吟遊詩人のランドール

アキナヌカ

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07幽閉

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「いや、そんな招待されるような身分じゃないもので」

「貴族の方が是非にと言っているのですよ、貴方たちには領主の館に来てもらいます」
「…………はぁ、分かりました」

 こうして俺たちは貴族の館に行くことになった、礼金として金貨二十枚も頂いた。仕方がなく俺たちは街についたら領主の館に連れていかれた。それまで貴族の従者からいろいろ聞かれた。

「ご職業は? 冒険者ですか?」
「いや、俺はしがない吟遊詩人だ」
「私は踊り子」

「それで旅を、出身はどこですか?」
「日本っていう遠い国だ」
「私はそのへんの村人だよ」

「吟遊詩人に踊り子とは芸を披露してくれますか?」
「金を貰えばな」
「お金次第なの」

 そうして着いた貴族の館は立派なものだった。ただ俺は何となく嫌な予感がしていた。この前の領主のこともある。ライラをベッドに誘うような領主だったらお断りだ。だが俺の予想に反してここの領主は女性だった。謁見の間で会ったのだが、まだ若くて綺麗な金の髪に緑の目をした女性だった。

「吟遊詩人に踊り子とな、その芸を披露しておくれ。もちろん金は出そう」
「そういうことなら」
「お仕事、お仕事」

 俺は吟遊詩人として歌い、ライラは俺の歌に合わせて踊った。周囲からはおおっという声が上がった。そうして俺たちは仕事をしたので金を貰ったのだが、女性の貴族からしぱらく泊まっていけと命じられた。俺たちの芸に飽きるまでかなと思い、俺は反対も出来なかったので了承した。そうしたら客室が用意された、俺たちはその客室で過ごすことになったのだが何かおかしかった。その客室には牢屋のように鉄格子がついていたのだ。おかげで庭を見ることさえできなかった。一カ月は我慢した。でも我慢しきれなくなって従者に言った。

「そろそろここの仕事を辞めて旅に出たい」
「お客様はお嬢様のお気に入りです、お嬢様が飽きるまで旅には出れません」

「お嬢様が飽きたら旅にでれるのかい?」
「従者である私からはなんとも申し上げられません」

 そうやって事態がすすまないでいるうちにライラがベッドの下の走り書きを見つけた。そこにはこう書いてあった。

『ここに来たら逃がしてもらえない、できるなら早く逃げろ』

 俺は奥の手を使うべきか悩んでいた。俺が使える魔法は三つ。『落雷』に『雷神』それに『転移』だ。『雷神』も魔力をくうが『転移』はそれ以上に魔力をくう魔法だった。それに魔力をくうだけじゃなく俺の体にもダメージがくるのだ。だから使うべきか迷っていたが従者がある日こう言ってきた。

「お嬢様は貴方たちに飽きました、でも他の人に渡したくありません。だから処刑します」

 そう言われた途端、俺は客室からそいつを追い出してドアを閉め棚でドアを塞いだ。そうしてライラと荷物を持ってからライラに言った。

「ライラ、お前に高級ポーションを渡す。俺が魔法を使ったら倒れるから何とかして高級ポーションを飲ませてくれ」
「ランドール、死んじゃわない!?」

「高級ポーションを飲ませてくれれば大丈夫だ、いいか。頼んだぜ」
「うん、分かった」

 こうして俺はライラと荷物を持って『転移』した、場所はこの領主の領地の外にある隣の国だ。俺たちは森の中に『転移』した。俺にはすぐに凄い倦怠感と吐き気が襲ってきた。そうして吐くと血が飛び散った。そのまま俺は意識を失った。『転移』はそれだけ危険な魔法だった。

「……ドール……ラ……ドール、ランドール!!」

 うっすらと意識が戻ってきたが俺は体が動かせなかった。どうやら高級ポーションでも治せない内臓がやられたようだ。俺はライラともこれでお別れかと思った。

「ランドール、死んじゃヤダ!! 『再生』!! 『治癒』!!」

 ライラが魔法を使った、その途端に俺の呼吸は楽になり吐き気やめまいがおさまった。俺は体をおこしてライラを抱きしめた。ライラも嬉しそうに俺に抱きついてきた。しかし、今ライラが使った魔法は問題だ。

「ライラ、お前は聖女だったのか?」
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