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3-18証言台で復讐してやる
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「いっそ、街中の男性のパンツを脱がせてみればいいんですよ!!」
「そ、ソアン。それは効果的だけれど、実際には不可能だよ」
「はぁ~、ちょっとイライラして極論を言ってしまいました」
「確かに犯人を見つけるには効果的だろうけどね」
「でも犯人が去勢された男性だという証拠がリタ様の夢しかない、それではこの強硬策はとても採用されませんね」
「何か証拠となるものを見つけなければ、そう例えば犠牲者の遺品などだ」
僕とソアンはその次に殺された被害者の浮浪者で娼婦のいた場所に行った、そこも『貧民街』でそこにいる子供たちにお菓子を与えて話を聞くのも一緒だった。子どもたちは口々に被害者の女性は凄い美人だったと言った、それから彼女には子供がいたが今は神殿の孤児院にいるらしかった。この子たちも本来なら神殿の孤児院にいてもいいのだった、でも片親がいたり孤児院を逃げ出したりした子がここにいるのだった。
「ローシャには子どもがいたよ」
「男の子だよ、神殿につれていかれた」
「その子と仲が良い子がいた」
「白いローブを着ていたよ」
「でも絶対に顔を見せないんだ」
「僕は知ってるよ、背が女の子みたいだった」
「ええ、でも声は男の子だったよ」
そこで僕たちは被害者であるローシャさんの子ども、その男の子に話を聞きに行くことにした。神殿に行ってまずは以前に襲われたステラの様子を見てみた、久しぶりに会ったステラはまだ暗い顔をしていたが話は聞いてくれた。ローシャさんの息子についても知っていた、やはり神殿の孤児院に引き取られていた。
「ああ、ローシャさんの息子。ラークくんですね、あの子は犯人が男の子だって言うんです」
「君が見た犯人のような、女性のような声は聞いてないのか」
「それともラークくんは犯人をじかに見たんでしょうか?」
「犯人を見たんならもう顔がのった手配書がでてますよ、でも声を聞いたのは本当で少し低い声だったと言ってます」
「ラークくんには会えるかな、直接会って話を聞いてみたい」
「そうです、ステラさんできますよね」
「それは領主さまの証書!! で、できます。すぐに呼んできます!!」
「ステラ、そんなに慌てたら転んでしまうよ」
「相変わらずの慌てん坊なんですから、もう」
ラークという少年とはその後、すぐに会うことができた。濃い茶色い髪に同じ色の瞳の少年で、無理もないことだが暗い目をしていた。例の殺人鬼を調べなおしていると言うと少し目に力が戻った、でもその光は瞬くような間に失われてしまった。ステラが嘘は駄目ですよと言ったからだった、ステラは未だに女性が犯人だと思っていた、彼女がいるとラークから話が聞けないので下がって貰った。
「どうせ、あんたらも俺が嘘つきだって言うんだろう」
「いや、僕たちは少年が犯人だと思っている」
「まだ成人したばかりか、それ以下の声変わりをする前の少年です」
「そうさ、そいつが犯人だ!!確かに高くて綺麗な声だったが、あいつは少年だった!!」
「声に特徴があったんだね、どんな声をしていたんだい」
「高くて綺麗なこと以外に、何かありましたか?」
「あいつは普段は無理して低い声を出していたよ、でも母さんを殺す時だけは高い綺麗な声で歌ったんだ」
「普段は声を変えているが殺人の時は違う、そうかそれで女性と勘違いされたのか」
「生き残った他の人は高くて綺麗な声だけ、それしか聞いていないのですね」
ラークという少年の話から殺人鬼が声色を使い分けている、普段は違う声で話していることが分かった。もしくは殺人という行為を行い時だけ、その時だけは隠しきれない本性がでてくるのかもしれなかった。ラークという少年は証言を否定されずに喜んだ、そして母親を殺した奴を絶対に捕まえて欲しい、そう言って僕たちに縋るように頼み込んできた。
「もちろん、見つけるよ。早く殺人を止めさせる、それが犯人のためでもある」
「貴方のおかげで犯人が見つかるかもしれません、証言台にいつでも立てるように元気でいてください」
ラークという少年は目に光を取り戻していた、これからはどれだけ嘘つきよばわりされようと、彼はきっと自分の意見を変えたりしないのだ。それが彼が殺人鬼にできる復讐だった、彼自身が生きていて証言ができることが復讐になると彼は知ったのだ。そんな生きる目標ができたからかラークはあとは犯人の背格好と、それにもう一つ大事なことを教えてくれた。
「あいつは白いローブを被っていたよ、でも母さんを殺した時には黒いローブに変わってた」
「それは『魔法の道具』かもしれない、いつも黒いローブを被っているとは限らないのか」
「そんな高い道具を持てるなんて、犯人はお金があるんでしょうね」
そこで夕方になったのでラークとは別れて僕たちは帰ることにした、これからはローブを被っている者は全て怪しいといっても良かった。僕もいつもローブを頭まで被っているが、連続殺人犯が捕まるまではそれは止めることにした。ジーニャスたちの警備隊も犯人を捜している、連続殺人犯に間違われて捕まるのは勘弁してほしかったからだ。
ソアンともこれからどうするのかを話し合った、まだ殺された人がいるから丁寧にまた話を聞いていく、それで今回のように新しい証言が出てくるかもしれなかった。まず事実としてラークの証言から言えるのは、犯人は声変わりをする時期の少年のふりをしていた、そして色が変わるローブという『魔法の道具』を持っているということだった。
『魔法の道具』は大体において高い、材料が高い魔石や手に入りにくい物であることが多いし、『魔法の道具』を作ることができる職人も限られているからだ。だが連続殺人犯が金を出して『魔法の道具』を買ったとは限らなかった、誰かを殺して奪った可能性もあったからだ。
「うーん、声変わりをする時期の少年を装っている、というのは確かだろう」
「はい、それだけは確実でしょうが、手配書を作るにはちょっと弱いですね」
「ゼーエンの街は広いからね、もう少し特徴が欲しいところだ」
「背格好と『魔法の道具』のローブのことは手配書に書けます」
「それだけは分かったとジーニャスに報告しよう、あとはどう警備隊を動かすか彼が判断する」
「そうですね、警備隊が連続殺人犯を見つけてくれるといいのですが……」
そうして夜になってから領主の館に戻った、そうしたら思ってもいない手痛い歓迎が待ち受けていた。シャールが僕たちの姿を見つけると、真っ先にソアンに向かって突撃してきたのだ。ソアンは余裕をもってその体を受け止めたが、シャールから僕たちは責められることになってしまった。ジーニャスが言っていたように、彼女は街にも行けずに退屈しているようだった。
「リタさんもソアンさんも酷いです、もう一緒に遊んであげないのでしゅよ」
「そ、ソアン。それは効果的だけれど、実際には不可能だよ」
「はぁ~、ちょっとイライラして極論を言ってしまいました」
「確かに犯人を見つけるには効果的だろうけどね」
「でも犯人が去勢された男性だという証拠がリタ様の夢しかない、それではこの強硬策はとても採用されませんね」
「何か証拠となるものを見つけなければ、そう例えば犠牲者の遺品などだ」
僕とソアンはその次に殺された被害者の浮浪者で娼婦のいた場所に行った、そこも『貧民街』でそこにいる子供たちにお菓子を与えて話を聞くのも一緒だった。子どもたちは口々に被害者の女性は凄い美人だったと言った、それから彼女には子供がいたが今は神殿の孤児院にいるらしかった。この子たちも本来なら神殿の孤児院にいてもいいのだった、でも片親がいたり孤児院を逃げ出したりした子がここにいるのだった。
「ローシャには子どもがいたよ」
「男の子だよ、神殿につれていかれた」
「その子と仲が良い子がいた」
「白いローブを着ていたよ」
「でも絶対に顔を見せないんだ」
「僕は知ってるよ、背が女の子みたいだった」
「ええ、でも声は男の子だったよ」
そこで僕たちは被害者であるローシャさんの子ども、その男の子に話を聞きに行くことにした。神殿に行ってまずは以前に襲われたステラの様子を見てみた、久しぶりに会ったステラはまだ暗い顔をしていたが話は聞いてくれた。ローシャさんの息子についても知っていた、やはり神殿の孤児院に引き取られていた。
「ああ、ローシャさんの息子。ラークくんですね、あの子は犯人が男の子だって言うんです」
「君が見た犯人のような、女性のような声は聞いてないのか」
「それともラークくんは犯人をじかに見たんでしょうか?」
「犯人を見たんならもう顔がのった手配書がでてますよ、でも声を聞いたのは本当で少し低い声だったと言ってます」
「ラークくんには会えるかな、直接会って話を聞いてみたい」
「そうです、ステラさんできますよね」
「それは領主さまの証書!! で、できます。すぐに呼んできます!!」
「ステラ、そんなに慌てたら転んでしまうよ」
「相変わらずの慌てん坊なんですから、もう」
ラークという少年とはその後、すぐに会うことができた。濃い茶色い髪に同じ色の瞳の少年で、無理もないことだが暗い目をしていた。例の殺人鬼を調べなおしていると言うと少し目に力が戻った、でもその光は瞬くような間に失われてしまった。ステラが嘘は駄目ですよと言ったからだった、ステラは未だに女性が犯人だと思っていた、彼女がいるとラークから話が聞けないので下がって貰った。
「どうせ、あんたらも俺が嘘つきだって言うんだろう」
「いや、僕たちは少年が犯人だと思っている」
「まだ成人したばかりか、それ以下の声変わりをする前の少年です」
「そうさ、そいつが犯人だ!!確かに高くて綺麗な声だったが、あいつは少年だった!!」
「声に特徴があったんだね、どんな声をしていたんだい」
「高くて綺麗なこと以外に、何かありましたか?」
「あいつは普段は無理して低い声を出していたよ、でも母さんを殺す時だけは高い綺麗な声で歌ったんだ」
「普段は声を変えているが殺人の時は違う、そうかそれで女性と勘違いされたのか」
「生き残った他の人は高くて綺麗な声だけ、それしか聞いていないのですね」
ラークという少年の話から殺人鬼が声色を使い分けている、普段は違う声で話していることが分かった。もしくは殺人という行為を行い時だけ、その時だけは隠しきれない本性がでてくるのかもしれなかった。ラークという少年は証言を否定されずに喜んだ、そして母親を殺した奴を絶対に捕まえて欲しい、そう言って僕たちに縋るように頼み込んできた。
「もちろん、見つけるよ。早く殺人を止めさせる、それが犯人のためでもある」
「貴方のおかげで犯人が見つかるかもしれません、証言台にいつでも立てるように元気でいてください」
ラークという少年は目に光を取り戻していた、これからはどれだけ嘘つきよばわりされようと、彼はきっと自分の意見を変えたりしないのだ。それが彼が殺人鬼にできる復讐だった、彼自身が生きていて証言ができることが復讐になると彼は知ったのだ。そんな生きる目標ができたからかラークはあとは犯人の背格好と、それにもう一つ大事なことを教えてくれた。
「あいつは白いローブを被っていたよ、でも母さんを殺した時には黒いローブに変わってた」
「それは『魔法の道具』かもしれない、いつも黒いローブを被っているとは限らないのか」
「そんな高い道具を持てるなんて、犯人はお金があるんでしょうね」
そこで夕方になったのでラークとは別れて僕たちは帰ることにした、これからはローブを被っている者は全て怪しいといっても良かった。僕もいつもローブを頭まで被っているが、連続殺人犯が捕まるまではそれは止めることにした。ジーニャスたちの警備隊も犯人を捜している、連続殺人犯に間違われて捕まるのは勘弁してほしかったからだ。
ソアンともこれからどうするのかを話し合った、まだ殺された人がいるから丁寧にまた話を聞いていく、それで今回のように新しい証言が出てくるかもしれなかった。まず事実としてラークの証言から言えるのは、犯人は声変わりをする時期の少年のふりをしていた、そして色が変わるローブという『魔法の道具』を持っているということだった。
『魔法の道具』は大体において高い、材料が高い魔石や手に入りにくい物であることが多いし、『魔法の道具』を作ることができる職人も限られているからだ。だが連続殺人犯が金を出して『魔法の道具』を買ったとは限らなかった、誰かを殺して奪った可能性もあったからだ。
「うーん、声変わりをする時期の少年を装っている、というのは確かだろう」
「はい、それだけは確実でしょうが、手配書を作るにはちょっと弱いですね」
「ゼーエンの街は広いからね、もう少し特徴が欲しいところだ」
「背格好と『魔法の道具』のローブのことは手配書に書けます」
「それだけは分かったとジーニャスに報告しよう、あとはどう警備隊を動かすか彼が判断する」
「そうですね、警備隊が連続殺人犯を見つけてくれるといいのですが……」
そうして夜になってから領主の館に戻った、そうしたら思ってもいない手痛い歓迎が待ち受けていた。シャールが僕たちの姿を見つけると、真っ先にソアンに向かって突撃してきたのだ。ソアンは余裕をもってその体を受け止めたが、シャールから僕たちは責められることになってしまった。ジーニャスが言っていたように、彼女は街にも行けずに退屈しているようだった。
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