった。そんな僕が誰かを愛おしいと思えるだろうか、ソアンのことは別だがそれは彼女が大切な家族だからだ。
酒場のいつもの席でソアンと一緒に、そんな会話をしながら僕はこれでいいと思った。今の僕にとってはこのソアンとの関係が一番に大切なものだった、僕にとって恋人ではないけれど愛おしく思えるのはソアンだけだった。だから今はこれでいいと思ってしまったのだ、いつかは僕も恋をすると思うけれど、今はソアンと大切な家族として過ごす時間、それがとても幸せで僕はそれで満足だったのだ。
「そういえば、私はリタ様のお部屋に帰ってもいいでしょうか」
「もちろん喜んで、おかえりソアン」
「後で宿屋の人に言っておきます、またよろしくお願いします。リタ様」
「ソアンが戻ってきてくれて嬉しいよ、君がいない部屋はどこか寂しくていけない」
「リタ様は自覚してないのか、してるのか分からないですね」
「うん、僕は何が分かっていないのかな」
ソアンはそれでこそリタ様ですと頷いていた、とにかく僕の部屋にソアンが戻ってくることになった。これで寂しく一人で眠らなくて済む、ソアンと一緒だととても安心して眠れるんだ。それが嬉しくて僕は笑顔で楽しく夕食を食べた、ソアンも一人は寂しかったのか同じように笑顔だった。僕はその笑顔がたまらなく愛おしいと思った、やっぱり今がとても幸せだとも思っていた。
「師匠、聞いたかいな。また一人な、こんどは美男が殺されよったわ」
「僕は今とても幸せな気分だったのに、まったく連続殺人犯が憎くなるな」
「また一人犠牲者が、それは大変ですね」
「そうなんや、なんでも顔と体が何十回も刺されて、ボロボロやったそうや」
「美人を狙って、その美しさを壊すのが狙いなのかな」
「美しい者から酷い目にあって、それが恐ろしくて殺すのかもしれません」
「なんか、ステラから聞いてきよったんか」
「ああ、どうやら連続殺人犯は美しい者から何か酷い目に遭っている」
「そのお返しといいますか、恐怖が殺意に変わったのかもしれないです」
僕たちはステラから聞いた話をミーティアにも話した、ミーティアは犯人が女らしいというところは認めなかった。でもそれ以外の情報で犯人の性別は言わない曲が作れる、そう吟遊詩人らしいことを言っていた。ミーティアにとっては連続殺人犯も曲のネタでしかない、彼女も美人だがまだ直接関わったことがないからだった。
「ミーティア、あまり怖い曲を作らないでくれ」
「そうです、連続殺人犯を喜ばせるだけです」
「そりゃ分かっとるわ、逆に犯人を徹底的に嫌な奴にしてやるんや」
そう言っていたミーティア、彼女は翌日の夜から殺人鬼の曲を歌っていた。内容は恐ろしい殺人鬼が今夜もやってくるが、こいつは美しい者が怖いだけの卑怯な臆病者だ、だから勇気をだして立ち向かえというものだった。もう街の中でも殺人鬼の噂が流れていたから、ミーティアの人を勇気づけるような歌は評判が良かった。
「いやぁ、殺人鬼さまさまや。えらい稼ぎがいいわ、でもはよう捕まって欲しいわ」
「良い曲だけど、殺人鬼が聞いたら怒りそうだ」
「そうですよ、ミーティアさん。もう、そうやってあまり相手を刺激しちゃ駄目ですよ」
「そやけど、こんな酒場に殺人鬼がわざわざ来るかいな」
「どこにいて、どんな者なのか、何も分かっていないんだ」
「凄く意外な人物、そうなのかもしれないです」
「大丈夫や、帰りは必ず表通りを帰るし家は安全や、しっかり鍵もかけとるわ」
「今までは路上での犯行ばかりだから、まぁそれなら安全なのかな」
「でも、犯行はエスカレートしますから、家も安全じゃなくなるかも」
その後、ソアンとミーティアは女子会と言ってちょっと二人だけで話をしていた。女同士だけの秘密の話があるらしい、僕は参加できないので先に部屋に帰っていた。しばらくしたらソアンも僕の部屋にきた、だが彼女は困った顔でリュートを抱えていた。それは見覚えのあるミーティアのリュートだった、だから僕が聞いてみるとミーティアが忘れていったのだとソアンは言った。
ミーティアが酒場を出てからそんなに時間は経っていなかった、僕は何か嫌な予感がしてソアンと一緒にミーティアの家に行くことにした。ミーティアの大切にしているリュートが何か、そう大事なことを教えてくれているような気がした。そうして僕はミーティアの家を知らないので、ソアンが案内をしてくれて表通りを走っていた時だった。
ようやく僕たちはミーティアの背中を見つけた、だが彼女のすぐ傍には黒いローブを着た小柄な者がいた。僕たちがその姿に驚いているうちにソイツは動いた、ミーティアに声をかけようとした時に既にナイフがミーティアを襲っていた。僕たちは急いでミーティアに近づこうとした、彼女の顔から血が流れているのが見えたその時だった。
「『風竜巻』」
僕はとても高い美しい声を聞いたような気がした、その次の瞬間にはミーティアが肌を切り刻む激しい竜巻に飲み込まれていた。僕は慌ててクレーネ草の薬の効果が強い方を飲んだ、そうして風が止むとすぐに倒れてしまったミーティアにかけよった、ミーティアは風の刃で体のあちこちを切られて血だらけだった。顔も血まみれで良く見ると×印が刻まれていた、僕は急いで上級の回復魔法を完成させるとミーティアに使った。
「『完全なる癒しの光!!』」
ミーティアの酷い傷がみるみるうちに塞がっていった、やがて彼女は意識を取り戻してそれから僕たちを見て、酷く震えながらソアンにしがみついてからこう言った。
「ステラの言うとおりや、あれは魔女や!! 高い声で美しく歌う魔女やわ!!」
「ミーティア、犯人の声を聞いたのかい」
「ミーティアさん、大丈夫ですか。一体、何を言われましたか」
ミーティアはソアンの体にしがみついて震えていた、しばらくはそうしていたがやがて彼女はソアンから離れた。その頃にはミーティアは落ち着いてきていた、銀の冒険者として命を狙われる経験があるからだ。そんな強さがあるから彼女は落ち着いて、僕たちの問いに答えることができた。連続殺人犯は高く美しい声でミーティアにこう言い残したらしい、それはステラに犯人が言ったこととよく似ていた。
「美しい者の恐ろしさも知らない女め、真っ赤な血を好み悲鳴を喜ぶ者め、それならば自分が切り刻まれる恐怖をお前も知るがいい……」
連続殺人犯は美しい者から何か酷い目に遭った者だった、どうやら美しい者から切り刻まれる恐怖を味わったことがありそうだ。そして、今回の襲撃で街はどこも安全ではなくなった。少なくとも犯人は中級魔法が使える者だ、だからミーティアが表通りを歩いていたのに襲ってきた、とても大胆でそして防ぎようがない恐ろしい襲撃だった。
僕たちは夜中だったがそのまま役場へ行った、夜の当番の役人が起きていて殺人鬼に襲われたと言うと、ミーティアが襲われた話を詳しく聞いてくれた。特に僕がミーティアの顔に×印が刻まれていたと言うと、役人はそれを聞いて激しく頷きながら話を更によく聞いてくれた。ミーティアは顔の傷はあっという間に刃でつけられて、本当に一瞬の出来事だったと言っていた。
役人は他の役人も起こして話をしていた、それから僕たちは一人ずつ別々に役人から話を聞かれた。これは話の内容が一致するかどうか調べるためだろう、僕は起きたことを隠さず正直に話した。他の二人もおそらくそうしているはずだった、一刻ほどかかってから僕たちは解放された。役人たちは殺人鬼が更に捕まえにくくなったと話し合っていた、もう街のどこで誰が襲われても不思議ではなかった。
「深淵にいる怪物か、確かに恐ろしいものを見ることになりそうだ」
そう言って笑うソアンはとても愛らしかった、彼女はいつも可愛らしいが今夜は女性として魅力的に見えた。ソアンのそんな成長を嬉しいと思い、同時に少し僕だけ置いていかれているようで寂しく感じた。確かに恋をするという感情に関して、それだけはソアンよりも僕の方が子どものようだ。僕はまた綺麗になったソアンを誇らしく思いつつ、彼女の笑顔に苦笑しながら僕自身の心の成長を願った。
「僕も恋を知りたいよ、どうすればいいのかな」
「それは私にも分かりません、恋とはリタ様が言う通り落ちるものです」
「気がついたらその相手を好きになっているのかい」
「はい、ある日ですが突然に気がつくんです。ああ、これが恋だって」
「僕は今までのんびりし過ぎて、そんな感情に気がつかなかったのかも」
「いいえ、きっとリタ様もいつか気がつきます。それが……、どうか私と同じだと嬉しいです」
ソアンは僕にも彼女と同じように恋をして欲しいと思っているようだ、だけども僕はそんなことができる自信があまりなかった。僕は今まで一人でいることが多かったし、若長候補でいる時でさえ仲間とは一歩離れた関係だった。そんな僕が誰かを愛おしいと思えるだろうか、ソアンのことは別だがそれは彼女が大切な家族だからだ。
酒場のいつもの席でソアンと一緒に、そんな会話をしながら僕はこれでいいと思った。今の僕にとってはこのソアンとの関係が一番に大切なものだった、僕にとって恋人ではないけれど愛おしく思えるのはソアンだけだった。だから今はこれでいいと思ってしまったのだ、いつかは僕も恋をすると思うけれど、今はソアンと大切な家族として過ごす時間、それがとても幸せで僕はそれで満足だったのだ。
「そういえば、私はリタ様のお部屋に帰ってもいいでしょうか」
「もちろん喜んで、おかえりソアン」
「後で宿屋の人に言っておきます、またよろしくお願いします。リタ様」
「ソアンが戻ってきてくれて嬉しいよ、君がいない部屋はどこか寂しくていけない」
「リタ様は自覚してないのか、してるのか分からないですね」
「うん、僕は何が分かっていないのかな」
ソアンはそれでこそリタ様ですと頷いていた、とにかく僕の部屋にソアンが戻ってくることになった。これで寂しく一人で眠らなくて済む、ソアンと一緒だととても安心して眠れるんだ。それが嬉しくて僕は笑顔で楽しく夕食を食べた、ソアンも一人は寂しかったのか同じように笑顔だった。僕はその笑顔がたまらなく愛おしいと思った、やっぱり今がとても幸せだとも思っていた。
「師匠、聞いたかいな。また一人な、こんどは美男が殺されよったわ」
「僕は今とても幸せな気分だったのに、まったく連続殺人犯が憎くなるな」
「また一人犠牲者が、それは大変ですね」
「そうなんや、なんでも顔と体が何十回も刺されて、ボロボロやったそうや」
「美人を狙って、その美しさを壊すのが狙いなのかな」
「美しい者から酷い目にあって、それが恐ろしくて殺すのかもしれません」
「なんか、ステラから聞いてきよったんか」
「ああ、どうやら連続殺人犯は美しい者から何か酷い目に遭っている」
「そのお返しといいますか、恐怖が殺意に変わったのかもしれないです」
僕たちはステラから聞いた話をミーティアにも話した、ミーティアは犯人が女らしいというところは認めなかった。でもそれ以外の情報で犯人の性別は言わない曲が作れる、そう吟遊詩人らしいことを言っていた。ミーティアにとっては連続殺人犯も曲のネタでしかない、彼女も美人だがまだ直接関わったことがないからだった。
「ミーティア、あまり怖い曲を作らないでくれ」
「そうです、連続殺人犯を喜ばせるだけです」
「そりゃ分かっとるわ、逆に犯人を徹底的に嫌な奴にしてやるんや」
そう言っていたミーティア、彼女は翌日の夜から殺人鬼の曲を歌っていた。内容は恐ろしい殺人鬼が今夜もやってくるが、こいつは美しい者が怖いだけの卑怯な臆病者だ、だから勇気をだして立ち向かえというものだった。もう街の中でも殺人鬼の噂が流れていたから、ミーティアの人を勇気づけるような歌は評判が良かった。
「いやぁ、殺人鬼さまさまや。えらい稼ぎがいいわ、でもはよう捕まって欲しいわ」
「良い曲だけど、殺人鬼が聞いたら怒りそうだ」
「そうですよ、ミーティアさん。もう、そうやってあまり相手を刺激しちゃ駄目ですよ」
「そやけど、こんな酒場に殺人鬼がわざわざ来るかいな」
「どこにいて、どんな者なのか、何も分かっていないんだ」
「凄く意外な人物、そうなのかもしれないです」
「大丈夫や、帰りは必ず表通りを帰るし家は安全や、しっかり鍵もかけとるわ」
「今までは路上での犯行ばかりだから、まぁそれなら安全なのかな」
「でも、犯行はエスカレートしますから、家も安全じゃなくなるかも」
その後、ソアンとミーティアは女子会と言ってちょっと二人だけで話をしていた。女同士だけの秘密の話があるらしい、僕は参加できないので先に部屋に帰っていた。しばらくしたらソアンも僕の部屋にきた、だが彼女は困った顔でリュートを抱えていた。それは見覚えのあるミーティアのリュートだった、だから僕が聞いてみるとミーティアが忘れていったのだとソアンは言った。
ミーティアが酒場を出てからそんなに時間は経っていなかった、僕は何か嫌な予感がしてソアンと一緒にミーティアの家に行くことにした。ミーティアの大切にしているリュートが何か、そう大事なことを教えてくれているような気がした。そうして僕はミーティアの家を知らないので、ソアンが案内をしてくれて表通りを走っていた時だった。
ようやく僕たちはミーティアの背中を見つけた、だが彼女のすぐ傍には黒いローブを着た小柄な者がいた。僕たちがその姿に驚いているうちにソイツは動いた、ミーティアに声をかけようとした時に既にナイフがミーティアを襲っていた。僕たちは急いでミーティアに近づこうとした、彼女の顔から血が流れているのが見えたその時だった。
「『風竜巻』」
僕はとても高い美しい声を聞いたような気がした、その次の瞬間にはミーティアが肌を切り刻む激しい竜巻に飲み込まれていた。僕は慌ててクレーネ草の薬の効果が強い方を飲んだ、そうして風が止むとすぐに倒れてしまったミーティアにかけよった、ミーティアは風の刃で体のあちこちを切られて血だらけだった。顔も血まみれで良く見ると×印が刻まれていた、僕は急いで上級の回復魔法を完成させるとミーティアに使った。
「『完全なる癒しの光!!』」
ミーティアの酷い傷がみるみるうちに塞がっていった、やがて彼女は意識を取り戻してそれから僕たちを見て、酷く震えながらソアンにしがみついてからこう言った。
「ステラの言うとおりや、あれは魔女や!! 高い声で美しく歌う魔女やわ!!」
「ミーティア、犯人の声を聞いたのかい」
「ミーティアさん、大丈夫ですか。一体、何を言われましたか」
ミーティアはソアンの体にしがみついて震えていた、しばらくはそうしていたがやがて彼女はソアンから離れた。その頃にはミーティアは落ち着いてきていた、銀の冒険者として命を狙われる経験があるからだ。そんな強さがあるから彼女は落ち着いて、僕たちの問いに答えることができた。連続殺人犯は高く美しい声でミーティアにこう言い残したらしい、それはステラに犯人が言ったこととよく似ていた。
「美しい者の恐ろしさも知らない女め、真っ赤な血を好み悲鳴を喜ぶ者め、それならば自分が切り刻まれる恐怖をお前も知るがいい……」
連続殺人犯は美しい者から何か酷い目に遭った者だった、どうやら美しい者から切り刻まれる恐怖を味わったことがありそうだ。そして、今回の襲撃で街はどこも安全ではなくなった。少なくとも犯人は中級魔法が使える者だ、だからミーティアが表通りを歩いていたのに襲ってきた、とても大胆でそして防ぎようがない恐ろしい襲撃だった。
僕たちは夜中だったがそのまま役場へ行った、夜の当番の役人が起きていて殺人鬼に襲われたと言うと、ミーティアが襲われた話を詳しく聞いてくれた。特に僕がミーティアの顔に×印が刻まれていたと言うと、役人はそれを聞いて激しく頷きながら話を更によく聞いてくれた。ミーティアは顔の傷はあっという間に刃でつけられて、本当に一瞬の出来事だったと言っていた。
役人は他の役人も起こして話をしていた、それから僕たちは一人ずつ別々に役人から話を聞かれた。これは話の内容が一致するかどうか調べるためだろう、僕は起きたことを隠さず正直に話した。他の二人もおそらくそうしているはずだった、一刻ほどかかってから僕たちは解放された。役人たちは殺人鬼が更に捕まえにくくなったと話し合っていた、もう街のどこで誰が襲われても不思議ではなかった。
「深淵にいる怪物か、確かに恐ろしいものを見ることになりそうだ」
0
あなたにおすすめの小説
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
自力で帰還した錬金術師の爛れた日常
ちょす氏
ファンタジー
「この先は分からないな」
帰れると言っても、時間まで同じかどうかわからない。
さて。
「とりあえず──妹と家族は救わないと」
あと金持ちになって、ニート三昧だな。
こっちは地球と環境が違いすぎるし。
やりたい事が多いな。
「さ、お別れの時間だ」
これは、異世界で全てを手に入れた男の爛れた日常の物語である。
※物語に出てくる組織、人物など全てフィクションです。
※主人公の癖が若干終わっているのは師匠のせいです。
ゆっくり投稿です。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる