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006試験結果
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最後の魔法試験を受ける者は少なかった、俺とフィールの二人しかいなかった。やはり魔法を使うことの出来ない無能と言われる人の方が多いので、七割どころか八割は無能なのかもしれなかった。それとは別にして俺は使う魔法を考えながらフィールと少し話をした、フィールも精霊と契約してるとは知らなかった。
「フィール、大丈夫か。お前は何の精霊と契約しているんだ?」
「水の精霊様です、でもだから攻撃とかはできなくて」
「水の精霊だったら、氷の槍でも作って落とせばいいだろう」
「ええ!? 氷なんてつくれませんよ、水の塊を相手にぶつけるくらいしかしたことありません」
「フィールならできるさ、魔法はイメージだ、つまりは想像力が大事だ」
「……水を氷にですか」
それからどっちから先に試験を受けるか聞かれたので、俺が先に受けることにした簡単な試験で、十個の的に魔法を当てればいいだけだった。俺は一個ずつ狙うのは面倒だったので、一度に全て当ててしまうことにした。
「それじゃ、”雷の槍・十連”」
その次の瞬間にドーンッと大きな音がした、俺が放った雷の槍十本は見事に目標の的を貫いていた、的から煙があがったり燃え上がっているものもあった。それを見ていた冒険者たちはざわめいていた、俺はこれくらいの魔法使いは普通にいるものだと思っていた。十個の的を取り替えて貰って、次はフィールの番だった。
「ええっと、”氷の槍よ”」
最初は小さな氷がころんと的の上に空から降ってきた、それを見た冒険者たちはフィールを嘲笑った。だが、二回、三回と魔法を使っていくうちに氷は大きくなって五回目には立派な氷の槍ができていた。命中率も真面目なフィールらしく残りの五個の的を外さなかった。そうして魔法試験が終わった。
「それでは今日の冒険者ギルドの合格者はリード、フィール、イリヤ、リリ……」
こうして俺たちは二人とも冒険者ギルドの試験に合格した、冒険の初心者の銅の身分証を貰えた。冒険者のランクはこの世界では白金が化け物、金がかなりの熟練者、銀が実力のある冒険者、鉄が一人前の冒険者ということだった。
「……化け物か」
一番の白金の冒険者が化け物っていうのは酷くないだろうか、俺は白金の冒険者に強くなってしまっただけなのにと同情した。とそこで油断しているとフィールを勧誘しようとする男がいた、薄茶色の髪に蒼い瞳をしたイリヤという男は早くもフィールを勧誘していた。
「俺のパーティは女の子が多いから、フィールちゃんともきっと仲良くできるよ」
「いっ、いえ私は結構です」
「遠慮はしなくていい、まずはお試しで入ってみようよ」
「だから、いいんです!! 私がしたいことは決まってます!!」
フィールは自力で勧誘を振り切って俺のところに来た、そうして俺をイリヤという男から盾にするようにしがみついた。俺はイリヤとかいう冒険者を一瞥して、それからは興味が無いようにそちらは見なかった。
「それじゃ、帰るか」
「はい」
そうして俺とフィールは貰いたかった身分証も貰えたし、冒険者ギルドからの話も終わったようなので宿屋に帰ることにした。明日からはどこかに部屋を借りなければならなかった、フィールもそうなのでできるだけ近い場所だといいなと思った。そして、今日も俺はフィールにこう言っておいた。
「俺はフィールが大好きだ、結婚して欲しい」
「今は嫌です、結婚より仕事が大事です」
今はということはいつかは良いのだろうか、結婚より仕事が大事とは厳しい意見だった、確かにまず俺達は仕事を探さなければならなかった。そうして翌日俺たちはさっそく部屋探しに行った、フィールはまだ庶民の金銭感覚が身についてなくて、俺と一緒に部屋探しをすることになった。
「一人部屋でそこそこ新しくて、できるだけ安い部屋はないか?」
「それに安全な大通り沿いがいいです」
「月額でいくらぐらいですかい?」
「そうだな、月に銀貨五枚から八枚くらいだ」
「私もそうです、そのくらいのお値段でお願いします」
「そんじゃ、何件か案内するよ」
そうして何件かの物件を案内してもらって、公衆浴場に近くて大通りに面した家の二階を借りることになった。小さな家で下は洋裁店だった、俺の部屋の隣がフィールの部屋になった。俺としてはこれ以上ない物件だった、家賃も月に銀貨六枚と安い方だった。
「それじゃ、私は飯屋の手伝いの仕事を探します」
「俺は狩りに行ってみる、フィール。安全な通りだけにしておけよ」
「それならリードさんこそ、危険な森にあまり踏み込まないで」
「ああ、そうする。心配してくれて、ありがとう」
そうして俺たちの新しい生活が始まった、フィールは近くの飯屋から仕事を探していくそうだった。俺は久しぶりに狩りに行った、新しい森に何がいるのか楽しみだった。そうして街を出て森に行くと一見すると静かな森に見えた、だが奥には何かいそうだったので行ってみた。森の奥に入った時に俺は思わず飛びのいた、今まで俺がいたところを牙が噛んでいた。よく見れば大きなダークウルフがこちらを見つめていた、傍には人間の遺体もあった。俺は落ち着いてよく相手を見てから、精霊に力を貸してくれるように言葉を紡いだ。
「”光の結界”、”雷の槍・十連”」
その途端にドーンッと大きな音がしてダークウルフが十匹倒れた、だが残り数頭が光の結界を嚙みついて壊そうとした。だから俺はまた唱えた。
「”雷の槍・十連”」
またドーンッという大きな音がして、それで残りのダークウルフが倒れた。俺は全部で十八匹いたダークウルフの体からナイフで魔石を取り出した、魔石は魔道具の燃料になるので高く買い取って貰えるのだ。雷で焼け焦げてしまったから、毛皮などはとることができなかった。それでも俺には良い収入になるはずだった、俺はダークウルフに襲われて死んだ遺体が傍にあったから、その冒険者の身分証を四枚とって持って帰った。夕方の冒険者ギルドは賑わっていた、依頼に成功したもの、失敗したものと明暗が分かれた。しばらく受付に並んで俺の順番が来たから、俺は魔石を十八個と故人の身分証を渡した。
「ダークウルフの魔石が十八個と、戦って死んでいた冒険者の身分証だ」
俺がそう言って魔石と身分証を置くと、冒険者ギルドの職員以外は笑っていた。どうやら俺がホラを吹いていると思われたようだが、冒険者ギルドの職員は真剣に魔石を鑑定して、亡くなった者の身分証が誰のものか確認してくれた。
「ダークウルフの魔石が十八個、間違いありません。金貨十八枚をお渡しします、それと冒険者証をありがとうございます。場所はどのへんか分かりますか?」
「この地図でいうとこの辺りだが、他にも何かいそうだった。だから遺体の回収は諦めた方がいいと思う」
「…………そうですか、残念です」
「魔石の代金は確かに受け取った、また頼む」
そうして俺はかなりの収入を得て自分の借りた部屋に帰った、そうしたら隣の部屋からフィールが出てきてこう言った。
「リードさん、大変です!!」
「フィール、大丈夫か。お前は何の精霊と契約しているんだ?」
「水の精霊様です、でもだから攻撃とかはできなくて」
「水の精霊だったら、氷の槍でも作って落とせばいいだろう」
「ええ!? 氷なんてつくれませんよ、水の塊を相手にぶつけるくらいしかしたことありません」
「フィールならできるさ、魔法はイメージだ、つまりは想像力が大事だ」
「……水を氷にですか」
それからどっちから先に試験を受けるか聞かれたので、俺が先に受けることにした簡単な試験で、十個の的に魔法を当てればいいだけだった。俺は一個ずつ狙うのは面倒だったので、一度に全て当ててしまうことにした。
「それじゃ、”雷の槍・十連”」
その次の瞬間にドーンッと大きな音がした、俺が放った雷の槍十本は見事に目標の的を貫いていた、的から煙があがったり燃え上がっているものもあった。それを見ていた冒険者たちはざわめいていた、俺はこれくらいの魔法使いは普通にいるものだと思っていた。十個の的を取り替えて貰って、次はフィールの番だった。
「ええっと、”氷の槍よ”」
最初は小さな氷がころんと的の上に空から降ってきた、それを見た冒険者たちはフィールを嘲笑った。だが、二回、三回と魔法を使っていくうちに氷は大きくなって五回目には立派な氷の槍ができていた。命中率も真面目なフィールらしく残りの五個の的を外さなかった。そうして魔法試験が終わった。
「それでは今日の冒険者ギルドの合格者はリード、フィール、イリヤ、リリ……」
こうして俺たちは二人とも冒険者ギルドの試験に合格した、冒険の初心者の銅の身分証を貰えた。冒険者のランクはこの世界では白金が化け物、金がかなりの熟練者、銀が実力のある冒険者、鉄が一人前の冒険者ということだった。
「……化け物か」
一番の白金の冒険者が化け物っていうのは酷くないだろうか、俺は白金の冒険者に強くなってしまっただけなのにと同情した。とそこで油断しているとフィールを勧誘しようとする男がいた、薄茶色の髪に蒼い瞳をしたイリヤという男は早くもフィールを勧誘していた。
「俺のパーティは女の子が多いから、フィールちゃんともきっと仲良くできるよ」
「いっ、いえ私は結構です」
「遠慮はしなくていい、まずはお試しで入ってみようよ」
「だから、いいんです!! 私がしたいことは決まってます!!」
フィールは自力で勧誘を振り切って俺のところに来た、そうして俺をイリヤという男から盾にするようにしがみついた。俺はイリヤとかいう冒険者を一瞥して、それからは興味が無いようにそちらは見なかった。
「それじゃ、帰るか」
「はい」
そうして俺とフィールは貰いたかった身分証も貰えたし、冒険者ギルドからの話も終わったようなので宿屋に帰ることにした。明日からはどこかに部屋を借りなければならなかった、フィールもそうなのでできるだけ近い場所だといいなと思った。そして、今日も俺はフィールにこう言っておいた。
「俺はフィールが大好きだ、結婚して欲しい」
「今は嫌です、結婚より仕事が大事です」
今はということはいつかは良いのだろうか、結婚より仕事が大事とは厳しい意見だった、確かにまず俺達は仕事を探さなければならなかった。そうして翌日俺たちはさっそく部屋探しに行った、フィールはまだ庶民の金銭感覚が身についてなくて、俺と一緒に部屋探しをすることになった。
「一人部屋でそこそこ新しくて、できるだけ安い部屋はないか?」
「それに安全な大通り沿いがいいです」
「月額でいくらぐらいですかい?」
「そうだな、月に銀貨五枚から八枚くらいだ」
「私もそうです、そのくらいのお値段でお願いします」
「そんじゃ、何件か案内するよ」
そうして何件かの物件を案内してもらって、公衆浴場に近くて大通りに面した家の二階を借りることになった。小さな家で下は洋裁店だった、俺の部屋の隣がフィールの部屋になった。俺としてはこれ以上ない物件だった、家賃も月に銀貨六枚と安い方だった。
「それじゃ、私は飯屋の手伝いの仕事を探します」
「俺は狩りに行ってみる、フィール。安全な通りだけにしておけよ」
「それならリードさんこそ、危険な森にあまり踏み込まないで」
「ああ、そうする。心配してくれて、ありがとう」
そうして俺たちの新しい生活が始まった、フィールは近くの飯屋から仕事を探していくそうだった。俺は久しぶりに狩りに行った、新しい森に何がいるのか楽しみだった。そうして街を出て森に行くと一見すると静かな森に見えた、だが奥には何かいそうだったので行ってみた。森の奥に入った時に俺は思わず飛びのいた、今まで俺がいたところを牙が噛んでいた。よく見れば大きなダークウルフがこちらを見つめていた、傍には人間の遺体もあった。俺は落ち着いてよく相手を見てから、精霊に力を貸してくれるように言葉を紡いだ。
「”光の結界”、”雷の槍・十連”」
その途端にドーンッと大きな音がしてダークウルフが十匹倒れた、だが残り数頭が光の結界を嚙みついて壊そうとした。だから俺はまた唱えた。
「”雷の槍・十連”」
またドーンッという大きな音がして、それで残りのダークウルフが倒れた。俺は全部で十八匹いたダークウルフの体からナイフで魔石を取り出した、魔石は魔道具の燃料になるので高く買い取って貰えるのだ。雷で焼け焦げてしまったから、毛皮などはとることができなかった。それでも俺には良い収入になるはずだった、俺はダークウルフに襲われて死んだ遺体が傍にあったから、その冒険者の身分証を四枚とって持って帰った。夕方の冒険者ギルドは賑わっていた、依頼に成功したもの、失敗したものと明暗が分かれた。しばらく受付に並んで俺の順番が来たから、俺は魔石を十八個と故人の身分証を渡した。
「ダークウルフの魔石が十八個と、戦って死んでいた冒険者の身分証だ」
俺がそう言って魔石と身分証を置くと、冒険者ギルドの職員以外は笑っていた。どうやら俺がホラを吹いていると思われたようだが、冒険者ギルドの職員は真剣に魔石を鑑定して、亡くなった者の身分証が誰のものか確認してくれた。
「ダークウルフの魔石が十八個、間違いありません。金貨十八枚をお渡しします、それと冒険者証をありがとうございます。場所はどのへんか分かりますか?」
「この地図でいうとこの辺りだが、他にも何かいそうだった。だから遺体の回収は諦めた方がいいと思う」
「…………そうですか、残念です」
「魔石の代金は確かに受け取った、また頼む」
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