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4-19秘密の土地に招かれる
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「貴方たち、もうこの秘密の領地からは出られないわ。貴方たちに待っているのは、そうじわじわと迫りくる餓死だけよ」
「それだけはしないですみそうだよ、マーニャさん」
「何よ!! この屋敷にだって食べられるものはほとんど無いわ!!」
「でもフェイクドラゴンが山ほどいるからね、美味しくはなくても食べられなくはない」
「………………でも、ここからは逃げられないわよ」
「それはジーニャスと僕次第かな、ここから脱出できるように知恵を使うよ」
僕はまたマーニャに口枷をしておいた、マーニャは不安そうな顔をしていた。別に彼女をどうこうするつもりはない、マーニャの世話は同じ女性であるソアンに任せた。そしてマーニャに言ったフェイクドラゴンのことだが、これはわりと本気で食料として考えていた。いや、既にゼーエンの街でも下層にすむ人間の間では、普通に肉として食べられていたのだ。
人間である街の住人が食べているのなら、エルフの僕だって平気なはずだった。さっそく一匹のフェイクドラゴンを仕留めてきて、使用人に皮を剥いでさばいて貰った。彼らも重要な食料になるのだから、丁寧な仕事をしてくれた。さて肝心の味はどうだろうか、今のところ長期の滞在になったら他に食料はない。
だからまずいのだけはごめんだった、ドキドキしながら一応は念のために『解毒』の魔法を使って僕が最初に食べてみた。焼いて塩を振っただけだったが淡白な味だった、鳥のささ身のような感じで十分に食べれた。下層でも人間たちが食べているわけである、好んで食べようとは思わないが食料としては大丈夫だった。
「毒もない、淡白な味だけど食べれるよ」
「本当ですか、リタ様。でも、一番最初に食べなくても!!」
「僕が言いだしたことだから、最初に試すのは僕だろう。ソアン」
「一番に魔法が使える頼りになるエルフが、もしそれでいなくなったらどうするんです!!」
「街の下層とはいえ人間が食べているんだ、ほとんど味以外は心配なかった」
「そう聞いてなかったらお止めしました、でも一応はしばらく様子をみてみましょう」
僕は平気でフェイクドラゴンの肉を食べてしまった、確かに上級魔法を使える僕がいなくなったらまずい、その点ではソアンの指摘も正しかった。だから皆には内緒でごめんねと謝った、ソアンは不満気だったが一応は許してくれた。フェイクドラゴンの肉を食べて一日は様子をみた、けれど僕には何も起きなかった。
それからは食事にフェイクドラゴンの肉が普通に使われた、マーニャにもそれは振る舞われた。マーニャは最初は拒否していたが、2日ほど絶食すると諦めて食べるようになった。食料という点では問題はひとまずなくなった、もっと長期になれば栄養の偏りなどの心配があるが、まだここに来て3日ほどしか経っていなかったから後で考えることにした。
それより僕はマーニャの持っていた腕輪の古代文字を解読していた、古代文字は難解な言葉が使われていたがこう書かれていた。『かの地とこの地を繋ぐ環よ、三つの環を使い分けよ』書かれていた言葉は分かったが、三つの環というのが分からなかった。おそらくはジーニャスがマーニャの右手にしていた腕輪を持っている、僕が持っているのが彼女が左手にしていた腕輪だ。
では三つ目の環はどこにあるのだろう、マーニャが持ち歩いているはずだったが、ソアンに調べてもらってもそれらしいものはどこにもなかった。もちろんマーニャ自身にも聞いてみたが、彼女は酒をちょうだいと言うだけで他には何も言わなかった。仕方なく僕の持つ左手の腕輪の使い方を調べることにした、マーニャは右手の環をなぞって使っていた。
「きっとこの左手の腕輪も同じ使い方だ、でも縁をなぞってみても何も起きない」
「時計周りになぞるとか、逆にするとか使い方があるのではないでしょうか」
「おそらくはそうだろう、地道な作業だけどいろいろ試してみるよ」
「私はマーニャさんの説得を続けます、ジーニャスさんが彼女を思い出したことは伝えました」
「マーニャのその時の反応はどうだった?」
「一瞬、嬉しそうにしましたが、その後はやっぱり黙ってしまいました」
僕は古代の遺跡の腕輪と長く付き合うことになった、多分ジーニャスも領主の館で同じことをしているはずだった。右に一回とか左に2回とか、とにかく使い方があるはずだった。その間、使用人の皆は屋敷の掃除などをしていた、とにかく見た目はよく似た屋敷だった。その内装はボロボロだったが、井戸などは無事で住めなくはなかった。
僕は腕輪の謎を解きながら、屋敷を守っている結界を維持するのも忘れなかった。何の魔石なのか分からないが魔石をもつ者を弾く結界が張られていた、それでフェイクドラゴンたちは屋敷には入れないのだ。ただ定期的にこういう結界は魔力を必要とする、だから僕は魔力を朝と夕の2回に分けて、守護の魔石に流していた。
ソアンは地道にマーニャを説得しようとしていた、彼女が何か喋ろうとした時には口枷を外して、酒をちょうだいという言葉を聞いては元に戻していた。そんな日々が半月ほど続いていた時だった、何百回目か分からないが左手の腕輪が反応をした。そうして懐かしい本物の領主の屋敷へと繋がったのだ。僕はすぐに皆に知らせて、全員がこのフェイクドラゴンの巣を脱出した。
「リタ、そっちは回し方が分かったのか!?」
「ジーニャス、はい。何百回も試してやっとですよ」
「リタ様、お疲れ様です」
「さて、犯人はどこだ。マーニャには相応の罰を受けてもらう」
「ジーニャス、できれば生きて更生する機会を」
「リタ様は相変わらず、優し過ぎですね」
「あの女のせいで何十人も死んでいる、過去を考えて考慮してもそれは難しいな」
「それにこの腕輪は彼女の財産です、これの価値を考えてもですか」
「確かにその腕輪があれば、この先何百人という人を養えるかも」
ジーニャスは腕輪の価値という点を考えていた、それは領主である父親も同じだった。そんな時だった、僕たちが完全に油断していた一瞬のことだった。
「お馬鹿さん、腕輪は三つあるって知らなかった?」
捕まえてあるはずのマーニャがいつの間にか僕たちの前に現れた、口枷などを全て外して自由になっていた彼女は、そうして真っ先にジーニャスを狙って短剣を投げた。ソアンが前に出てその短剣を大剣で弾いた、次に我に返ったジーニャスが魔法を唱えた。マーニャもそれは同じだった、彼女も何かの呪文を唱えていた。
「『氷竜巻!!』」
「『聖なる守り!!』」
氷を含んだ鋭い竜巻が巻き起こってジーニャスと僕たちを襲った、ジーニャスは守りの魔法で僕たち全員を守り抜いた。その魔法が解けた時ジーニャスにマーニャが飛びかかった、そうしながら彼女は自分の胸元に触れていた。ソアンがマーニャの胸の中央に古い傷跡があると言っていた、そうか三つ目の環は彼女自身に埋め込まれていたのだ。
「これ貰っていくわよ、だってあたしの物だから」
「それだけはしないですみそうだよ、マーニャさん」
「何よ!! この屋敷にだって食べられるものはほとんど無いわ!!」
「でもフェイクドラゴンが山ほどいるからね、美味しくはなくても食べられなくはない」
「………………でも、ここからは逃げられないわよ」
「それはジーニャスと僕次第かな、ここから脱出できるように知恵を使うよ」
僕はまたマーニャに口枷をしておいた、マーニャは不安そうな顔をしていた。別に彼女をどうこうするつもりはない、マーニャの世話は同じ女性であるソアンに任せた。そしてマーニャに言ったフェイクドラゴンのことだが、これはわりと本気で食料として考えていた。いや、既にゼーエンの街でも下層にすむ人間の間では、普通に肉として食べられていたのだ。
人間である街の住人が食べているのなら、エルフの僕だって平気なはずだった。さっそく一匹のフェイクドラゴンを仕留めてきて、使用人に皮を剥いでさばいて貰った。彼らも重要な食料になるのだから、丁寧な仕事をしてくれた。さて肝心の味はどうだろうか、今のところ長期の滞在になったら他に食料はない。
だからまずいのだけはごめんだった、ドキドキしながら一応は念のために『解毒』の魔法を使って僕が最初に食べてみた。焼いて塩を振っただけだったが淡白な味だった、鳥のささ身のような感じで十分に食べれた。下層でも人間たちが食べているわけである、好んで食べようとは思わないが食料としては大丈夫だった。
「毒もない、淡白な味だけど食べれるよ」
「本当ですか、リタ様。でも、一番最初に食べなくても!!」
「僕が言いだしたことだから、最初に試すのは僕だろう。ソアン」
「一番に魔法が使える頼りになるエルフが、もしそれでいなくなったらどうするんです!!」
「街の下層とはいえ人間が食べているんだ、ほとんど味以外は心配なかった」
「そう聞いてなかったらお止めしました、でも一応はしばらく様子をみてみましょう」
僕は平気でフェイクドラゴンの肉を食べてしまった、確かに上級魔法を使える僕がいなくなったらまずい、その点ではソアンの指摘も正しかった。だから皆には内緒でごめんねと謝った、ソアンは不満気だったが一応は許してくれた。フェイクドラゴンの肉を食べて一日は様子をみた、けれど僕には何も起きなかった。
それからは食事にフェイクドラゴンの肉が普通に使われた、マーニャにもそれは振る舞われた。マーニャは最初は拒否していたが、2日ほど絶食すると諦めて食べるようになった。食料という点では問題はひとまずなくなった、もっと長期になれば栄養の偏りなどの心配があるが、まだここに来て3日ほどしか経っていなかったから後で考えることにした。
それより僕はマーニャの持っていた腕輪の古代文字を解読していた、古代文字は難解な言葉が使われていたがこう書かれていた。『かの地とこの地を繋ぐ環よ、三つの環を使い分けよ』書かれていた言葉は分かったが、三つの環というのが分からなかった。おそらくはジーニャスがマーニャの右手にしていた腕輪を持っている、僕が持っているのが彼女が左手にしていた腕輪だ。
では三つ目の環はどこにあるのだろう、マーニャが持ち歩いているはずだったが、ソアンに調べてもらってもそれらしいものはどこにもなかった。もちろんマーニャ自身にも聞いてみたが、彼女は酒をちょうだいと言うだけで他には何も言わなかった。仕方なく僕の持つ左手の腕輪の使い方を調べることにした、マーニャは右手の環をなぞって使っていた。
「きっとこの左手の腕輪も同じ使い方だ、でも縁をなぞってみても何も起きない」
「時計周りになぞるとか、逆にするとか使い方があるのではないでしょうか」
「おそらくはそうだろう、地道な作業だけどいろいろ試してみるよ」
「私はマーニャさんの説得を続けます、ジーニャスさんが彼女を思い出したことは伝えました」
「マーニャのその時の反応はどうだった?」
「一瞬、嬉しそうにしましたが、その後はやっぱり黙ってしまいました」
僕は古代の遺跡の腕輪と長く付き合うことになった、多分ジーニャスも領主の館で同じことをしているはずだった。右に一回とか左に2回とか、とにかく使い方があるはずだった。その間、使用人の皆は屋敷の掃除などをしていた、とにかく見た目はよく似た屋敷だった。その内装はボロボロだったが、井戸などは無事で住めなくはなかった。
僕は腕輪の謎を解きながら、屋敷を守っている結界を維持するのも忘れなかった。何の魔石なのか分からないが魔石をもつ者を弾く結界が張られていた、それでフェイクドラゴンたちは屋敷には入れないのだ。ただ定期的にこういう結界は魔力を必要とする、だから僕は魔力を朝と夕の2回に分けて、守護の魔石に流していた。
ソアンは地道にマーニャを説得しようとしていた、彼女が何か喋ろうとした時には口枷を外して、酒をちょうだいという言葉を聞いては元に戻していた。そんな日々が半月ほど続いていた時だった、何百回目か分からないが左手の腕輪が反応をした。そうして懐かしい本物の領主の屋敷へと繋がったのだ。僕はすぐに皆に知らせて、全員がこのフェイクドラゴンの巣を脱出した。
「リタ、そっちは回し方が分かったのか!?」
「ジーニャス、はい。何百回も試してやっとですよ」
「リタ様、お疲れ様です」
「さて、犯人はどこだ。マーニャには相応の罰を受けてもらう」
「ジーニャス、できれば生きて更生する機会を」
「リタ様は相変わらず、優し過ぎですね」
「あの女のせいで何十人も死んでいる、過去を考えて考慮してもそれは難しいな」
「それにこの腕輪は彼女の財産です、これの価値を考えてもですか」
「確かにその腕輪があれば、この先何百人という人を養えるかも」
ジーニャスは腕輪の価値という点を考えていた、それは領主である父親も同じだった。そんな時だった、僕たちが完全に油断していた一瞬のことだった。
「お馬鹿さん、腕輪は三つあるって知らなかった?」
捕まえてあるはずのマーニャがいつの間にか僕たちの前に現れた、口枷などを全て外して自由になっていた彼女は、そうして真っ先にジーニャスを狙って短剣を投げた。ソアンが前に出てその短剣を大剣で弾いた、次に我に返ったジーニャスが魔法を唱えた。マーニャもそれは同じだった、彼女も何かの呪文を唱えていた。
「『氷竜巻!!』」
「『聖なる守り!!』」
氷を含んだ鋭い竜巻が巻き起こってジーニャスと僕たちを襲った、ジーニャスは守りの魔法で僕たち全員を守り抜いた。その魔法が解けた時ジーニャスにマーニャが飛びかかった、そうしながら彼女は自分の胸元に触れていた。ソアンがマーニャの胸の中央に古い傷跡があると言っていた、そうか三つ目の環は彼女自身に埋め込まれていたのだ。
「これ貰っていくわよ、だってあたしの物だから」
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