異世界マゼマゼ奮闘記

ぷい16

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第四章 世界の工場

休養日

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 とある休養日。いつもなら、平日にできなかった仕事やらカリキュラムのブラッシュアップに追われる王都組のアカツキ夫妻だが、今日は珍しく何の予定も入っていない。


「特に何もいし、領地組の汲広くみひろやアントネラの様子でも思い出してみるか」

「そうですね」


 アカツキ伯爵の私室。仕事机に身内の来客用にテーブルと椅子。アカツキ伯爵はその来客用の椅子に座っている。

 向かいにはステファニア。

 目をつぶって日頃、自分の仕事に専念するため、フタをしている領地側の汲広くみひろとアントネラの様子を思い出してみる。


「うむ。ちゃんと領地視察はしたようだな」

「そのようですね」

「ほぉ。それで油田を見つけたか。そして、この二人が牧場をいとなむのか」


 長い間フタをしていた記憶を思い起こす二人。


「あぁ、国王を領地にお連れしたとき、これじゃぁ、こちらの念話に気付かないわけだ」

「通信については汲広くみひろのまねは出来ませんわね」

「あぁ、あんな高い所はゴメンだ」

貴方あなたでも、汲広くみひろより劣るところはあるのですね」

「うちの家族をこちらに観光に来させてくれたのには感謝している」

貴方あなた、根を詰めすぎて参っていましたものね」


 アカツキ伯爵にしか出来ないことはアカツキ伯爵がする。

 汲広くみひろにしか出来ないことは汲広くみひろがする。ただそれだけだった。


「そして、油田の調査をして…農作物の売り先の開拓までしたのか!」

「売り先が多いほど、売り上げは上がりますからね」


 選択肢が多いほど、高く買ってくれる所へ卸せる。


「あと、王都の電化だよなぁ」

「王都では、民間にまでは広げられませんでしたけどね」

「あとは映画館とスマートフォンのエリア拡大か」


 高い所はゴメンだととつぶやくアカツキ伯爵。


「まぁ、働いてくれた人へのメシくらいはいいだろう」

「何も無ければ誰もついてきてはくれませんものね」

「貴族の希望者への電化」

「貴族とて、電気料金は痛いみたいですね」

「そして、カンデラ家の日本訪問か」

「私の実家までよくしてもらって」

「通信制の学校に編入したか。僕はあいつにこっちの仕事押しつけすぎたかな?」

「仕方がいですわ。貴方だって手一杯なのですから」


 アカツキ伯爵は汲広くみひろに無理強いさせすぎたかと反省するのだったが、


「第一採掘場に工場団地予定地と、掃き出し窓の能力フル活用だな」

「掃き出し窓の能力づくしであちらも忙しいようですわね」

「使用人にまで掃き出し窓の能力を授けて…」


 こちらも忙しいが、あちらもフルに活動している。

 変わってやることも出来なくて歯がゆいアカツキ伯爵であった。


「おい、あいつ、免許を取りに行ってるぞ!」

「あ、私も取ってる」

「あいつ、免許証を土のう袋の能力に入れて… あった!」

「私のもありましたわ!」

「これは便利そうだ。ステファニア、こっちも車を買うぞ!」

「財政は引き締めるんじゃなかったのですか?」

「車は別だ。あと、バイクも買うぞ!」

「あらあらまぁまぁ」


 アカツキ伯爵は汲広くみひろに連絡を入れ、車とバイクを買いたいことを伝えた。

 汲広くみひろからはもっと具体的にとの返事だったが、「条件はお前のところとさして変わらないのだからそこら辺は見繕え!」と、無茶な要求をするのであったが、「選んだ物に、文句を付けないで下さいね!」と、汲広くみひろは念を押して、引き受けるのであった。

 そして、車の方は、9人乗れて、走破性のある、ハイブリッドな車を、バイクの方は、走破性がありながら、電動で動くバイクを見繕って王都のアカツキ伯爵邸へと届けるのであった。

 車が届いて早々、「ステファニア、付いて来い!」と、アカツキ伯爵は馬車しか通らない、何もい一本道をひたすらドライブするのであった。


 汲広くみひろの思い出をめぐることによって、場所を覚え、行動できる範囲が広がったアカツキ伯爵。

 汲広くみひろの思い出に、海が見られる場所があったので、そこを走ってみた。


「爽快感があるな!」

「あまり飛ばしすぎないで下さいよ!」

「分かってるって」


 久々に青春を謳歌おうかする二人であった。


「ジョージ国王にもこの景色、見せたいな」

貴方あなた、何を無茶むちゃなことを」


 次の日、仕事終わりのジョージ国王をドライブに誘った。


「おぉ、馬車より速くて景色も良いぞ!」


 ジョージ国王もノリノリであった。


「アカツキ伯爵よ、私も車を持つ。準備致せ」

「でしたら運転手を選定しなければなりません」

「あい分かった」


 数日後、運転手が選定され、また、王城の謁見の間へと向かったアカツキ伯爵。

 アカツキ伯爵は前にスキカからもらったテレパシーの能力で車とバイクの運転技能を運転手と、ついでにジョージ国王にも送った。

 車は、また汲広くみひろに見繕ってもらった。

 またも走破性のある、ハイブリッドカーであった。

 ちゃんと技能が伝わっているか不安だったため、運転手にも、ジョージ国王にも運転してもらったが、問題なく伝わっているようだ。


 ジョージ国王が、どこにドライブに行くかは知らない。

 アカツキ伯爵は、静かにグーの右手から、親指を上に突き立てて前に出し、満面まんめんの笑みを浮かべるのであった。
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