異世界マゼマゼ奮闘記

ぷい16

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第四章 世界の工場

輸入と輸出の有料化

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「発電所が完成するまで稼働しないのではなかったのか?」

 六日市建設の代表が声を荒げる。

 ここは現場元請けの会議室。

 工業団地は広い。

 元請けだけでも数社ある。

 ここには、そんな工業団地の建設に関わる工事業者の元請けが勢揃せいぞろいしている。すると、猪名いな建設の代表は、


「建物自体は完成しているんですよ。それを早く稼働させたいと思うのは普通のことじゃないんですか?」

「それは確かにそうなんだが、電気もガスも水道も、まだ稼働させないこと前提で工事が進められている。それでこそ急ピッチで作業が進む。インフラが来ていること前提では工事が遅延する」


 電気にしろ、ガスにしろ、水道にしろ、まだ稼働しないのを前提で工事が進んでいる。

 それらが動き出すと、せき止めてから工事するなど、工事のやり方が変わってしまう。

 すると、また猪名いな建設の代表は、


「こちらの施主さんは、建物ができたのならば稼働させたいとおっしゃっている。決めるのは我々ではない」


 猪名いな建設と、その他の建設業者でのケンカのような話し合いが行われ、


「結局、我々の意見ではなく、施主さんのお決めになることですか」


 結局、建設業者の判断ではなく、その工場の代表が、工場の稼働の判断をする。

 建設業者の判断は関係ないという結論に至り、この会議の参加者は、稼働を反対することは出来なかった。


     *


 先ほどの会議を受け、工業団地の現場はあわただしくなった。

 インフラの関係者は、今やっている工事は一時中断。

 幸い、稼働したいという工場が1箇所かしょだけであったため、それ以外の道を塞ぐ工事、電気ならブレーカーを落とし、水道なら止水栓を閉め、ガスならコックを閉める。

 それらの作業が終わり、やっと工事は再開となった。


 電気は通せば一瞬で来るが、水道やガスはそうはいかない。

 水道を管理する業者は河から水を取り込み始め、ガスは、備蓄基地にガスを溜め始めた。

 稼働にはしばらくかかる。

 建物や設備自体は完成していたのは幸いであった。


     *


「工場を稼働させたいと聞いたのですが」

 ここは施主の一社である岡川電気の会議室。

 こちらは汲広くみひろとアントネラ。

 相対しては岡川電気の重役と担当の部下が並んでいる。


「はい。インジスカン王国第一工業団地の我が工場を稼働させる方針でいます」

「分かりました。で、我々がすることは?」

「水道やガスは、工業団地でまかなうことが出来るそうなのですが、電気が来ていません。電気に関しては岡塚さんに頼めば日本から電気を送ることができるとうかがいました。ですので、電力の業者はこちらで選定済みなので、その電気を通す道を作っていただきたいのです」


 工場主から説明を聞いた汲広くみひろは、


「それだけではないですよね?」

「と、言いますと?」

「製品を作るには、原料を輸入しないといけない。そして、製品ができあがると、それを日本へ送らないといけない。違いますか?」

「そうですね。それも頼まないといけないですね」

「それで、電気の道は無料でさせていただきますが、輸入と輸出に関しては、タダというわけにはいきません」

「ほぉ。今まで工業団地の建設では無料と聞いていたのですが?」

「こちらもスタッフひきいいてボランティアでしているわけではないんですよ。運営にもお金がかかりますし、スタッフの給料も払わないといけません。今までは、領地の発展のための先行投資。でも、いつまでもいつまでもタダというわけにはいきません」

「なるほど」


 汲広くみひろとアントネラ、そして、岡川電気側との話し合いは、まだ続いた。


「輸入と輸出に関しては、有料という前例を我が社単独で作っては、他の工場主から何を言われるか分かりません。工場の関係者がそろう会議に計らせていただきます」


 そして、工場団地の工場の持ち主の代表が全員出席する会合に呼ばれた汲広くみひろとアントネラ。

 ここでも、今まで無料でやってきた輸入と輸出に関して、有料にすると発表したさいには非難ひなんすごかったが、価格の説明を始めると、”それくらいなら”という雰囲気ふんいきになり、輸入と輸出の有料化が決定した。

 ちなみに、岡川電気が工場を稼働する方向で動いているという話が出たさい、他の工場が完成した会社からも稼働させたいという申し出があったので、そちらとも後日、話し合いがもたれることになった。


     *


「非難されたときはどうしようかと思ったよ」

「でも、価格をおさえていたから意見が通ったじゃない」

「結果オーライだよ。ま、でも、アカツキ伯爵に頼らない収入源ができたのは嬉しいことかな」

「これは私たちの収入ですものね」


 話しが通り、ほっと胸をなで下ろす汲広くみひろとアントネラであった。
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